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FF16ロアの日本語版・英語版の比較④(地理と情勢)

限界トルガルです。引き続き、FF16のハルポクラテスのロアに関して、ハルポクラテスのロアの大項目である「登場人物」「地理と情勢」「世界と事象」「召喚獣と魔物」にそれぞれ分けて、英語版のロアを翻訳することで自分なりに気付いたことなんかを書いていきます。

最後となる今回は「地理と情勢」について。

この記事は英語版と日本語版が違いに文句を言おうとかそういう意図ではないので、読んでいく中で「これは日本語版でも知りたかった!」みたいなことがあれば、知らなかった情報を知っていくことの楽しさや面白さを感じて貰えたら嬉しいです。

そしてこれは英語出来ない人間が、複数の翻訳サイトを駆使してある程度意味が通るように翻訳しているものなので、もしかしたら全然違うとか、そもそも書き起こした文章がちょっと間違ってるとか、そういうのもあるかもしれません。大目に見ていただけるとありがたいです。

まずとりあえず表題のFF16のロア「地理と情勢」についてまとめたPDFを貼るので各自見たい方は見て下さい。文字だらけなので暇で読みたい方だけオススメします(見にくい部分はごめんなさい)


開くとこんな感じで見れると思います。

一応書面の上部にも書いてありますが、ロアの左側が日本語、右側が英語、そして中央の青い色塗りがしてある部分が翻訳したものです。

日本語と比較して表現の違いで個人的に面白い部分を「赤い文字」にしており、さらにその違いの中で個人的に重要そうな表現だなと感じた部分を「緑に色塗り」にしてあります。なので全部読むのが面倒な人は、赤い文字や、緑の色塗りのロアを見てみるといいかもしれません。

日本語版にしかない表現、英語版にしかない表現がそれぞれあり、言い回しを変えている所も両者にあります。個人的にはこういう国によって表現を変えるのは不自然とは思わないので、「なぜその表現を入れたかったのか」「なぜその表現を変えたかったのか」とかすら、考えるのが楽しいと思ってしまいます。ただ、確かに英語の方に追記されている感情や情報があるのは事実だと思うので、そういうのが知りたかった方がスッキリ出来れば更に楽しいですね。

※ちなみに「地理と情勢」のロアは内部の小項目全部で247種類(全体690種類)、日本語版ロアの文字数 (これは間違いあるとは思いますが) は27,865字、英語版ロアの文字数は97,911字、翻訳版の文字数、これは自分が作ったので正解はないですが、37,038字となっています。

そしてここからは、個人的に「地理と情勢」のロアで気になったもの(緑色に塗っていたロア)で思った事を書いていきます。


1.ヴァリスゼア -マザークリスタルの真相-

(日本語)
風の大陸と灰の大陸と呼ばれる二大陸からなる大地。遥か昔、アルテマは黒の一帯の脅威から逃れ、無垢なる大地ヴァリスゼアを発見した。新たな理に基づく世界を画策し、各地に配されたマザークリスタルは、創世に必要なエーテルを集める役割があった。

(英語)
A realm comprising the twin continents of Storm and Ash, over which the Mothercrystals once stood vigil. Countless eons ago, Ultima arrived here, fleeing the Blight that devoured his own homeland, and resolved to rebuild the world and usher in a new and final age of pure reason. It was he who placed the Mothercrystals in each corner of the land that they might harvest the aether he needed to achieve this end.

(翻訳)
ヴァリスゼアは風の大陸と灰の大陸の二大陸からなる大地で、マザークリスタルが見守っていた。数え切れないほどの昔、アルテマは自らの故郷を食い尽くした《黒》から逃れてこの地にたどり着き、世界を再構築して純粋な理性に満ちた新しい最後の時代を切り開くことを決意した。この目的を達成するために必要なエーテルを採取するため、マザークリスタルを大地の隅々に配置したのも彼だった。

まずはFF16の舞台、ヴァリスゼア。

「and resolved to rebuild the world and usher in a new and final age of pure reason.(世界を再構築して純粋な理性に満ちた新しい最後の時代を切り開くことを決意した)

日本語だと「理(ことわり)」と表現されることで、「理とは?」という気持ちになった方もいると思いますが、英語版だと「pure reason (純粋な理性、純粋な道理)」のような表現になっていました。

