見出し画像

2012年 スーパー歌舞伎ヤマトタケル 1

私は澤瀉屋の「ヤマトタケル」が大好きです。

2012年四代目猿之助襲名披露公演で初めて観ました。そして、来月4日から約12年ぶりに上演されます。主演は、中村隼人さん市川團子くんのWキャストです。

大好きですが、猿之助さんの面影を探して悲しくなりそう。まだ観る気持ちになれません。でも、とっても応援したいのです。

今回の公演で、きっと当時の私のように心ときめき虜になる方もいらっしゃるでしょう。12年前、私は猿之助さんのヤマトタケルに恋をしました。

応援の気持ちをこめて、当時のblogに書いていた日記を紹介していきます。よろしければお付き合いください。

★物語の内容に触れています。


6月12日 ヤマトタケル!

こんばんは!初体験してきました!スーパー歌舞伎!私、虜になりました。四代目猿之助さんの思うつぼ。

初役とは思えないほど生き生きしていた猿之助さん。お顔がシュッとしていてスマート。優しくて強くて涙もろい。。月明かりのように静かにポッと輝く感じ。

強くなればなるほど、まわりから尊敬されればされるほど孤独の闇に心が襲われる。

全体のこの独特なテンポ感は何でしょう!附けのタイミングにゾクゾクしました。中でもあの立ち廻りは麻薬です。

猿之助さんのこんな立ち廻りが観たかった!二刀流もサイコーです!見得もゾクゾクしました。思いがけず女形の踊りも観ることがでました。洋装で踊る姿の美しいこと。

そして、ラストの白鳥の姿の眩しさったらありません。舞台上、あのお姿で形を決める時の優雅さにうっとりです。見所がありすぎて、またすぐにでも拝見したい。興奮しすぎて涙するのも忘れてしまったくらい。

「天翔る心。。。」その言葉を聞いた時、お芝居のすべてが心に甦ってきました。タケルの歩いてきた道がすべてここに繋がりました。

切なくて胸がいっぱいになり上手く言葉にできません。今は余韻に浸ります。私は猿之助さんのヤマトタケルに恋をしました。


6月13日 「ヤマトタケル」ストーリー編1

’おもだか屋’の象徴として襲名公演で絶対に上演したかったというヤマトタケル。三代猿之助四十八撰の内の一つです。

幼い頃から新猿之助さんが一番観てきた演目なだけあり、初役とは思えないほど生き生きと輝いてみえました。

私にとっても初スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」です。冒頭の口上(スーパー歌舞伎版の二人だけの口上がありました)をワクワクして待っていると、白と黒のお衣装が対象的な四代目猿之助さんと中車さんが現れました。

なんと二人で10分強は話し続けていました。
ほぼ猿之助さん(笑)

昼夜、古典とスーパー歌舞伎を上演するにあたり、まわりのスタッフの方のおかげで可能になったこと。中車さんと自分が映像の世界でも生きている共通点。’生’のお芝居の楽しみ方。もちろん襲名に想うこと。。などなど。

昼の部より猿之助さんらしい口上でした。猿之助さんの方が中車さんより10才くらい若いのですが、座頭としての貫禄と存在感は大きく圧倒的でした。

お芝居が始まりしばらくすると猿之助さんの登場です。

涼やかで身のこなし軽く、若々しく素直な通るお声。拝見するたび良い意味で裏切られます。

今まで感じたことのない、よりしなやかな風。心根を表すようなぶれない姿に、私はどんどん引き込まれていきました。

ヤマトタケルと父である帝の通じ合えない心の闇を終始感じました。

小碓命(おうすのみこと)、後のヤマトタケルは、双子の兄を殺してしまい、父の怒りを買い戦い続けることになります。

勝っても勝っても故郷の大和の国に留まることが出来ず、タケルはとうとう戦いの帰路で病に倒れて死んでしまいます。

猿之助さんからは寂しくて折れそうな心の影が漂っていました。父の仕打ちを前向きに捕らえて、自分で己の心を賢明に奮い立たせます。

まわりの人に惜しみなく愛情を注ぎながら、自分は愛されたい人からひと言も思いやりある言葉をかけてもらえない。

もう、見ていて胸が痛い。手柄を立てて父に誉められたい。。弱い部分も素直にさらけ出すタケルはとても人間臭かったです。

英雄であるのに、心は孤独で寂しくてたまらない。でも真に一人ではないのです。

おばの倭姫役、笑三郎さんはいつもタケルの味方で、温かくて聖母マリアのようなイメージ。ユーモアもありサイコーに綺麗でした。

兄の妻で敵を討とうとタケルを襲う兄橘姫役は笑也さん。タケルの美しい心に触れ惹かれていきます。

笑也さんは女性そのもの。あの優しい艶ボイスには本当に癒されます。ラストにタケルの子、ワカタケルに話しかける言葉には泣けました。深い愛情の中に凛とした帝の母としての威厳がありました。

笑也さんは二役。みやず姫というタケルの妃になるおちゃめな姫です。少女のような愛らしさが微笑ましかったです。

兄橘姫の妹、弟橘姫役は春猿さん。コケティッシュで初々しさが素敵でした。タケルを慕い結ばれるも、海の神の怒りを沈めるために自ら海に身をささげ命を落とします。強い決心をした彼女が切なかった。命をかけて愛するものを守る姿に感動でした。

タケルをとりまく四人の女性たちの美しさったらありません!内面が強いからより輝く。。そんな印象です。

タケルに従い共に戦ううちに、慕うようになるタケヒコとヘタルベ。

タケヒコは右近さん(現 右團次さん)。情があり思いやりがあって男気に溢れていました。

ヘタルベは弘太郎さん(現 青虎さん)。

元気いっぱいでまっすぐにタケルを想う心に打たれました。二人がいてタケルは幸せだったと想います。タケルの気持ちを継いでくれる存在にラストホッとしました。

猿之助さんと右近さん、弘太郎さんのスリーショットが好きです。

そして、タケルを慕う人々も皆魅力的ですが、戦う敵たちも素敵なのです。

続きます。


aya



この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?