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「新・三国志」も中日です

歌舞伎座の公演が無事に中日を迎えました。
仁左衛門さんが明日から復帰のニュースも。代役をお務めの皆様からバトンが仁左衛門さんに無事に戻ります。本当によかったです。

一週間ぶりに「新・三国志」を観てきました。
全体が進化していました。特に猿之助さんの関羽は、もうご自分の手の内にあるような貫禄があり感動でした。

生のお芝居は一期一会です。一日たりとも全く同じ芝居はあり得ません。また、観る側の心や体のコンディションによっても感じ方は変わると思う。泣けるポイントまで変わってくるから不思議です。

今日は私がいつも思う猿之助さんらしい関羽で深く心に残りました。仲間といる時の表情が終始、優しく感じたのです。ヤマトタケル上演時、梅原先生がおっしゃった「三代目は太陽、四代目は月」という例えを思い出しました。三代目の関羽は観ていないけど、四代目の関羽になっているのではないかと思うのです。

戦いの時の厳しさに空気が張り詰め、張飛が死んだ時の悲しみは痛い。そして、劉備と二人の場面は確実に違う時間が流れます。

猿之助さんは派手な動きはそんなにないのですが、場面場面でその空気感を全く違うものにしてしまう。

そして感じるのです。一貫して根底にある「夢見る力」。劉備の夢に自分の夢を重ね、その夢の実現のために一緒に進む幸せ。信頼することで救われているような。猿之助さんを見ていると、劉備と出会って関羽の人生は変わったのだなぁと思えます。

前半の幕切れ、今までと全く違う印象でした。
劉備と関羽が二人きりになり手を繋ぐシーン。劉備が関羽と一緒にいたいように見えていました。でも、関羽が、劉備の目をつむった微笑みに吸い寄せられるように側にいったように見えた。関羽が劉備。。玉蘭と一緒にいたいのかなと感じました。で、劉備の横顔を間近で何秒か見つめていたのです。

数秒なのですが長く感じました。以前もこんなに見つめてました??とキュンとしてまた涙(笑)見つめている猿之助さんの表情の優しいこと。切ない。そして同じように目をつむり、上を向いて風を感じる表情のさらに優しいこと。

離れていても心は繋がっている。それは魂になっても繋がっているということ。離れ離れになってからの劉備のことを語るシーンは、必ず二人が目をつむって座っている絵が浮かびました。関羽の強さは劉備への想いからなのだと涙しました。

それでも、死を前にして仲間と語り合う時に笑いながら泣いたり、孫権の兵に自ら捕まりにいく決死の表情は人間らしくて好きです。かっこよかった。

魂になって登場する時も違いました。全てから解き放たれ、劉備の隣にいる時の無重力な感じがすごい。劉備に頬を寄せてた気がするけどなかった(笑)でも二人が重なった時、あああ。。心が結ばれたのだなぁと思えました。

笑也さんはますます美しく、強いというより女神のように見えてきた。関羽があれほど想うのも自然。尊い。

全体のチームワークはもともと良いけど、きっと役者さん方の心と体に沁みていたものが溢れてきたのだと感じました。全部が躍動しているような。喜びに満ちて、さらに高みを目指してる。

福之助さん右近さん兄妹のシーンがめちゃめちゃいい!!妹が自害する場面は、福之助さんの憤りの中に悲しみを感じて思わず泣いた。言葉や動きも大胆になってきてワクワクします。もちろん右近さんの熱演あってのシーンです。二人とも熱いです。


宙乗り前のセリフにやはり泣く。
星空を見上げよう。
私も心が強くなるだろうか。

桃の花びら。。絶対に増えてますよね(笑)


幕間の30分は歌舞伎座隣のMATSUZAKI SHOTENへ。
余裕でお席に戻れますよ。

aya


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