ヴァリスゼアにきて最初に治水工事(エーテルの流れを整える)のような事をやり出したことからも感じていましたが、アルテマは、凄く理屈やルールに則っている状態を好んでいるので、感情的に予想外のことをしだしてしまう人間という存在が、不可解であり、理解出来なかったように思えます。

実際アルテマが長い年月をかけてやろうとしていたこと自体はとても優れた内容でしたが、それぞれの生物の生き方によって、適合出来ない種族は淘汰されていくわけで、地球の歴史では、必ずしも強いものが生き残ってきたわけではなく、生き残る工夫をしてきたものが生き残っていると感じます。人間の感情というものはとても不思議です。


2.ベンヌ湖

(日本語)
風の大陸中央部、黒の一帯にある湖。広大な湖には点々と飛空艇の残骸が散らばっており、飛空艇の墓場とも呼ばれている。そのひとつを利用し、クライヴたちが新たな隠れ家をつくり上げた。交易路からも遠く、周囲はすべて黒の一帯と化しているため、人が訪れることはなく隠れ家がひっそりと佇むのみである。

(英語)
A lake in the Blighted lands on the southern edge of the former Grand Duchy of Rosaria named for the dragon that some tales say created the basin when it fell from the sky. Fallen airships dot its expansive waters like forgotten cenotaphs, leading some to liken it to a graveyard. Its remote location—far from any trade route and deep inside the deadlands—made it an obvious choice for Clive when faced with rebuilding Cid’s legacy.

(翻訳)
旧ロザリア公国の南端に位置する荒廃した土地にある湖で、竜が空から降ってきてこの湖を作ったという伝説にちなんで名付けられた。広々とした水面には、忘れ去られた慰霊碑のように墜落した飛行船が点在し、墓地に例える者もいる。交易路から遠く離れ、黒の一帯の奥深くに位置するこの地は、シドの遺産を再建しなければならないクライヴにとって、当然の選択だった。

続いてベンヌ湖。

「named for the dragon that some tales say created the basin when it fell from the sky. (竜が空から降ってきてこの湖を作ったという伝説にちなんで名付けられた)

これもまた、前回の「召喚獣と魔物」の項目でもあった、創成期の竜の伝説と同様のものでしょうか?

ただ、創成期の竜はヴァリスゼアそのものを作ったとも言われているので、規模感が難しくはありますね。大陸に竜が落ちたことで地面に穴が開き、そこに湖が出来たのか。それとも、大陸そのものになった竜の体のくぼみの一部に水が溜まり湖となったのか。面白いですよね。

ちなみに余談ですが、この「ベンヌ」とは、古代エジプト神話に登場するフェニックスの原型、聖なる鳥ベンヌからとっている名前だと思います。


3.フェニックスゲート -概要-

(日本語)
ロザリア公国の北西部に位置する砦。元々は北部諸国との戦のためにつくられたが、ロザリア公国が北部を平定したことで防衛の要として役割を終えた。現在は主に神聖な儀式を行うための場所となっており、戦の前に召喚獣フェニックスのドミナントが軍事の天啓を仰ぐ習わしに使われている。

(英語)
A walled keep situated near Rosaria’s northwestern border. It was originally constructed to serve as an outpost in the wars against the Northern Territories, but its true significance lies deep within the ruins atop which the stronghold stands. Here, in an ancient chamber accessible only to the Dominant of Fire, is held the Rite of Ancestral Communion—an important ritual in which it is believed that the Phoenix can hear the words of the duchy’s forbears.

(翻訳)
ロザリア公国北西部の国境近くに位置する城壁に囲まれた砦。もともとは北部領土との戦いの前哨基地として建設されたが、その真の意義は砦の上にある遺跡の奥深くにある。ここには火のドミナントだけが立ち入ることのできる古代の部屋があり、祖先の聖餐式(天啓の儀)が執り行われている。これは、フェニックスが公国の祖先の言葉を聞くことができると信じられている重要な儀式である。

続いてフェニックスゲート。

「an important ritual in which it is believed that the Phoenix can hear the words of the duchy’s forbears.(フェニックスが公国の祖先の言葉を聞くことができると信じられている重要な儀式である)

これも、新しい情報です。天啓の儀式という名前は登場し、戦の前に形式的な儀式を行うというのはわかっていましたが、実際に祖先の言葉を聞けることはあったのでしょうか?

