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大阪松竹座「歌舞伎特別公演」第一部

初日おめでとうございます!猿之助さんが4年ぶりの松竹座出演です。ちなみにその年は、4月7月10月の三ヶ月間も松竹座でした。今回、全くの一人旅のつもりでしたが、サプライズで友人と会うことができ、思う以上に楽しい旅でした。

日帰り遠征です。夢が叶って鴈治郎さんの又平役で、猿之助さんの おとく役を観ることができました。


劇場に入ると懐かしく感じました。また来ることができて嬉しい。松竹座は歌舞伎座よりもコンパクトなので舞台が近いです。第一部は「傾城反魂香」から。通称「吃又」と言われる土佐将監閑居の場です。

言葉が不自由な絵師の又平を鴈治郎さん。又平を支える女房おとくを猿之助さん。鴈治郎さんの又平が想像を超えていました!これはずるい、泣いちゃう(笑)何人かの方で又平を拝見しましたが、上方の方は初めてでした。すごく新鮮でした。

鴈治郎さんの又平は、まるでわんぱくな子供のよう。嬉しいと満面の笑み、とっても福々しく豪快な笑顔。怒る時は、おとくが体を張って止めないと収まらないほど。悲しい時は口を思いっきりへの字にして、しょんぼりしてる。純粋さにどんどん引き込まれてしまい、いつのまにか又平の心の変化に私も一喜一憂していました。

そんな又平が心を許し、頼り、甘えるのが女房のおとく。猿之助さんは愛に溢れていました。誰が何と言おうとも私は味方、という母のような愛の強さを感じました。又平が上手く言えないことを代弁してあげるのが嬉しそうですし、叩かれても気持ちを察して許してあげる寛容さ。二人は深いところで繋がり、魂レベルで響き合っているのだと感動します。

鴈治郎さんがお相手だからか、以前のおとくよりもチャーミング度が増している感じがしました。そして、一歩下がった陰で支える女房ではありますが、’二人で一人’という一心同体感も強く感じました。

師匠に認めてもらえないことから絶望し、命を絶とうとする二人。「手も二本 指も十本ありながら。。」と又平の手をさする場面は、やっぱり泣けます。筆を握る指を一本一本ほどいていく様子も泣ける。又平のことが好きなんだなぁと切なくなる。

そして、夫婦に奇跡が起こります。幸せそうな様子が尋常ではありません(笑)鴈治郎さんの笑顔にこちらも笑顔。又平を愛おしそうに見つめる猿之助さんも素敵。ラストは花道の引っ込みがあるversionでした。ここがいいんですよねー。妬けちゃうくらい幸せそう。このシーンも観ることができてよかったです。

初日なのに猿之助さんの中にはずっと’おとく’が住んでいたのかと思うほど熱演。今回が5回目です。私は拝見するのは3回目。猿之助さんの演技が内面に特化してきた印象です。観始めの頃は、もっと動きが大きかったような。

2007年、勘九郎さん(当時勘太郎さん)と浅草歌舞伎で上演したのが初役でした。その時に直々に教えてもらったのが、2012年に亡くなった四世雀右衛門さんだそう。雀右衛門さんは会場まで足を運んでくださったとか。猿之助さんは、京屋さんに近づきたいと言っていましたね。猿之助さんを通じて京屋さんを見ることができているのだと思うと嬉しいです。何年か前の浅草歌舞伎で、壱太郎さんが猿之助さんにおとくを習っていたので、こうして継がれていくのも歌舞伎ってすごいなと思います。

愛之助さんを久しぶりに拝見しました!雅楽之助は注進のお役で、最近は團子くんが演じました。登場すると拍手が大きく、場の空気を変えてしまいました。ダイナミックで一つ一つ形が綺麗。もっと観ていたかったです。

冒頭のお百姓さんたちのほとんどが澤瀉屋の皆さん。京都に続き、大阪でも拝見できて嬉しいです。その他は上方の方でした。土佐将監は寿治郎さん、北の方は扇之丞さん、そして修理之助は翫政さん。馴染の芝居なのに新鮮でした。

翫政さんが、兄弟子の又平がすがるのを振り払うところは胸がえぐられるように痛かった。すごく気持ちが伝わってきました。この場面の鴈治郎さんの命をかけて訴える様子も泣けて泣けて。

地元だったらもう一回観たいくらい。じんわり温かい余韻です。猿之助さんのおとく役がさらに好きになりました。

二つ目は「男女道成寺」舞踊劇です。
二人の白拍子、花子と桜子。桜子は実は狂言師の左近という役どころです。花子は壱太郎さん、桜子を愛之助さんです。

幕開きにびっくり!愛之助さんの女方が美しい!ほっそり見えるのがすごいです。誰かわからなかった(笑)壱太郎さんと双子のような姿にテンション上がりました。シンクロ率が必要なのかはわからないのですが、踊り方の違いは見ていて面白かったです。

男性であることがバレてからはいつもの愛之助さん(笑)かっこいい。三つ面の場面は初日ならではな緊張感がありましたが、鮮やかで会場が湧きました。ここは奴道成寺で猿之助さんの踊りを見ちゃってるので。。三つ面がすごいのですよ。

壱太郎さんは京都で禿を観たばかり。一気に美しい大人に成長したように感じ、艶やかで華やかでした。最近は貫禄すら感じます。舞台が小さく見えました。

振りがだんだん激しくなり、それぞれ攻めていて胸が熱くなりました。テンポアップしてくる舞踊は耐久レースのよう。とても見応えありました。

そうそう、強力の千太郎くん愛三朗くんが大きくなってるのにびっくり。青年ではないですか。私はあまり馴染みがない二人ですが、時々だと余計に感じますね。

終演は13:20くらい。これを4日間しかしないなんてもったいない!きっと評判が評判を呼ぶのに。叶うなら是非。三階席は3000円です。ふらっとどうぞ。私は大満足でした。

続けて二部も観ました。感想はこの後に。

劇場に行く前に大阪天満宮にお参りしてきました。サプライズで友人が現れて面白かったです。感謝。

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aya


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