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四月大歌舞伎「荒川の佐吉」

幸四郎さんの佐吉に泣きました。

第二部を観てきました。佐吉は大好物です。任侠物を歌舞伎役者さんがすると本当にかっこいい!着流し姿の色気と言ったらありません。

ヤクザの世界に憧れて大工から転身した佐吉。下っ端の三下時代から始まり、時が経つと、もともとの素質からラストは親分にまで上り詰めます。

私が観た時は全て2時間以上をノンストップで上演していました。ですが、今回は少し短縮バージョンで約1時間45分です。

幸四郎さんはかっこよくて、涙もろくて優しい。卯之吉という守るべき存在ができてすごく強くなったのだと思える人でした。三下から親分まで。幸四郎さんを見ているだけで時の経過がわかるほど、見た目、立ち居振る舞い、心持ちが変化していきました。

卯之吉は、親分の娘が生んだ盲目の子。成り行きで佐吉が育てます。愛情を注いでいるのが伝わり、守るために初めて人殺しまでしてしまう。

だからこそ、本当の親が引き取りたいと言ってきた時の切なさが倍増なのです。説得され、子供のように駄々をこねるように断る佐吉は、まるで自分の一部分をもぎ取られるかのよう。何だかもう、心が痛かった。

けど、説得をする仲介役の大親分、相政の言葉の力よ!もうこれは私も観念してしまう(笑)相政は白鸚さん。静かな中に、佐吉や卯之吉、卯之吉の母への思いやりが溢れていました。卯之吉の母役は魁春さん。小さくなり泣いている姿を見るだけで泣けます。

卯之吉の幸せとは。

手放す決心した時の幸四郎さんのやるせなさ。ここからラストはもう涙腺崩壊でした。表情を見ているだけでも辛い。

幸四郎さんの佐吉は二回目でした。コンビの辰五郎が亀鶴さんから、今回は右近さんになりました。右近さんもお役にぴったりです!涙もろいところは幸四郎さんと同様(笑)こんなに泣いてました?みたいな。情に厚くて、友達思い。あんないい人いませんよね。そして安心感。佐吉がいなくなっても卯之吉の側にずっといてくれそう。優しい辰五郎でした。

ちなみに猿之助さんの佐吉で、巳之助さんの辰の時は’心で泣く’という感じでしたので、雰囲気の違いも面白かったです。

梅玉さんの浪人の成川、亀鶴さん高麗蔵さんの侠客。。男性陣が皆さんかっこいい!そんな中で花のような明るさの孝太郎さんの八重。八重も時を経て成長するのです。佐吉との再会シーンは大人な八重に感動でしたし、明るさは救いでした。そうそう、卯之吉役の子役さんも小さいながら大きい演技でよかったです。泣かせますね。

「やけに散りやがる 桜だなぁ」

幸四郎さんの佐吉愛が溢れていました。

桜満開の中、卯之吉と別れるシーン。私は希望だと思いたいです。悲しいけど、桜までも旅立つ佐吉の幸せを願っているよう。そして、いつも思うのです。未来、佐吉と卯之吉はきっと会えると。

桜の時期に観ることができて嬉しかったです。

猿之助さんが演じた時は真夏でした(笑)
少し前に書いた猿之助さんの佐吉の思い出の記事です↓

ラスト、幸四郎さんは卯之吉に触れませんが、澤瀉屋のやり方は少し違いました。卯之吉は小さい猿くんでした。

aya


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