フェニックスは他者に力を分け与えたりと特殊な能力も持っているので、ドミナントを吸収し心の中で彼らの声を聞いたクライヴのように、フェニックスのドミナントは、歴代のドミナントたちの言葉を感じ取れるような特性もあったのかもしれないですね。


4.ロザリア統合

(日本語)
大陸歴861年に起きた、ザンブレク皇国によるロザリア公国の統合。大公妃アナベラがザンブレクと結託したフェニックスゲート襲撃事件。この事件は隠蔽されたが、ロザリアは大公を失い、さらに鉄王国の侵攻によって弱体化。その機を狙ったザンブレクにより統合され、属領となった。

(英語)
In the year 861, taking advantage of the discord arising from Rosaria’s internal woes in the wake of the Night of Flames, the Ironblood launched an attack that inflicted devastating losses on an already crippled nation, robbing it of what little power remained. Later that same year, Sanbreque stepped in and forced the once-proud duchy to submit to one final humiliation by becoming a vassal state of the empire—just as Duchess Anabella and her imperial conspirators had planned.

(翻訳)
861年、炎の夜の後、ロザリア国内の不和に乗じて鉄王国軍が攻撃を開始し、すでに機能不全に陥っていたロザリアに壊滅的な損害を与え、わずかに残っていた国力を奪った。その年の暮れ、ザンブレク皇国が介入し、大公妃アナベラと皇国の陰謀者たちの計画通り、かつては誇り高かった公国に皇国の属領となる最後の屈辱を強いた。

続いてロザリア統合。

「just as Duchess Anabella and her imperial conspirators had planned.
(大公妃アナベラと皇国の陰謀者たちの計画通り)

英語版からは、明確に「ロザリア公国が滅亡したきっかけは、アナベラとザンブレク皇国の陰謀者の計画」という情報が読み取れます。陰謀者 "たち" と複数形である以上、神皇含め、五賢人たちも加わった陰謀だったのかもしれないですよね。どの段階からアナベラに接触したのか、そして、どちら側から持ち掛けた話だったのか、アナベラ自身はいつでも寝返る動機がありそうだったので、こういう所もいつか語られる日がくると嬉しいですね。


5.ホーク・クライ断崖

(日本語)
皇国属領ロザリアの南部に広がる奇岩地帯。岩盤が隆起している険しい土地で、渓流を隔てた先にはアンバーという集落がある。

(英語)
A location in the southern part of the Imperial Province of Rosaria known for its distinctive rock formations. There are myriad theories as to how the unique stratification was achieved, from natural shiftings of the earth, to clashes of bygone Eikons, to lost Fallen magicks. The people who live in their shadows, however—such as those residents of the tiny village of Amber—will merely tell you a rock is a rock.

(翻訳)
ロザリア公国の南部に位置し、特徴的な岩石で知られる。この独特な地層がどのようにして形成されたのかについては、大地の自然な変動、過ぎ去った召喚獣の衝突、失われた空の文明の魔法など、無数の説がある。しかし、アンバーの小さな村の住民のように、その影で暮らす人々は、岩は岩だと言うだけだ。

続いてホーク・クライ断崖。

「from natural shiftings of the earth, to clashes of bygone Eikons, to lost Fallen magicks. The people who live in their shadows, however—such as those residents of the tiny village of Amber—will merely tell you a rock is a rock.(大地の自然な変動、過ぎ去った召喚獣の衝突、失われた空の文明の魔法など、無数の説がある。しかし、アンバーの小さな村の住民のように、その影で暮らす人々は、岩は岩だと言うだけだ)

これは、個人的に好きなフレーバーテキスト的なやつですね。見たことない人間からすれば不思議なその光景も、住む人間たちからすればただの岩に過ぎず、それがどう出来たかなんてのはどうでもいい話感が出ていて、とても好きです。その地形がどうやって出来たかなんてことより、今日明日を生きていく方がよっぽど重要だと感じる世界なんですよね、きっと。


