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團菊祭五月大歌舞伎 第二部

GWは後半です。今日は子供の日。歌舞伎座に行ってきました。團菊祭が復活!團菊祭は、九代目團十郎と五代目菊五郎の功績を称えて昭和11年から始まりました。

本来なら成田屋と音羽屋の共演があります。記憶に残る印象的な芝居は、海老蔵さん弁慶で、菊之助さん富樫の勧進帳でしょうか。今年は感染予防対策の中、以前のようにはいかず共演はありません。しかも海老蔵さん菊之助さんが出演するのは二部だけです。それぞれのお家芸で登場しています。

歌舞伎十八番の内「暫(しばらく)」は、昨年の東京オリンピックの開会式で一部が上演されました。とはいえ見ておらず。その直前の歌舞伎座出演も拝見していないので、生の海老蔵さんを観るのは久しぶりです。

「し~ば~ら~く~」
揚幕の向こうから海老蔵さん演じる鎌倉権五郎の声が聞こえるとお客が耳を澄まして集中するのがわかります。驚いたのが私自身も、想像を超えてワクワクしちゃってること(笑)テンション爆上がりでした。これが海老蔵さんの魅力かなと思う。そして、↓のポスターの姿で登場すると、あの大きな歌舞伎座が狭く感じるほどの存在感に圧倒されました。

七三の’つらね’が最高に面白かった。ここは時事ネタ満載で毎回楽しませてくれる場面です。ここで空気が一気に和みます。

入道の又五郎さん、照葉の孝太郎さんとのやり取りも楽しい。くだらない(←最高に褒めてます!)おおらかなやり取りが暫の好きなところです。今日は一度だけ観た團十郎さんの権五郎を思い出しました。スーパーヒーローなのに可愛らしくて愛嬌があって。海老蔵さんは愛嬌よりスケールの大きさが印象的です。

大太刀(本当に大きくて長いのです!)を持って見得をする姿は浮世絵のよう。一度は生で観てほしいです。何だかスカッとして面白かったです。

そして。。久しぶりの右團次さん!歌舞伎座にあの大きなお声が響いたら泣きそうになりました。猿之助さんとも共演してほしいです。

新古演劇十種の内「土蜘(つちぐも)」は、私的にはあまり得意ではないのですが、わりとコンスタントに上演されるので回数は観ています。松緑さん勘九郎さんが多いでしょうか。舞踊劇です。

昨年5月、松緑さんの「土蜘」に猿之助さんが頼光役で出演したのが記憶に新しいです。他にも猿之助さんをこの演目で拝見したことがあります。納涼歌舞伎で現在の芝翫さんが橋之助時代です。間狂言に登場する番卒役の一人でした。勘九郎さん巳之助さんと番卒トリオ!石神役が長三郎くん。あれは奇跡のトリオでしたね。

そうそう、昨年は間狂言がない短縮バージョンでしたので、今回のおそらくフルバージョンは観ると面白いかもです。

菊之助さんは叡山の僧智籌実は土蜘の精。前半、僧に化けて頼光を襲いにきます。’静’の中に妖気を漂わせながら、僧としての品もあり。安定と大きさで、海老蔵さんとは違う支配する空気。暫の空気がどこかに行ってしまった。

見所の一つ、親子三世代共演。菊五郎さんの頼光、丑之助くんの太刀持。こうして継がれていくのだと感動です。この瞬間は当たり前ではないのだな。菊五郎さんの品格もすごい。ずっとその横にいる丑之助くんがたくましい。今までの太刀持のお子さんたちより、悠然としているのが私はなんとなく播磨屋を思いました。

間狂言の番卒は、錦之助さん権十郎さん萬太郎さん。巫女は梅枝さん。梅枝さんの踊りがよかったなーずっと観ていたかったです。石神はご子息の大晴くん。めちゃめちゃ可愛いではないですか!もういつもこの石神様にはやられます(笑)

後半は、菊之助さんが土蜘の精で登場。隈取も強そうで、何よりお声が地の底から響いてくるような重厚感。どの瞬間を切り取っても絵になる形の美しさ。蜘蛛で暴れるのは猿之助さんが一番と思ってるけど、菊之助さんが四天王と対決している姿に惚れそうになった(笑)

蜘蛛の糸がバンバン飛びます。菊之助さんは、おおらかに飛ばし、糸が綺麗に弧を描いていました。全てが面白かったな。

ほぼ満席の場内。お客さんの笑顔の花が咲いていました。ロビーや各売店、木挽町広場に至るまで、多くの人で賑わっていました。その様子を眺め、ようやくここまで来たのだ。。と感無量でした。

もちろん劇場内は今も「会話はお控えください」です。歓声などはなくても熱気は空気を作ります。歌舞伎座が後退することなく、前進あるのみでありますように。何年ぶりでしょう。GWらしいお休みを満喫しました。


aya


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