見出し画像

<2011年アメブロ編序幕⑩>

2011年の年明けは恒例の「新春浅草歌舞伎」この頃、果敢にお家芸に取り組んでいた亀治郎さんでした。浅草では「独楽」「黒手組曲輪達引」の二つをかけました。TV出演も慣れてきた感が見え、今のようにクイズ番組に出演するようになるとは思いもよりませんでした。


1月4日 新春浅草歌舞伎 第1部

「新春浅草歌舞伎」第1部に行ってきました。11:00~13:54まで、5分と25分の幕間を挟み、若手のパワーでワクワクしっぱなしです。

「三人吉三巴白浪」河竹黙阿弥の作品、白浪とは盗賊のこと。吉三という同じ名前を名乗る三人の盗賊が主人公。百両と名刀’庚申丸’を巡って話が進み、最後は捕らえられてしまいます。

お嬢吉三は、七之助さん。女装の盗賊です。本当は男性という役所ですから、振り袖で大股歩きをしたり立ちまわりをしたり!格好良いお嬢です♪名台詞は切ないような哀愁漂うような。。凛としてストレートに心に響きました。「待ってましたっ!」の大向こうがかかって、ここはやはり盛り上がりますね。

お坊吉三には、亀治郎さん。元旗本の御曹司という盗賊。やんちゃだけど素直な心根が伝わります。和尚を慕っている雰囲気が可愛いです。お坊が切腹しようとし、お嬢が一緒に死ぬと言い出す場面は二人の思いやる心にキュンとしました。

和尚吉三には、愛之助さん。和尚は元僧だった盗賊です。愛之助さん、貫禄があって他の二人を役の上で凄く引っ張っていて器が大きい!双子の兄妹を殺す場面があったからか、一番人間臭い、あったかい人柄だな。。と思いました。

十三郎役の亀鶴さん、存在感あって台詞まわしが気持ち良い。おとせ役の新悟さん、健気で可愛かったです。

大詰の「本郷火の見櫓の場」は、清元連中と竹本連中の掛け合いがサイコーです。延寿太夫の語りは粋だけど切ないです。雪の中で三人が捕らえられてしまうシーンにぴったり。お嬢とお坊が心を合わせ、和尚を助けるため死を覚悟で木戸を開けようと戦う姿に今回も感動です!

この場面の見得の美しさは大好きです。三人の心の絆がとても美しく感じました。真っ直ぐで一途。ラスト捕らえられて、このあと死が待っています。けれど、こんなに熱い想いを抱ける仲間に出会えるなんて羨ましい。幕が締まる前の三人のお顔が、優しく凛として素敵でした。

猿翁十種の内「独楽」澤瀉屋のお家芸の常磐津舞踊です。浅草寺境内で独楽売りが、曲芸を見せる様子から果ては自身が独楽になってしまいます。亀治郎さんが、平成元年に始めて家の芸に臨んだ思い出深い演目だそうです。

亀治郎さんの独楽の曲芸が笑えます。後見さんとの息もバッチリ。あのテンポ感と流れるような踊りは凄いです。様々な役を振りで表現するのですが、顔や手の表情、腰つきまでも一瞬で変化します!引き抜きも見ものです!両手を横に広げ、片足で独楽のようにクルクル廻るところは頭ごと廻っています。バレエの時など、顔を残して廻ると言いますよね。残さないのです!日本舞踊はそうなのでしょうか。友人が気がつき二人で驚きました。目がまわらないのかな。

現代に、今まさに浅草の町で独楽売りを見ているような空間で面白かったです。浅草公会堂は、舞台が小さそうなのに舞台転換が早くてびっくり!大掛かりなセットや道具を惜しみなく使用しているのでいつも楽しみです。すっごく楽しませていただきました。

1月13日 新春浅草歌舞伎 第2部

びっくりしました。。。愛之助さんがインフルエンザで休演なさるそうです。代役の亀鶴さん!頑張っていただきたいです!