6.ザンブレク皇国 -ロザリアの属領化-

(日本語)
風の大陸北東部に位置する国家。皇都はオリフレム。領内にマザークリスタル・ドレイクヘッドを擁する世界最大の宗教国家。元老院が政を担うが、その元首たる神皇が実権を握っている。大陸歴860年にロザリア公国に襲撃を仕掛け、後に属領化した。

(英語)
A nation occupying the northeastern reaches of the continent of Storm, with the great city of Oriflamme as its capital. Political power in the empire technically resides with the five cardinals, but even they are bound to the whims of the holy emperor in those manners of state in which he takes interest. In the year 860, at Emperor Sylvester’s behest, the cardinals agreed upon a plan to “liberate” Rosaria from the marauding forces of the Iron Kingdom, after which the duchy had little choice but to bend the knee and become an imperial province.

(翻訳)
風の大陸北東部に位置する国家で、大都市オリフレムを首都としている。皇国の政治権力は表向きは5人の元老院にあるが、彼らですら、神皇が関心を寄せる国家のあり方においては、その気まぐれに束縛されている。860年、神皇シルヴェストルの命令を受けた元老院たちは、鉄王国の襲撃軍からロザリアを「解放」する計画に合意したが、その後、公国は跪き、皇国の属領となるしかなかった。

続いてザンブレク皇国。

「In the year 860, at Emperor Sylvester’s behest, the cardinals agreed upon a plan to “liberate” Rosaria from the marauding forces of the Iron Kingdom, after which the duchy had little choice but to bend the knee and become an imperial province.(860年、神皇シルヴェストルの命令を受けた元老院たちは、鉄王国の襲撃軍からロザリアを「解放」する計画に合意したが、その後、公国は跪き、皇国の属領となるしかなかった)

これも、上で書いた「4.ロザリア統合」と繋がりそうな部分ですね。正直、個人的にはロザリアを襲った鉄王国の襲撃もタイミングが良すぎるので、「最終的に不慮の事故で大公を失ったロザリアを、鉄王国の襲撃から救ったザンブレク皇国」という状況にするため、最初からそう仕組まれていたとも思います。つまり、

①アナベラから情報を仕入れ、少数精鋭でザンブレクが大公を殺害する→②その状況や情報(この日にロザリスの襲撃が容易になる可能性が高いという情報)を事前に鉄王国側にも流し、ロザリアが見せた隙を鉄王国が狙ったという構図にする→③自国の力ではどうにもならない元同盟国を、"仕方なく助け、属領として面倒を見る" という流れにする、という予定調和ですね。色々な思惑が存在していた感じがして凄くいいです。


7.ドレイクヘッド -概要-

(日本語)
ザンブレク皇国が擁するマザークリスタル。天に届くほどの高さを誇り、麓に皇都オリフレムを抱えてそびえ立っている。皇国の栄光と繁栄の象徴であるが、昨今は周辺が黒の一帯に蝕まれており、国の上層部は豊かな土地を新たに求めている。

(英語)
A Mothercrystal situated on the Sea of Grace in northern Sanbreque. Drake’s Head towers over the Holy Capital of Oriflamme, its mighty form a testament to the power and permanence of the empire. However, mysterious aetherfloods and the specter of the ever-encroaching Blight have led some in power to call that permanence into question.

(翻訳)
ザンブレク皇国北部の恵みの海に位置するマザークリスタル。ドレイクヘッドは皇都オリフレムにそびえ立ち、その強大な姿は皇国の力と永続性の証となっている。しかし、謎めいたエーテル溜まりと、絶え間なく迫り来る黒の一帯の脅威により、権力者の中にはその永続性を疑問視する者もいる。

続いてドレイクヘッド。

「However, mysterious aetherfloods and the specter of the ever-encroaching Blight have led some in power to call that permanence into question.(しかし、謎めいたエーテル溜まりと、絶え間なく迫り来る黒の一帯の脅威により、権力者の中にはその永続性を疑問視する者もいる)

ドレイクヘッドの地下から溢れたエーテルは、シドたちが乗り込んだあのタイミングだけではなく、過去からも継続的に懸念材料として挙がっていたと読み取れます。日本語版でもドレイクヘッドに乗り込んだ内部の会話で、エーテル溜まりとは何か、そしてそれがなぜ発生しているのか、は説明されていました。しかし、皇都オリフレムの中には「この場所に留まれば、いずれ街全体がアカシア化してしまうのでは」と懸念していた人間もいたようです。

