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四の切を初めて観た時

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

久しぶりに初日の出を拝むことができました。
2022年がスタートです。

猿之助Calendarの1月も良いのだけれど、表紙にノックアウトされ捲ることができません(笑)このお写真は大好物です!カメラマンの齋藤さん、さすがです!

ついにやってきました。歌舞伎座 壽初春大歌舞伎は明日2日が初日です。そして、やっと叶います。猿之助さんの「四の切」上演です。

第三部にかかる「義経千本桜 川連法眼館の場」通称「四の切」は、三代猿之助四十八撰の内の一つ、お家芸です。澤瀉屋と言えば、四の切、黒塚、スーパー歌舞伎。代表選手と言っても過言ではない演目なのです。

今回はそれだけではなく、特別な想いもあります。演じるのは、2016年6月以来、約5年半ぶりです。2017年の大怪我をきっかけに上演がストップしていました。黒塚やスーパー歌舞伎はこの5年で上演したけれど、ケレン味が強く、腕への負担が大きい四の切はまだでした。

だから、この演目がかかる時は怪我からの完全復活の日と思ってました。疫病がなければ、もっと早いタイミングだったかもしれません。でも、宙乗りが解禁された今が最高のタイミングなのだと信じています。

多くのファンが、この日をどれだけ待っていたことか。
いえいえ、先日に幸四郎さんも今月の上演に特別な想いがあると言っていました。ファンだけでなく、猿之助さんのまわりの皆様もきっと待っていたはずです。

明日は劇場に行きますが、私の心はどんなことを感じるのでしょうか。

猿之助さんが「四の切」を初めて演じたのは2010年’亀治郎の会’です。本興行では翌年の明治座。本人は’初めてのような気がしなかった’と当時はことあるごとに言っていました。

私はその亀会を拝見しています。歌舞伎を観始めて丸2年が経った頃でした。公演が5時間もあり「道行初音旅」「四の切」「上州土産百両首」の三本立て。上州~は福士誠治さんとのコンビが素敵でした。久しぶりに日記を読み返し、当時の感想を読むと感慨深いものがあります。

ここに一部を記しておきます。

<川連法眼館の場(四ノ切)>2010.8

~吉野山中にある川連法眼館にいる義経のもとで、佐藤忠信に化けた源九郎狐の正体がわかってしまう。自分の親の皮で作られた鼓に惹かれ、そばに居たい一心で化けていたことがわかります。

義経役は染五郎さん(現 幸四郎)。凛々しすぎます!門之助さんや亀鶴さん、吉弥さんは勝手に親しみが沸いていて、登場すると何だか嬉しいです。皆さんとても存在感がありました。

源九郎狐の亀治郎さんは、生き生きして表情がとっても楽しそう♪衣装の早替えや、瞬間の場所移動などはさすがです!菊五郎さんや海老蔵さんの源九郎狐も拝見しましたが、コンマ何秒の世界で一番早いのではないでしょうか。

細い手すりの上を新体操選手ばりで歩いたり。。とにかくいたるところで身体能力の高さにびっくり!

そして、心に染みたのが親を慕う心です。狐詞(キツネことば)もよく聞き取れて可愛らしい。いつも鼓の存在を気にしながら、手にすると無邪気に喜ぶ姿は会場の空気をあたたかくし、気持ちをほぐしてくれました。

そして、待ってました!宙乗り!2本のワイヤーで吊されているだけなのに、あんなに激しく動いて大丈夫!?とヒヤヒヤするほど大胆!お顔がご満悦で、観ている私たちも笑顔になります。狐の気持ちが亀治郎さんの気持ちにシンクロしてるよう。

お囃子のリズムにお客もノリノリでした。語りの葵太夫方や三味線も、亀治郎の会だと何だか違って聞こえて不思議。

澤瀉屋型の「四ノ切」ということで楽しみにしていましたが、現在のものは、音羽屋型や文楽の良いところを取り入れ工夫されているのだそうです。

役者さんをはじめ、そこにある聞こえるすべてがストーリーに添っているから、イリュージョンのような場面がとても自然に感じる「四ノ切」でした。

お芝居はもちろん、お客さんの熱気と一体感は凄いです!
楽しませたい!楽しみたい!
という気持ちが全体のパワーになってました~


今月はこの亀会で静御前を務めた雀右衛門さんが(当時 芝雀)ふたたび静役です。また、竹本の出語りに、同じ葵太夫、三味線の豊澤淳一郎さんが!連弾きは鶴澤薫さんだそう。

明日の初日の幕が無事に開きますように。
夜にEテレで生中継もあります。是非、ご覧ください!

aya

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