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小説「まぶしくて見えない」山本文緒

「まぶしくて見えない」 山本文緒

少女向けに書かれた小説で、
恋愛要素もありますが、
ちょっとツライ。

タイトルの付け方と心理描写が好き。

今読むと作者の巻末エッセイがとても面白かった。


ここからネタバレします。



なんとなく嫌なことが起こる感じはするけども、
ほかの事柄が楽しすぎて、
本質を見ない(見えない)

そんな瞬間が私にもあったようにも思う。

主人公の七生も、
樺木の胡散臭さにはどこかで気付いていて、それでも惹かれる。


3回目の再読で見えて来たものは、
樺木の気持ちの悪さだった。

子どもの頃に読んだときは、
信用した大人に期待を裏切られる話しだと思った。

2回目の再読は、
30代前半くらい。
砂糖入りワインの本と覚えていた。
オウムのセリフが悲しいなと思った。

今の私は、
「謝るくらいなら最初からやるなボケ」
と、樺木にイライラした。
オウムに覚えさせてることとか、
すべて策略のように見えて気持ちが悪い。

七生もいつか気付くだろうか。

ただ伊戸川くんの

「あれが全部、嘘だったとは思えませんよね」

というセリフには、深いものを感じる。

たしかに樺木は誰よりも親身で優しくてずっと味方だった。

でも、それこそが残酷なのだと私は思う。



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