実際、シドたちがドレイクヘッドに乗り込んだタイミングと、ザンブレク皇国の部隊がクリスタル自治領を狙いに行ったタイミングはほぼ一緒です。ドレイクヘッドの最深部にアルテマが待ち構えていた所を見ると (防衛機構に反応して出てきた可能性もあるけど) やはりアルテマは、あらかじめシドたちがマザークリスタルを破壊しに来ることも予測した上で、そういった情報やタイミングを、シルヴェストル側に流していたような可能性も感じてしまいますよね。

その情報自体はアルテマからというわけではなく、オリヴィエ→アナベラ経由だったかもしれないし、オリヴィエ→アナベラ→星詠み経由だったかもしれないですが、何かあのタイミングでクリスタル自治領に侵攻を決めた理由にもアルテマの影があるような、そんな気がしてます。


8.ダリミル宿場 -概要-

(日本語)
ダルメキア共和国の西部にある宿場町。広大なヴェルクロイ砂漠のオアシスにつくられた町で、行商人たちの中継地であり、露天や食事処、娼館などが立ち並ぶ。マザークリスタル・ドレイクファングからもほど近く、近隣の石灰棚から湧き出る温泉も有名。

(英語)
A literal oasis in the Velkroy—a desert in the western part of Dhalmekia—Dalimil offers goods, food and respite to those travelers who endure the long march through sweltering sands. In particular, the hot spring baths, fed from nearby waters, will not only ease the pains of the road, but are also rumored to cure all manner of ills, from boils and buboes, to the various afflictions to the groin—many of which are like to be contracted at one of Dalimil’s many brothels.

(翻訳)
ダルメキア共和国西部の砂漠、ヴェルクロイにある文字通りオアシスであるダリミル宿場は、うだるような暑さの砂地の長い行軍に耐える旅人たちに、物資や食料、休息を提供している。特に、近くの水から湧き出る温泉は、旅の痛みを和らげるだけでなく、腫れ物や水疱から股間の様々な病気まで、あらゆる病気を治すと噂されている。その多くは、ダリミルに数多くある売春宿のひとつで感染するようだ。

続いてダリミル宿場。

「In particular, the hot spring baths, fed from nearby waters, will not only ease the pains of the road, but are also rumored to cure all manner of ills, from boils and buboes, to the various afflictions to the groin—many of which are like to be contracted at one of Dalimil’s many brothels.(特に、近くの水から湧き出る温泉は、旅の痛みを和らげるだけでなく、腫れ物や水疱から股間の様々な病気まで、あらゆる病気を治すと噂されている。その多くは、ダリミルに数多くある売春宿のひとつで感染するようだ)

この「地理と情勢」ロアの中でも中々衝撃的なやつです。ダリミル宿場のあの温泉は、娼館から貰う様々な病気に効くという温泉だったんですね。「暑い国なのに、温泉が人気なんて面白いな」なんてプレイしてる時、ふと頭をよぎったんですけど、ちゃんと人気な理由が英語版のロアを見て正しく理解出来ました。感謝です。


9.ロザリア・ダルメキア同盟

(日本語)
大陸歴850年、ダルメキア共和国とロザリア公国間で結ばれた同盟。共和国の一都市であったカンベルの独立運動を抑止する目的があった。この同盟により技術協力や使節団交換などが行われ、カンベルの独立後はザンブレク皇国を含む《三国同盟》へと発展していった。

(英語)
An entente formed between Dhalmekia and the Duchy of Rosaria in the year 850 with the aim of preventing the Free Cities of Kanver from claiming independence from the republic. While the alliance eventually became a three-way affair when Sanbreque joined, bonds between the Dhalmeks and the Rosarians remained particularly strong, with Rosaria sharing the secrets of vital techniques such as irrigation, and the free flow of various diplomats between the two nations.

