🟠時間の壁 と 空間の壁【B-011】～Museumソムリエ★インターン集中講義（６）

Museumソムリエ⭐インターン集中講義は、利用者視点(利用論)の獲得により、「ミュージアムにおける新たな視界」にアプローチするための準備プログラムです。インターンの皆さんはもちろんですが、一般の皆さんにも〈ご閲覧・一部参加〉していただくことができます。また、より深く実践的に考える「Museumソムリエ基礎講座」(メンバーシップ形式)は、2023年１月の開講を予定しています。

🟧Museumソムリエ⭐インターン集中講義
【第５回】時間の壁 と 空間の壁

時間の壁 と 空間の壁 。
私たちの利用の前に立ちはだかる２つの「大きな壁」です。
「時間×空間のマトリックス」を使って、「利用」と「時間の壁」「空間の壁」の関係を考えます。

(2022.11.15)

🟡利用を阻む２つの「壁」
Museumソムリエの高山です。
ミュージアムに限りませんが、
「選択肢」はあるか、私たちはどのように「選択」できるているかを考える前に、
私たちの利用の前に立ちはだかる２つの「大きな壁」が存在します。

◯一つ目は「時間の壁」
日時が合わなければ、それだけで利用できません。
◯二つ目が「空間の壁」
その場所に行くことができなければ、もちろん利用できません。
この「空間の壁」を越えられる、素晴らしい発明品が「どこでもドア」です！

🟡２つの壁で、ほとんどの人は利用できない
２つの壁があることは、
ある一人の利用者にとっては、
「ほとんどのミュージアムは、利用したくても利用できない」
ことを意味します。
逆に言うと、
ある一つのミュージアムにとって、
「ほとんどの利用者は、利用したくても利用できない」
ことを意味します。
利用したいと思う「魅力」以前に、利用を妨げている「２つの壁」があるということです。

🟡時間×空間のマトリックス
「利用」と「時間の壁」「空間の壁」の関係を、下の図「時間×空間のマトリックス」を使って考えてみましょう。

時間×空間のマトリックス

Ｘ軸に空間の限定、Ｙ軸に時間の限定をとった４象限マトリックスで考えます。
◯第一象限/右上：時間も空間も限定
◯第二象限/左上：時間は限定､空間は非限定
◯第三象限/左下：時間も空間も非限定
◯第四象限/右下：時間は非限定､空間は限定

🟡第一象限/右上：ライブな時空間
時間も空間も限定された領域です。
"いま" "ここ" に生きる、私たちが体験している「基本的なステージ」です。
日常的なことも、非日常と感じることも、すべてがこの「ライブな時空間」の中にあります。
演劇、音楽、ダンス、スポーツなどのライブパフォーマンスだけでなく、ショッピング、飲食サービスなどもみんなそうです。
もちろん、ミュージアムも例外ではありません。

🟡第二象限/左上：空間からの解放
時間は限定されていても､空間の限定はなく「場所の制約」がない領域です。
2020年以降、人の移動や、大人数が集まることが制限されるようになりました。
ですが、「オンライン」で開催することで、「空間の壁」が消滅する現象を目の当たりにした人も少なくありません。

🟡第三象限/左下：時間・空間からの解放
時間も空間も限定されず、いつでもどこでも、自分の都合に合わせられる領域です。
毎月定額で映画やテレビドラマ、アニメなどを見放題で視聴できる動画配信サービス(VOD：ビデオ・オン・デマンド)が普及しただけでなく、
YouTubeなどのオンライン動画配信サービスが、家庭のテレビ受像機で見られるようになりました。
これにより、放送時間がテレビ局の都合で決まっている「テレビ」を離れ、自分の都合のよい時間に何度でも見られる「YouTube」でのオンデマンド視聴に大きくシフトしています。

「時間の壁」と「空間の壁」、
この壁を越えられる「どこでもドア」は、私たちの創意工夫により現れるのかもしれません。

🟡第四象限/右下：そこでなら､いつでも
時間は非限定､空間は限定。
つまり、その場所にずっとあることを含めて「価値」を構成している領域です。

ミュージアム、中でも「常設展示」を中心に据えたミュージアムは、
「常設展示」がこの領域〈そこでなら､いつでも〉にあることから、「利用」の上で根本的な問題を抱えています。

次回、「仮設」と「常設」 につづきます。
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Museumソムリエ基礎講座(2023年4月開講)｜Museumソムリエ～利用論が変えるミュージアム｜note

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