見出し画像

<2009年 アメブロ編序幕⑤>

アメブロに書いてきたblogを猿之助さんを中心にまとめています。2009年11月は本気で猿之助さん(当時 亀治郎)を応援していこうと思う舞台「鬼揃紅葉狩」と出合いました。当時は三代目猿之助のもとを離れていた亀治郎さん。初めて「(三代)市川猿之助演出」と外題に付いた澤瀉屋の舞踊を目の当たりにしたのです。また、歌舞伎座の顔見世での大顔合わせにワクワクしたひと月でした。

11月11日 歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部

昨日は歌舞伎座へ行ってきました。夜の部です。観てよかった。昨年の平成中村座以来の「仮名手本忠臣蔵」です。

菊五郎さんの勘平は、展開や心理にドキドキしました。時蔵さんのお軽はキレイで悲しい。菊五郎さんと抱き合った姿は絵のように美しかったです。勘平が血判できた時、心底良かったと感動でした。五段目六段目は、お客さんもじっと見守るという感じで勘平の世界に引き込まれていました。

仁左衛門さんの由良之助は大好きです。艶があってやんちゃな感じで、でもスキがなく、いるだけで場の核なのです。幸四郎さんの平右衛門と、福助さんのお軽のやりとりも贅沢で見応えありました。幸四郎さんの存在感は凄い!とにかく七段目は華やかですね。

観ている方もだんだん参加気分になって「あ~あぶない」とか「あ、隠れてる」などなど。。会場全体に言葉や、声にならない声が多くなります。私も笑ったり拍手したり自由な感じになっていました。

仁左衛門さんが、仇討ちを明かす場面は胸が熱くなりました。「生きた“こころ”」を持って演じないと役の性根はお客様に伝わらないとインタビューでおっしゃっていましたが、私にとって仁左衛門さんは由良之助そのものです。

十一段目、討入りの四十七士の姿はやはり圧巻です!あの並んだ場面を観ると盛り上がるのは、忠臣蔵の世界に入りこんでしまっているからなのでしょうか。本懐を遂げた時は泣けました。

そして、四十七士が花道を行く姿への拍手は仇討ちをとげた赤穂浪士たちへの拍手のように聞こえました。

附けの音がよく響き攻めていて気持ちよかったです~特に見得の時は、音が人物の一部になっていました。舞台装置も素敵で、作り手の気持ちが伝わります。語りや三味線、そこにあるすべてが生きた「こころ」を持つ忠臣蔵でした。楽しませていただきました。

11月17日 新橋演舞場「花形歌舞伎」昼の部

行ってきました~「花形歌舞伎」昼の部です。最前列センターを初体験してきました。自分の視界にお客さんが入らないし、今まで聞こえなかった音が聞こえてきます。さすが花形!客席も若い方が多く華やかでした。

「盟三五大切」人殺しをする主人公が、実は忠臣蔵の赤穂浪士。歌舞伎座で忠臣蔵を観てきたばかりなのでワクワクです。主人公は、染五郎さん。表情と、中盤から発する狂気のオーラに釘付けになりました!観ていて終始悲しかったです。悲しかったけど小万を殺害する場面は美しかった。

菊之助さんの立役は、お父様の菊五郎さんを思い出させますね。菊五郎さんの世話物が雰囲気があって好きです。荒っぽいけど、凄く粋でした。

菊之助さんあっての染五郎さん、その逆も然り!という感じでお二人にはホレボレしました。そして、その間に入り、ほのぼのさせてくれるのが愛之助さん。主人を慕う気持ちが自然と心を打ちます。

良い人は報われて欲しい。。愛之助さんがいなければ、染五郎さんは討ち入りに行けてないし。。と物語に入り込んでいました。

小万の亀治郎さん、隅から隅まで女らしい。途中、胡弓の音色で語る場面は艶っぽくて良かったです。殺される時までも亀治郎さんから漂う雰囲気が魅力的でした。

各所の見得がとってもとっても美しかったです。お話はドロドロしてますがキラキラしてます!染五郎さんの目が本当に恐ろしかった。

現代に生きている私がこの話に入り込み、共感できる部分があって考えさせられてしまうのは、鶴屋南北の作品ならではなのでしょうか。

「四変化 弥生の花浅草祭」松緑さんと愛之助さんの変化舞踊です。松緑さんは大胆に、愛之助さんは力強くスマートに。振りも変化も面白いです!毛振りも凄い!!もう止めて~というくらい振ってますっ!

常磐津、清元、長唄と三つ楽しめて、大薩摩の聴かせところもありワクワクしっぱなしでした。清元の「三社祭」はやっぱり好きです。あっという間の45分でした。

最前列はお客の気配を感じません。役者さんや奏者さん、後見さん、附け打ちさんの呼吸や目線、裏方スタッフさんの気配、ライトの数、装置のリアルな大きさ、どれも新鮮でした。

そして、より一層、すべてが一瞬一瞬に集中する緊張感を感じることができました。いい体験をさせていただきありがとうございました。今日も歌舞伎に元気をいただき感謝です。

11月20日 新橋演舞場「花形歌舞伎」夜の部

昨日行ってまいりました「花形歌舞伎」夜の部です。「三人吉三巴白浪」通し狂言です。序幕の「大川端」を観ただけでしたので楽しみにしていました。やはり台詞まわしが面白いです。七五調が、聴いているうちにだんだん自然に入ってきて心地よくなります。三人それぞれの雰囲気がハーモニーとなって素敵でした。

