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市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座 花形舞踊公演の旅 Ⅱ

京都で行われた舞踊公演を観に行った旅の続きです。

劇場ロビーには、画家であり京都芸術大学教授の山本太郎さんが描いた猿之助さんの狐忠信の屏風絵がありました。ご本人もいらしていました。狂言の茂山千五郎家の「YouTubeで会いましょう」で存在を知った方です。先月の歌舞伎座の余韻を感じる素敵な絵でした。

「扇売高尾」
猿翁さんと藤間紫さんが約30年前に踊って以来の上演だそう。紫さんはご宗家(勘十郎さん)のお婆様です。これを猿之助さんと踊ることは夢だったとご宗家の言葉にありました。

だからなのか、とってもご宗家が楽しそう。約1時間の大作で、セリフも多い。立役で言うセリフが大迫力でした。

扇売りおしづ 実は 高尾の亡霊 猿之助さん
僧 道哲 実は 左金吾頼兼 壱太郎さん
うちわ売り四季の庄兵衛 実は 鳶の嘉藤次 ご宗家(勘十郎さん)

~恋仲だった道哲と高尾。道哲が高尾の菩提を弔っています。そこへ高尾そっくりの扇売りの’おしづ’と、うちわ売りの庄兵衛がやってきます。後半は、おしづと庄兵衛が本性を現します~

初見でプログラムを観てもストーリーがあまりよくわからないのですが、それは気にならず楽しめました。

猿之助さんの素踊りを生で拝見するのは久しぶりです。この方の踊りは本当に心憎い。吸い込まれるように見入ってしまう。女方の踊りはしなやか。当たり前ではない一瞬一瞬が愛おしかったです。

素踊りを観るたびに、猿之助さんの力が抜けていくのを感じます。もちろん、良い意味で。少しの動きで状況や気持ちが伝わってくると思うのです。観る側の私もそれなりに見続けたからかもしれないけど、昔はもっと表情も力む箇所があったというか、大きい動きだったように思う。これは今回が女方だからというわけではない感覚です。表情がとても柔らかかったのも印象的でした。

上手く言えないけど、お客と対等な目線になったというか。。伝わるかな(笑)楽しませよう!という気合より、一緒に楽しもう!みたいな空気感。良い意味で心に余白がもらえてゆったり観ていられるというか。お客を信頼してくれてるのを感じるというか。

ご宗家のうちわ売りと、猿之助さんの扇売りがわちゃわちゃする場面が面白かったし、壱太郎さんと三人並んで踊る場面は、どこを見てよいのやらで嬉しい悲鳴でした。

壱太郎さんは二演目ともに立役でした。爽やかで、二人の濃さを中和してくれてた(笑)立ち姿も美しく目の保養でした。

引き抜きがありました。素踊りでするのは初めて見たかも。猿之助さんの後見さんが勢いよく糸を抜いて素早いなーと思って見たら段一郎さんではない様子。後で笑猿さんが引き抜きデビューだったと知りました。本興行デビューも楽しみです。

お芝居を観ているようで面白かったです。約30年ぶりで全員が初役なのにすごいなぁと感動です。

常磐津と竹本の掛け合いも豪華でした。春秋座は響きが良く、お席にもよるかもしれませんが、言葉も聞き取れます。アットホームな空間で楽しかったです。翌日も観るので進化が楽しみとワクワクした余韻でした。

終演後は、2年以上ぶりに会う友人とランチ。関西の猿之助ファンはなかなか歌舞伎座に来ること叶わない方が多い印象で、やっと会えました。

大学内や近辺はファンで混むので少し歩いた「一善や」というケーキや軽食があるお店に連れて行ってもらいました。

彼女は次の回も観るということで、私は一人でバス移動。小雨の中、ぶらぶら散歩をしながら「然花抄院 京都室町本店」へ。半生のカステラや幻月というお菓子が有名です。

ここは茶庭を眺めながらゆっくりできます。活けてある桜が綺麗でした。

京都のレストランでキャンペーン中ということで、特別メニューがありました。お店のお菓子を少しづついただけるセットです。飲み物も付いていて、私は京番茶にしました。焦げるほど焙じるのだそう。香ばしい香りから、店員さんのお婆様は’タバコ茶’と言うくらい。遠くからでも香りがして、確かに強烈(笑)でもクセになるくらい気に入りました。芯から温まった。

店内は夕方だったからか空いていました。蔵やギャラリーもありゆっくり見学して楽しみました。豊かな時間でした。

そして、夜は違う友人たちと三人で食事。夕方の回を観終わった友人と、偶然にも京都に来ていた静岡の友人(歌舞伎ファンじゃない方)。全員が顔見知りということで集まることに。このご時世なのでお店は時間制限があるし、二人はほぼ飲めないのでサクッと会食。

「煮野菜 おにかい」は京都に詳しい方が教えてくださいました。京野菜がバンバン食べられて、どれもおいしい!お料理には全て野菜の出汁が使われていて最高に美味でした。人気店のようです。

デザートのテンコ盛りアイスの上に大きな湯葉が乗っていて笑いました。豪快すぎる。楽しい夜でした。

また会いましょう。それぞれのホテルへ解散です。帰り際の五条橋からの眺めは美しかった。明日も春秋座へ参ります。

aya


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