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🟠#1ミュージアムは生きているか? 【B-012】~Museumソムリエ★インターン集中講義(7)

Museumソムリエ⭐インターン集中講義は、利用者視点(利用論)の獲得により、「ミュージアムにおける新たな視界」にアプローチするための準備プログラムです。インターンの皆さんはもちろんですが、一般の皆さんにも〈ご閲覧・一部参加〉していただくことができます。また、より深く実践的に考える「Museumソムリエ基礎講座」(メンバーシップ形式)は、2023年1月の開講を予定しています。

🟧Museumソムリエ⭐インターン集中講義
【第7回】
 #1ミュージアムは生きているか?

Museumソムリエの高山です。
インターン集中講義の第7回~第9回は、
「仮設」と「常設」の関係を深く理解するために、「案内人のブログ」から3つの記事を掲載します。

(2022.11.17)

🟨案内人のブログ#1
ミュージアムは生きているか? -Dead or alive-

🌑大阪万博(1970)を起点に生まれた「常設展示型博物館」とその課題
現在、多くのミュージアムに見られるスタイルは、1970年代に確立したものです。
まだ50年ほどの時間しか経っていないわけですが、このブログでは「70年代型ミュージアム」として扱います。

この「70年代型」には共通して、展示会社がつくる「常設展示」空間が広いスペースを占めており、「常設展示型ミュージアム」と言ってもよいものです。

1970年、日本万国博覧会(大阪万博EXPO'70)が開かれ、多くの人びとに大きなインパクトを与えてくれましたが、この日本初の巨大エキジビションで成立したのが「展示技術」であり「展示会社」でした。

「国立民族学博物館(みんぱく)」が万博会場跡地に開館したのが1977年ですが、それ以来、"みんぱく"の展示空間をモデルの一つとして、1980年代から1990年代にかけて、多くの地域博物館(県博、市博など)が全国各地で建設(移転・新設・建て替え)され、現在ある、ほとんどのミュージアムの原型となりました。

私自身、1980年に業界最大手の展示会社に入社し、たくさんのミュージアム建設に携わってきましたが、80年代の博物館計画の考え方では「常設展示」を中心とすることが一般的でしたし、「展示を常設化する」ことの意味を深く考えることもありませんでした。

1995年9月29日に開催された、日本学術会議主催のシンポジウム「地域博物館の現在"博物館王国"の実態を探る」の中で、「現在の博物館に不足している性質」として、可変性、限定性、親近性の3つの性質が指摘されて以来、1970年代型の常設展示型ミュージアムは、大きく見直しを迫られることになりました。

とりわけ大きな見直しを迫られたのは、利用者と博物館の直接的な接点であり、博物館施設としての中核を占める「常設展示」そのものでした。

つまり、当時の博物館常設展示は、「可変性がなく変化に乏しい」、「限定性が曖昧で焦点がはっきりしない」、「どこの博物館も同じようで、親近性を感じない」こと、つまり、「可変性」「限定性」「親近性」の3つの性質の欠如が、利用者の支持を受けられない(利用されない)理由の背後にあるのではないか、そのような指摘だったのです。

この指摘がなされてから、すでに26年もの時間が経過していますが、「常設展示」は可変性、限定性、親近性の3つの性質を取り戻せているのでしょうか。

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