さて、「新春浅草歌舞伎」第2部。「壺坂霊験記」西国三十三巡礼の第六番’壺坂寺’その麓に住む、盲目の沢市と女房お里の夫婦愛のお話。二人の気持ちが通じ、観音様のおかげで沢市の目が見えるようになります。今でも壺坂寺は本尊の千手観音様が、目の悪い人にご利益があることで有名なお寺だそうです。

沢市は、愛之助さん。とても愛らしいキャラクターでした。目が見えないことから疑心暗鬼になり女房に嫉妬する心、それが思い違いだったとわかり改心して懺悔する心。すごくいじらしくて、素直な表現に気持ちがほっこりしました。

女房のお里は、七之助さん。まっすぐに沢市を慕う心があたたかい。亭主のお世話が嬉しくてしょうがないという感じで懐の深い女性です。

とにかく二人のやりとりが微笑ましくて。。お客さんも皆さん笑顔でした。その初々しさと、三味線と語りの重厚さや深みが重なり、とても心地よかったです。

何だか役の気持ちがストレートに心に入ってきました。ラスト幸せな二人が花道を去る際、お客さんにも幸せのお裾分けをしてくれたようで会場があたたかな空気に包まれたのが印象的でした。

三代猿之助四十八撰の内「黒手組曲輪達引」歌舞伎十八番「助六」のパロディです。

三代目猿之助さんが新演出をなさったことから四十八撰に選ばれました。新演出というのは、主役は二役だったのを三役演じることにしたこと。ラストの’水入り’を付けたことだそうです。

亀治郎さんが、権九郎、牛若伝次、助六を演じます。序幕でめっちゃワクワクしました!延寿太夫の清元がまた道行のムードたっぷりで素敵。権九郎の亀治郎さんと、白玉役の春猿さんの道行です。

いつもながら春猿さんの美人なこと!艶っぽくて妖しくて、クドキもサイコーです。亀治郎さんと細かいタイミングが絶妙に合っていてワクワク。権九郎は三枚目で、すけべジジィといった感じ。ノリノリです。

その後の早替りが鮮やかです!これでもかというくらいに早い。そして時事ネタも笑えます。浅草出演の主要な役者さんの名前を入れた洒落た台詞や、福山雅治さんや龍馬伝、香川照之さんネタにとどまらず、福山さんの曲をかけてコンサート会場さながら照明も変わり、口パクで熱唱!

亀治郎さんが福山さんファンなのは知っていますがここまでとは。スタンドマイクの先に蓮の花が付いていて面白かったです。お客さんも手拍子しながら楽しんでました。

二幕目で、伊達男の助六となって登場します。序幕より大きく存在感がありました。声の張りも、テンポもリズムも、見たことがない亀治郎さんでした。江戸の伊達男っぷりが様になって素敵でした♪白酒売役の寿猿さんが、冷静で渋くてお芝居を締めてました。

紀伊国屋文左衛門役の愛之助さんも凄く貫禄あって素敵。三浦屋女房役、笑三郎さんが嬉しかったです~♪安定感あって、説得力あります。スキがない感じが好きです。揚巻役は、七之助さん。前の演目同様に愛する男のため体を張ります。堂々としていて格好良い。

ラストの亀治郎さんの水入りは圧巻!思いっきり飛び込んでました。お客さんからも悲鳴が起きるほど。とてもダイナミック!幕切れ盛り上がりました~もとの「助六」を知らなくても楽しめます♪理屈抜きで面白かったです。

三代目猿之助さんが’黒手組~’を初演された28年前の舞台で、6才の亀治郎さんが禿役で助六の手引いていたそうです。「助六を亀治郎が初演するのですから早いものです」パンフレットにそう猿之助さんのコメントがありました。何だかキュンとしてしまいました。

1月21日 5LDKに亀治郎さん

フジテレビ「5LDK」に亀治郎さんがご出演でした。TOKIOさんの番組です。2月のルテアトル銀座の「二月花形歌舞伎」の宣伝のため。亀治郎さん、間近で素顔を拝見した時も思いましたが、お顔がツルツル。本当にキレイなお肌ですね。

私物公開では、ヴィトンのお財布にブラックカード。携帯の着信履歴、最近の芸能人3人では、香川照之さんが一番最近。そのあとは私の知らない女優さんで舞台の共演者さんだそうです。