菊之助さん、女装をしている男性役。キレイなたくましさが私には新鮮。聴かせどころの台詞はワクワクです!愛之助さんのいい男ぶりにホレボレでした。菊之助さん、愛之助さんが死のうとする場面は、盗賊なんだけど、そのまっすぐさにせつなくなりました。

松緑さんの和尚吉三は心打たれました。親や義兄弟への思い、自分の兄妹への思いがズキンと痛かったです。

とにかく三人のすべての場面が美しい!特に、大詰「本郷火の見櫓の場」は世界観に引き込まれます。清元、竹本掛け合いの中、附けの音から心情も感じ、立ち回りの見得が悲しくもあり綺麗でもあり。。大雪の中の火の見櫓が本当に冷たく感じました。因果応報、やるせなさを美しさが引き立てていました。

「鬼揃紅葉狩」お能が元になっている舞踊です。舞台上には、常磐津、竹本、途中から長唄が加わり三方から役者さんを囲むように演奏。圧巻です。最初は掛け合いなのですが、だんだん演奏が重なってきて姫が鬼女になっていく様子をめちゃめちゃ盛り上げていきます。

亀治郎さんは、エンターテナーです。今回、初役で猿之助型を忠実に行っています。久しぶりに拝見したお姫様の姿は、美しく近寄りがたくもあり、でも親しみも感じる。踊りも艶っぽく。。やはり亀治郎さんの踊りは目が離せないです!グッと引き寄せられます。

鬼女の妖しい雰囲気が徐々に出てくるところから引っ込みがたまりません!このテンポ感は亀治郎さんならでは。鬼女になってからは、さっきの姫はどこへやらで少しコケティッシュにも見える所もあり、さらに楽しませてくださいます!

途中、傳十郎さんの笛がいいなあ。。と思いましたし、弱っていく時も、踊りと演奏で静と動が巧みで面白いです。猿之助さんの演出で、亀治郎さんのテンポ感と独特な間が楽しめました。あ~体験できてよかった。

大向こうさんの声と拍手と、お客の「お~ッ」と言う声。スカッと楽しませていただきました。

11月24日 歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部

昼の部です。「仮名手本忠臣蔵」前回も感じましたが、歌舞伎座の空間で観られるのは格別ですね。

口上人形は、どんどんお客を引きつけ、ガサガサいっていた場内を集中させていきました!愛嬌があり和みます。

「大序」大好きな場面です!鼓と笛と柝の音、幕の開き方がワクワクさせてくれ、この後の壮大なお話を予感させます。役者さんのすべての形に高揚します!七之助さんが威厳があり、大御所たちの中でしっかりと芯となっていました。

松の間の刃傷にいたるまで、富十郎さんはホント憎たらしい!!私の中の師直像に一番近い方です。斬りかかった若狭之助に謝る姿はふてぶてしく腹が立つほどです。

若狭之助、梅玉さんのキレのある怒りは気持ちよく、塩谷判官、勘三郎さんの表情とたたずまいから発せられる怒りと、それを押さえようとする葛藤は凄い!ほぼ動きがないのに、痛いほど伝わります。

師直の挑発に、一度目、刀に手をかけた時、判官が背負っているものが見えるよう。。そして、刃傷におよぶ前、師直の袴を踏みつけ「待て」と言った時は私の心の中が悔しさでいっぱいでした。

判官切腹の場はとても厳かでした。ほぼ無音で進む場面は、まさにその場に立ち会っている気分です。幸四郎さんの由良之助の大きな人柄、明け渡しの時のお城に一礼する姿、どれも感動でした。

仁左衛門さんの人情ある苦渋の表情も印象的でした。夜の部が各所でフラッシュバックして切なかったです。

「道行旅路の花聟」は舞踊劇。清元の演奏は、粋なのですが哀愁が漂っていて好き。菊五郎さんの勘平、時蔵さんのお軽。やはりこの後の悲劇を観ているだけにせつない。絆を感じるくらいお似合いだし。。幸せになってほしいなあと思ってしまいます。

全体の装置も素晴らしかったなあ。。舞台転換の大技も見られたし。裏方さんも、忠臣蔵に関わることは誇りだと聞きました。納得です!

やっぱり、忠臣蔵いいなあ~と余韻に浸っています。ありがとうございました。

11月26日 「花形歌舞伎」千穐楽!

行ってきました~~!!夜の部千穐楽!花道の演技を観たくて2階席から観劇です。とってもとってもエキサイティングでしたッ!

全部いいけど特に「鬼揃紅葉狩」!亀治郎さんも凄かったです~ホントに観てよかった!

かなり気合いが入っていて踊りの色気が倍増です。あの微笑みと手の動きを見ていると亀治郎さんらしくてワクワクします。

鬼女の方々の毛振りが全力投球で面白く、音楽も豪華で効果的、笛の傳十郎さんの音色がやはり素敵でした。笛を換えながら演奏するのですね。

ラストの長袴での鬼女亀治郎さんの見せ場は、めちゃめちゃ盛り上がりました。附けもぴったり音楽もぴったり!

猿之助型で亀治郎さんは楽しい!印象的だったのは、幕が閉まりながら万来の拍手が起き、閉まった瞬間に会場が大きくどよめいたことでした。こんなに大きなどよめきは初体験かも。。。

ラストシーンに紅葉が舞台上から振ってきました。これが5日前からの新しい趣向だったようです。すべてが一体となっていて、作り手の方々の気持ちをいただいた気分です。

11月の良い観劇納めとなりました。

aya

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集