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人で非ざる者

桜が見ごろを迎えました。

ヘッダーの写真は浅草の夜桜。土曜日は浅草木馬館に行ってきました。舞台が恋しくて途中下車をして大衆演劇です。

コロナ禍、毎月のように猿之助さんは舞台に立っていました。地方公演の再開は遅く、緊急事態宣言を受けて休演した後は歌舞伎座だけで公演が続きました。

東京住まいとしては有難く、安心安全な歌舞伎座に。。命がけで舞台に立つ猿之助さんに。。心の救いを求めて通いました。

こうした日々は奇跡だったのだなぁと実感しています。

今年に入り今まで以上に遠征をしたら、体調不良とも重なって心身にダメージを受けてしまった。仕事を休みがちになり、思うように舞台を楽しめなくなっていました。

遠征先の舞台が楽しかった分、帰ってくると寂しさで心がいっぱいになり身体も不調になっていました。

だから、私は追いかけず、自分の心と身体が喜ぶことをしたいと気づきました。舞台を観ている時間だけが幸せでは嫌だと思うようになりました。劇場にいない不断の時間も幸せを感じて生きていきたい。


さて、ふと観たくなって行った浅草木馬館。初めて観る「一見劇団」で、久しぶりに「人で非ざる者」のオーラを纏っている若い役者さんを発見しました!あくまでも個人の感想ですけど(笑)

人で非ざる。。つまり人間ではないということですが、これは猿之助さんの真骨頂でした。

女郎蜘蛛の精
鬼女:鬼揃紅葉狩
稲荷明神(演劇界より)

猿之助ファンの多くが大好物であろうお役たち。まだまだあります。人ではないお役と言えば猿之助さんです。

最初の写真は、早替りが得意な澤瀉屋縁りの演目「蜘蛛の絲宿直噺」の傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精。猿之助さんは5役早替りで務め、女方の傾城から変化して蜘蛛になります。

二枚目は「鬼揃紅葉狩」の鬼女。更科姫という美しい赤姫から変化してこの姿。

どちらの舞踊も、この姿になるまでかなりの時間を踊っています。ラストに隈取の長袴の拵えになり暴れます(笑)跳んだり、クルクル回ったり、激しく跳ねて見得をしたり。

激しい中でも、長袴さばきの美しいこと!まさにどの瞬間を切り取っても絵になります。

三枚目は神様。
舞踊劇「小鍛冶」は、刀匠である三条小鍛冶宗近のもとに稲荷明神がやってきて一緒に刀を打つ話。その刀は「子狐丸」と名付けられます。

神様を見たことあるわけではないけど、まさに神。頭の狐が斬新で、手つきも狐っぽい。ものすごく激しい舞踊で静と動を使い分け、飛び跳ねる滞空時間も長く美しかった。激しくても足音がしないのがすごかったです。


舞踊を観るといつも思っていました。
この方は人間なのか、と。

劇場の空気を止め静寂を作ったかと思えば、観る側を熱狂させて劇場を揺るがすほどの拍手が起こる。

あああ。。話しても話しても足りない(笑)

話を木馬館に戻します。

「一見劇団」はお芝居に力を入れている印象で、予想外に泣いてしまった。主演の古都乃竜也座長の間合いにやられました。総座長の一見好太郎さんも心憎い芝居でした。

一部の舞踊「神奈川水滸伝」。水滸伝と聞くと澤瀉屋を思い出すけど全く違った(笑)以前、純弥さんが西成結劇場に出演した時に写真で激しいビジュアルを見て気になっていた演目。芝居かと思ったら舞踊でした。思いっきり任侠物。刺青の背中が並んだ絵が圧巻でした。

二部のお芝居を挟んで、三部のラストショーが「三人吉三」でした。何回目?というくらい引き寄せてる(笑)

でもそのお陰で劇団ごとにカラーの違いが楽しめました。

大雪は定番のよう。

そこで「お!」となったのです。
紅 ア太郎さんのお嬢吉三。動きがエキセントリックで目を引きました。竜也座長や好太郎総座長は上手いという印象だけど、この方はワクワクしました。人で非ざる者のオーラを感じる。

人間役ですけど(笑)

紅ア太郎さん

身体は小さくても熱の放出量がハンパない。全力感に惹きつけられました。鬼女役を観てみたいなーなんて思いました。

舞踊の刀アクションもキレキレですごかった。刀クルクルは大好物なので興奮しました。アクロバットもしていました。

お芝居の出番が少しだったので、ガッツリも観てみたいと思いました。私、若い方にはあまりピンとこないのですが、久しぶりにワクワクしました。そんな自分が嬉しい。

こうしてふらっと観に来るのも楽しい。
時間が空いたらまた観ようと思います。

えーと、私の感覚ではある意味この方も「人で非ざる」グループかと。。春風亭いっ休さん。キャラは宇宙人的な気がする。

金曜の夜に勉強会「いっ休入魂」に行ってきました。

らくごカフェ(神保町)

毎月行う勉強会で新作を披露するのはすごい。私は落語に明るくないから他のネタがわからない時のほうが多いです。でも、いっ休さんの作る新作は内容が易しい。

今回は「でっかいどー」北海道出身ということで、北海道人がほぼ好きではないであろうダジャレにフォーカスして作ったネタ。くだらないんだけど(笑)可笑しい。で、披露した4つの中で一番好きだったりします。

落語家になる前からの知人なので、見送りで話せるのも嬉しい。2月は歌舞伎を観てくれたそう。楽しかったという笑顔が嬉しかったです。

来月は5/9です。


楽しかった二夜でした。


aya


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