私が一番興味惹かれたのは、亀治郎さんのお家の部屋。純和風な日本家屋という感じ。文豪が住んでいそうな。壁には師事する哲学者の梅原猛氏の書がたくさん掛けてありました。

そして、私的にこれも意外だったのが、出かける時間ギリギリにならないと支度を始めないこと。電車に間に合わず絶対乗れない!と威張ってましたけど(笑)ちなみに、パスモを持っていて電車が好きなのだそうです。

テレビのご出演はお手のものになってきましたね。雰囲気も柔らかかったです。また近くご出演です。22日(土)のスマステーションのゲストのようです。香取慎吾さんとのトークはどうなるのでしょう♪楽しみです。


1月27日 千穐楽お年玉ご挨拶

千穐楽ラストのお年玉挨拶は亀治郎さん!いつもことながら、真っ向勝負な口上です。「愛之助さんの休演もありましたが、メンバー全員で無事に今日を迎えられました。お客様、浅草の方々、皆様に感謝」と真剣にお話をしたあと。。

携帯電話の電源は。。とお客様にお願い。「おとといも第2部で鳴りました。注意しようと思いましたがそうもいかず、(演技中だから。。)マナーモードではなく。。。」と毒舌混じりで笑いを誘っていました。お客さんがみなさんガサガサ確認し始めたので面白かったです。

生の舞台は、役者の「気」とお客様からの「気」のぶつかり合いが面白いし醍醐味です。これは亀治郎さんだけでなく、いつも役者さん方がおっしゃること。亀治郎さんは今回も話に入れて、千穐楽を盛り上げましょうと雰囲気を作っていました。

いたるところで拍手が起こり、大向こうさんも多くてあたたかい雰囲気の浅草でした。感想はのちほど。。。

1月28日 新春浅草歌舞伎 千穐楽

1月の浅草歌舞伎は、私にとって定番になりました。新橋演舞場や国立劇場よりもアットホームで独特な雰囲気が下町心をくすぐります。客席に、お菓子やお茶、イヤホンガイドの売り子さんまでもがやってくる。千穐楽はたくさんの大向こうさんがいて盛り上がりました。

第2部です!中日あたりからお芝居がどう変わっているかも楽しみ。一つ目の演目「壺坂霊験記」は、沢市役の愛之助さんと、その妻お里役の七之助さんがより自然な夫婦になっていました。年月を重ね、夫婦が夫婦らしくなっていくように。相手に対する反応が、動作がよりさりげなく。。でも感情が深くリアルに伝わってきて感動しました。義太夫にもとても合っていたと思います。

幸せなラストに心がほっこりして、会場内が温かい空気に包まれます。拍手が止まらず、揚幕のチャリンまで、愛之助さん七之助さんに大きな拍手でお客さんが気持ちを届けていたのが印象的です。

2つ目の「黒手組曲輪達引」はやはり亀治郎さんがノリノリでした。福山雅治さんのライブマネのシーンは、今まで鐘の音一つで不合格のような終わり方だったのですが、千穐楽は鐘が鳴り響き合格!亀治郎さんも感無量と喜んでいました。

笑える場面では、しっかり2月の花形歌舞伎の宣伝もあり。福山さんのコンサートに行うと思っていたのに、7役早変わりで来月もまた重労働~と愚痴っていました。

でも、伊達男助六になってからはキリっと色男になります。堂々とした風情もお声の張りも、より大胆でメリハリありました!私が拝見した亀治郎さんの立役の中で一番好きだったかも。。水入りは前回より大胆にダイブして盛り上げていました!亀鶴さんと亀治郎さんの立ち回りのシーンはとても息があってテンポ良くて好きでした。

生意気なのですが、役者さん方のバランスがとてもよくて全体がしっくりきた気がします。無条件に楽しめて、お客さんがお芝居に入り込める。歌舞伎らしい面白さ満載のお話でした。

今年は、昨年ご出演の勘太郎さん男女蔵さんがいないのは寂しかったですが、春猿さん方が出演となったのは嬉しいことでした。楽しかったです。

そして、各座新春の歌舞伎を楽しませてくださった作り手の皆様に感謝です!ありがとうございました。

aya


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?