遠くにあるものは青く淡く見えるんだってさ。
格好悪いなんて括りでまとめられたらたまったもんじゃないね。その束に入れるために生み出しているはずがないし、思ってもそっとしておいて欲しい。格好良い音楽を聴きながらそう思った。
外は雨が降っているみたいだ。着替えたのに外に出る気になれない。まるで雨が悪いことみたいじゃないか。予報を見越して朝に行かなかった自分だけに非があるのに。
寝る前に考えたことを思い出した。聞けば視界の方が背景になる音楽が好きだ。BGMにならない、じゃなくて、景色を点景にしてしまう音楽が好きだ。でもそれは強過ぎてあまり受け入れられないんだろう。有り余るほどの情報で、刺激に慣れているはずなのに硬さや歪さには弱いから、お行儀良く枠に嵌ったものが好まれるんだ。
もっとぐちゃぐちゃに荒らされたものが欲しいのに、そんなものさえ深く潜らないと見つけ出せない。みんな下手を隠すのが上手いな。
でも格好悪いなんて括りでまとめて晒しあげる人間がいて、それを真に受ける人間もいる。格好悪い特集を組む人を貶しているんじゃない。格好良いか悪いか、それを自分で感じれる豊かさを忘れているほうがどうかしている。そもそもその価値を知らないのかもしれない。そんなのあまりに可哀想だ。
あれは嫌いだ、という意見に賛同したり反発したり、その意見交換も楽しみたい。自分で抱けるはずの感想を誰かに乗っ取られたくない。ただ、好き嫌いくらい自分で感じたいだけだ。
雨が止むのを待ちながらそんなことを考えていたら、ちょうど雨の歌が流れてきた。こういうことに気付けたり、それで嬉しくなったり、それを単純な馬鹿と呼ぶなら別にそれでいい。
もう雨に濡れてもいいから早く行こうかな。いそがしくもないし、まじめでもないから濡れたって仕方ないや。
夕方に眠って、夜のはじめに外に出た。なぜか綺麗な服を着てしまって、誰も寝起きとは思わないような様だった。
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