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歌舞伎鑑賞教室「紅葉狩」

国立劇場 歌舞伎鑑賞教室 千穐楽おめでとうございます。完走できてよかった。明日は無いかもしれないということが日常になりました。だから尚更に嬉しいです。

6月7月に国立大劇場で行われる歌舞伎鑑賞教室。通常は授業の一環として学校団体の生徒さんたちが多く来場します。もちろん一般客も受け入れていますので、歌舞伎座のお客層ではあり得ない風景に毎回のように新鮮に感じてきました。料金も歌舞伎座よりも遥かにお手頃です。

約25日間公演のラスト約一週間は、恒例の「親子で楽しむ歌舞伎教室」が開催され、親子でお得な料金で楽しめ、小学生中心に子供であふれます。私はその最中に行ってきました。

今月は「歌舞伎のみかた」と「新歌舞伎十八番の内 紅葉狩」です。初めに萬太郎さんが歌舞伎の独特な技法や、紅葉狩の説明をする「歌舞伎のみかた」

紅葉狩に鬼が出てくることから「鬼滅の刃」の曲でスタートして萬太郎さんが登場します。言葉がシンプルでわかりやすく、良い意味で淡々としてセンスいい。女方の説明をするため出演する尾上緑さんがまた素敵。スマートでしつこくなくて、大人子供がすごく反応していました。面白かったです。

歌舞伎は全員男性ですと説明して、緑さんが女方の姿で低音で名前を言うとざわつきました(笑)この後の舞踊劇では、梅枝さんが姫姿でいきなり低音を出すので、その時にこのことが活きてきます。また、名刀 小烏丸にかけてカラスが差し金で登場するなど、後から様々なことがジワる粋な演出で楽しめました。

20分間の幕間は、フォトスポットで撮影、QRコードでスタンプを集めて記念品などなどイベントを楽しむ親子たちでロビーが賑わっていました。


さて、舞踊劇「紅葉狩」梅枝さんがすごかった!

もとはお能の「紅葉狩」を河竹黙阿弥が作詞して九代目市川團十郎が初演、新歌舞伎十八番に取り入れました。平維茂が姫姿に化けた鬼女を退治するお話。

Twitterで評判を知り、歌舞伎座中止で空いた日のチケットをさっそく購入。観るか悩んでいたのは、紅葉狩と言えば私にとっては澤瀉屋の「鬼揃紅葉狩」で、鬼女と言えば猿之助さんだったからです。猿之助さんの鬼女を観てからは、他の方では満足できなくなってしまった(笑)

それが!梅枝さんに惚れそうでした(笑)初役ということですが、更科姫の時の美しさはいつもの梅枝さん。舞も美しい。しかし!鬼の本性がのぞき始め、瞬間に見せる表情がいきなり激しくて怖い。そのギャップにしびれました。

だんだんと本性が出てきて、いきなり低音の男性ボイスで叫ぶのです、姫姿で。もうびっくり!舞台で梅枝さんのこんなに激しい男声を聞いたことがなかったから、ひゃーッてなった。そこからの表情がかっこいいのなんの。姫なのに(笑)

ここは猿之助さんもすごいのです。猿之助さんは「人であらざる者」のオーラが支配するのです。動きや表情が、人間でも獣でもない、鬼。古風な味もある。

梅枝さんは、鬼だけど、恐ろしいよりかっこいい。’かっこいい!好き!’みたいな。鬼滅の刃の感覚がこれなのかな。猿之助さんとは人外感が違います。動きもキレキレで、体力が有り余っているのではないかと思うほど。リズムの取り方なのか、キレが独特で観たことがないような激しい立廻り。阿弖流為の勘九郎さん七之助さんを思い出しました。そのくらいすごい。

なんで今までこういうお役がなかったのだろう。あの美声の低音をもっと聞かせてほしい。以前、梅枝さんのトークショーで地声に驚いたものです。それにもっと立廻りを観たい!心から思いました。

今回は姫だけが鬼になりますが、澤瀉屋の「鬼揃~」は侍女も鬼姿で登場します。ちなみに6人も!全員で毛振りをするのが迫力満点なのです。澤瀉屋はさすが派手です。

「紅葉狩」は鬼女と維茂の一騎打ちになります。維茂の松緑さんはスッキリスマートで品があり強かった。梅枝さんとも相性が良いのかテンポが気持ちよかったです。

山神の亀蔵さんで軽やかな風が吹きました。高麗蔵さんの局や侍女の皆様、従者の萬太郎さん左近さん。。チームワーク抜群で楽しい。玉太郎さんの女方がしっくりくるようになりましたね。

三方掛合が楽しかったです。常磐津、竹本、長唄。掛け合いから一体に。今回は字幕表示があったので意味がわかってよかったです(笑)

是非、本興行にかけていただきたい!梅枝さんの新境地ではないでしょうか。というか、もともとこういう方だったのだと感動でした。変化舞踊をもっと観てみたいです。

国立劇場Twitterに激しめの写真が載りましたので貼っておきます。熱が伝わる良いお写真です。

aya


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