やっぱり欲しいものは全部手に入れたいよ。

出来ていたと思っていた設定が出来てなくて、深夜にその作業をしていた。完了が分からなくてどこまでやればいいのか考えていたらだんだん馬鹿らしくなった。こんなにまどろっこしい手続きをして得するのは数百円だ。たかがとは思わないけれど、それくらいなら一食抜けば割に合うのだ。一食も抜かなくていい。半分に減らす程度でこのストレスから解放されるならそのほうがいい気がした。

昨日、今日決めると決意した服のことなんだけど、それが数百円安くなるより確実に手に入る方が嬉しいと思った。

それよりその価値が今の自分に見合うとは思えない。買えないほど高いわけじゃないけれど、簡単に買えるのは違う。買ったとして、その気持ちをいつまで忘れないでいられるだろうか。

衝動を活かすには早く動くしかない。明日起きてから寝るまでにやりたいこと全部できるだろうか。やると決めて買ってから寝るか。そうやっていつも甘えるくせに何言ってるんだ。天使と悪魔が拮抗している。ここのところ天使が軽々勝っていく。ここぞとばかりに悪魔も威勢を上げるけれどその姿はもう透けかかっている。

駄目だった時、割り切れないことがわかっているのに手を出せない。そもそもそんなに大袈裟な話じゃない。でもなんとなくそのくらいの葛藤は抱えて悩まなければいけない気がして、義務のように悶々としているのだ。欲の前では理性など簡単にひれ伏してしまう。もうどこも浮いていない。そんな情けない姿を晒してまで、まだ決めてはいけないような、それが美学とでも言うような凛々しい顔をしている。

でも言ってしまえばただの欲だ。鋭いナイフがあればその蔦は簡単に切ってしまえる。刃を研ぐのは時間だろうか、別の楽しみかも知れない。

自分で決めるならどちらでもいい。それより、他人によって決められる可能性が残っているから落ち着けないのだ。自ら決断するなら早くしなければならないし、それを渋っているせいでこんなに狭くなっている。まるで袋小路だ。もうこの先はないと分かっている。

飲みに行くなら簡単に出してしまう金額だから、一度遊びを我慢すればいいだけの話なのに、どうしてこうも悩んでいるんだろう。

結局眠れなくて朝まで起きていた。もう阿呆だ。頭がぼんやりしている反面、妙に冷静で、諦観している。

朝からたくさん食べて、夜中の迷いを引きずっているとは思えない様だった。着替えて買い物へ出かけた。日差しが眩しいだけでそこまで暑くはなかった。

買うか迷ったものを買わずに数百円抑えた。これで買ってもいいだろう。納得する理由を並べて、買う。よし、決めるなら今だと意思を固めた。

今夜は良い気持ちで過ごすだろう。届くまでの期間、その興奮を律して正しい時間を過ごしたい。自分だって本当は正しいことだけしていたいんだ。

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