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當世流小栗判官のチームワーク

三連休が近づいてきました。私は仕事のピークです。暑さに負けずに頑張ります。歌舞伎公演も盛り上がりますように。

ヘッダーの写真は小栗判官ポスターです。友人が劇場で見た時、猿之助さん若いねーと言ったのですが、それもそのはず11年前の亀治郎時代のスチール写真をそのまま使っているからです。笑也さんは変わりませんね(笑)本物の馬との合成写真です。今回の上演にあたりデザインをリニューアルしたものなのです。宙乗りはまさにこの絵のよう。是非、生でご覧いただきたいです。


さて、前回は猿之助さんの話だけで終わってしまったので、まだまだ話したい役者さん方のこと。

巳之助さんの衝撃ったらありません。三枚目のお役で、まあ。。美味しい役どころです。初日、登場した時にほぼ拍手がなくて(笑)そのくらい巳之助さんだとわからないビジュアルになっちゃってる。初日のファンがわからないって相当かと(笑)

アドリブか?と思うほど猿之助ネタ満載で、猿之助さんをいじってくれます。めちゃめちゃ面白い。2回目観劇時にイヤホンガイドを聞いてみると、ネタの補足が入るので、ほぼ決まりごとのようですが、初日と違うことを言っていたり、ニュアンスを変えている部分があるので、客層やら時事ネタやら入れて日々変えていそうです。巳之助さんのお客の心を掴む才に感動です。

内容は劇場でご覧いただきたいのですが一つだけ。初日、ボンちゃんの「冗談じゃないわよーぅ」を言ってくれた時は泣きそうでした(笑)初日はわかる客層だからサービスしてくれたのでしょうか。2回目は無かったです。

猿之助ファンの私としては、手加減せずにもっといじってほしいです(笑)猿之助さんへのボヤキは大歓迎です。本人はどうなのかな。。11年前は獅童さんでした。確か亀治郎さんは吹き出した時があったような。。この時の浪七は二枚目風情でピクリともせずキマッたままなので。よくこれだけ言われて真顔でいられるなと思うとまた面白い。

さらにすごいと思うのが花道の引っ込みです。初日はボンちゃんで引っ込んでほしいくらいでした(笑)もちろんそんなことはなく、ここも可笑し味たっぷり。陽気な曲で踊る巳之助さんを見ていると、こちらまで楽しくなってしまう。魅せますね~。

幕開きの梅花さんも大好き。時代味があって場の空気がトリップする感じ。猿弥さん青虎さん男寅さんは悪役トリオ。天一坊を思い出す。巳之助さんの場面は男女蔵さん猿三郎さんも面白い。ドリフか!とツッコみたくなります。

笑也さんの照手姫の美しさは奇跡です。まだまだヒロインをしてほしい。猿之助さんと手を繋いでいる様子が自然でしっくりくる。若手もいいけど、またひと味違う。ずっと赤姫姿で華やかです。

笑三郎さんは小栗判官に恋するお駒の母。そして、照手姫の元乳母。判官は照手と再会を果たし、お駒との婚儀をキャンセル。しかしお駒が諦めないことで母娘の争いになります。笑三郎さんは忠義と親心に挟まれ、見ていて辛い。お駒の右近さんも熱い演技ですが、笑三郎さんが上回っている感じ。ものすごい迫力でした。

その右近さんが美しい。大熱演で儚く切ない。叶わぬ恋の恨みが判官を祟り、病になって現れます。それが納得の激しさです。

巳之助さん右近さんは、猿之助さんが小栗判官や浪七、照手姫を任せられる二人だと思うのです。代役のためではなく、家の垣根を超えて、澤瀉屋の芸を繋いでくれる人たちだと信頼しているのだろうなぁと感じました。

門之助さんの浪七女房も素敵!猿之助さんと夫婦って新鮮!二人の別れ際がいいのですよ。愛が伝わります。

そして、寿猿さん!素敵な女方!子役の頃から踊っている93才の踊りはそうそう観ることはできません。眼福。有難し。猿之助さんの愛ですね。

小栗判官と言えば、台車のようなものに判官が乗って照手が引いて歩いている場面を思い出します。今回歩いてはおらず、道行が寿猿さんの旅女房の踊りに代わっています。曲も粋で必聴必見です。

熊野の湯で病を治す場面。遊行上人の歌六さん、その弟子の眞秀くんの登場です。「新版オグリ」の遊行上人は猿之助さん隼人さんでした。当時、ちょっぴり胡散臭さもある。。と言っていましたが、歌六さんに「正統派きた」と可笑しくなってしまった。そのくらい貫禄。眞秀くんは群舞のセンター!その形も綺麗で華がありました。何より楽しそう。

病が治り、絵馬から白い神馬が抜け出て宙乗り。馬も大きいし、二人乗ってるし、歌舞伎座はやはり広いと感じました。天に向かって翔けていくよう。ポスターよりキラキラしていました。

大詰は雪がドサッと振ってくる。一階席前方のお客は雪まみれです。お客の頭に雪が大量にかかったまま幕が下りる澤瀉屋の風景にテンション上がりました。

ラストは猿之助さんの長袴タイムもあるし、巳之助さんの綺麗な姿も見ることができます(笑)


次から次へと見所がやってくる。それぞれに見せ場があるのは、この短い時間で本当にすごい。でも猿之助さんの主役感は薄れていないのです。初日より増したチーム感でテンポもアップ。猿之助さんは時代味あるのに動きもしゃべりも速い。緩急つけて惹きつける。いつもより長い第一部があっという間です。また観たくなってしまった。


aya


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