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八月納涼歌舞伎 第二部 安政奇聞佃夜嵐

初日に観たばかりですが、時間ができたので再び第二部を観てきました。今月は、全ての部がほぼ新作のようなもの。中村屋、成駒屋、幸四郎さん猿之助さん。。20代~40代が中心で引っ張っていく興行です。新作は、日々良いものにと攻めていく皆様の姿勢が顕著で好きです。どんどんお芝居が進化していく様子も今月は楽しみです。


「安政奇聞佃夜嵐(あんせいきぶんつくだのよあらし)」
実際に起きた囚人2名による脱獄事件をもとに作られた作品だそう。大正3(1914)年に初演されました。今回の上演は49年ぶり。主人公を演じる幸四郎さん勘九郎さんはもちろん初役。しかも資料は舞台写真と芝居の録音だけ。そこから舞台を作っていくので、新作を作るのと同じような苦労があるのではないでしょうか。

お二人と言えば、阿弖流為コンビ。面白くないわけがないと思うのです。幸四郎さんがこのお芝居を勘九郎さんとしたかった、とインタビューで言っていたのもワクワクしました。

当たり前なのですが、二人とも囚人なので地味な同じような着流し姿です。けど、それぞれが登場するとパッと明るく華があるのがすごいと思いました。

勘九郎さんは極悪非道な神谷役。幸四郎さんは親の敵討ちを心に秘める神谷とは違ったタイプの悪人、青木役です。

神谷が青木の志を知った上で島抜けを誘い、二人は佃島から隅田川を泳いで渡って逃げるのです。面白いのは神谷は泳げない!気のいい青木が背負って泳いでいくことに。

この脱獄シーンが面白い。まずは大道具さんが素晴らしい!あの風景と二人の浮遊感(笑)幸四郎さんはどうやってプカプカしているのしょうか?これって謎(笑)泳げない勘九郎さんも身体能力をいかんなく発揮したビビり具合で笑わせてくれます。

暗いのではっきりは見えない二人の褌姿も眼福で。。あれは生のお尻ですよね???裸祭りは次の猿之助さんの演目かと思いきや、二人の肉体美を拝めるとは驚きました。

無事に渡った後は悪事でお金を手にいれる二人。その時も簡単に人殺しをしちゃうのは勘九郎さんのほう。あの明るさが怖い。

そして勘九郎さん神谷の知り合い、木鼠清次の隼人さんが登場。何だかものすごい安定感と貫禄でかっこよかったです。悪党が様になり形が美しい。

劇中に登場するお蕎麦。美味しそうに食べるから食べたくなる。ちなみに、歌舞伎座裏の「歌舞伎そば」で茹でて持ってくるそうです。

幸四郎さん青木は一人で故郷に向かいます。そして、出会うのが義兵衛とその娘おさよ。彌十郎さんと米吉さん。初日は、米吉さんが登場するとひときわ大きな拍手が起きました。ナウシカのことがあるからかな。配信もあったし、ライブもしてくれましたから。

ここで青木とおさよの出会いとか、悲しい別れとか。彌十郎さん米吉さん大熱演でした。

大詰は幸四郎さんと勘九郎さんの立廻りがあり大興奮。わりとテンポが速いのですが、もっとスピードあれば阿弖流為なのにな。。とか考えてしまう(笑)でもやはり二人の殺陣はかっこいいし美しい。ずっと観ていたいほど。

ラストもラスト、猿弥さんが登場してきた!ノーマークだったのでびっくり。で、’かめじろう’って名乗って私的ツボでした。二人に一撃する手は速くて、さすが!となりました。


初日はさぐってる感が否めなかったですが、4回目の今日はかなり進化していました。驚いたのはラストシーンが変わっていたこと。初日は二人が別方向にはけて行きました(花道と上手方向)。それが、今日は二人で花道の引っ込みになってた。私は断然こちらが好きでした。

それと、二人のキャラの違いが、よりハッキリしていました。初日にはけっこう面白いことを勘九郎さんが言って笑わせてくれていたのですが、それがほぼ無くなっていました。そうしたら、勘九郎さんの悪の部分が浮き出てきたように感じました。相変わらず調子いいのですが、目は笑ってない、みたいなイメージ。それでもちょいちょい面白くて笑っちゃうのが二人のすごいところかと。今は削ぎ落していってるのかな。。芝居がテンポアップしていました。

私は進化にとても感動しました。二人で作っているのだなぁと。試行錯誤して二人の芝居を作ってる。拝見して、まさに役者で観るお芝居だと思いました。明日はまた変わっているかもしれない。観る側にはその楽しみがあるから歌舞伎は面白い。また後半に観るので楽しみにしています。


余談ですが、私の近くに大河ドラマで彌十郎さんに魅せられ歌舞伎を観に来た年配ご夫婦がいらっしゃいました。二人でイヤホンガイドを借り、使い方を迷っていたのでアドバイスをしたらそんな会話をひと言ふた言。こんなご時世でなければもっとお話しできたのですが。。二つ目は文覚上人ですからね!とはお伝えしました(笑)


aya

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