(翻訳)
850年、ダルメキア共和国とロザリア公国は、自由都市カンベルの共和国からの独立を阻止する目的で同盟を結んだ。ザンブレク皇国の加入により、同盟は最終的に三つ巴となったが、ダルメキア共和国とロザリア公国の結びつきは特に強く、ロザリアは灌漑(かんがい)などの重要な技術の秘密を共有し、両国の間には様々な外交官が自由に行き来していた。

【筆者付記】灌漑(かんがい)とは、耕地に人工的・組織的に給水することです。

続いてロザリア・ダルメキア同盟。

「with Rosaria sharing the secrets of vital techniques such as irrigation,(ロザリアは灌漑(かんがい)などの重要な技術の秘密を共有し)

これもまた新しい情報ですね。上記の付記にも書いてありますが、灌漑(かんがい)とは耕地に人工的・組織的に給水することだそうです。ロザリアは、水道橋を作ろうとしていたくらいには、給水に関する工事への知識や経験はあったようなので、それを過去にダルメキア側にも技術提供していたという内容ですね。

バイロンとハヴェルの仲悪そうで仲良さそうなあの感じも、過去存在していたロザリアとダルメキアの外交の歴史での結果も影響している感じはありますよね。


10.ジルニトラ会談

(日本語)
大陸歴873年、ジルニトラ砦でダルメキア共和国とウォールード王国間で開かれた会談。ダルメキアは大陸戦争から続く鉄王国の戦いに決着をつけるため、同盟国のウォールードに協力を仰ぐが交渉は決裂。フーゴ・クプカが有する、召喚獣タイタンの力に頼らざるを得なくなった。

(英語)
Looking to bring an end to their long-running conflict with the Iron Kingdom, the Dhalmeks convened a council with their Waloeder allies at Zirnitra Stronghold. However, the Waloeders were unwilling to concede to the Dhalmeks’ requests, leaving the Republic no choice but to field its Dominant, Hugo Kupka. In so doing, parliament further indebted itself to this already powerful player in national politics.

(翻訳)
鉄王国との長年にわたる対立に終止符を打つため、ダルメキアはジルニトラ砦で同盟国ウォール―ドと協議会を開いた。しかし、ウォールード側はダルメキア側の要求に応じようとせず、共和国はドミナントであるフーゴ・クプカを擁立せざるを得なくなった。そうすることで、議会はすでに国政で強力な力を持つこの人物にさらに恩義を感じることになった。

続いてジルニトラ会談。

「In so doing, parliament further indebted itself to this already powerful player in national politics.(そうすることで、議会はすでに国政で強力な力を持つこの人物にさらに恩義を感じることになった)

英語版の「地理と情勢」ロアには、割と含みを感じるというか、裏に意図を感じるような書き方をするロアがとても多いと感じます。このロアもそのひとつですね。

ゲーム冒頭のあのジルニトラ砦での一件、勿論、フーゴとベネディクタがイチャ付いていたので、そこが繋がっているのは嫌でもわかるんですが、あの会談には「いずれ権力を持ったフーゴを手玉に取ることを想定し、早いうちからフーゴのタイタンの力に頼らざるを得ない戦況や状況を、ウォールード側も協力して作っていた」という可能性が読み取れます。

ウォールード側は何もダルメキアに協力したくなくて出兵の協力を断ったわけではなく、自分たちの傀儡となるフーゴの影響力をダルメキア国内で強くするため、意図してああしていたんだと思いますよね。結果、フーゴはその後5年間で相当影響力がついてましたからね。どこまでがアルテマの予定調和だったのか…想像すると凄く楽しいです。


11.ゼメキス大瀑布 -概要-

(日本語)
ダルメキア共和国の東部、風の大陸と灰の大陸の狭間に存在する瀑布。大地と海をえぐるよう空洞になっており、海に面した側は大瀑布となっている。神話として語り継がれている、ゼメキスの悲劇の部隊であるといわれる。

(英語)
A vast cavity in the earth located in the Steps of the Forgotten—a desolate coastal region of eastern Dhalmekia. Despite the fact that, for centuries, seawater from the Strait of Autha has flowed into the plumbless crater without cease, it shows no sign of filling. The tragic tale that came to be known as the Sins of Dzemekys is said to have taken place here.

(翻訳)
ダルメキア東部の荒涼とした沿岸地域、忘却の荒野にある広大な地中の空洞。何世紀もの間、オーサ海峡からの海水が絶えることなくこのくぼみに流れ込んでいるにもかかわらず、一向に埋まる気配がない。ゼメキスの悲劇として知られるようになった悲劇的な物語は、ここで起こったと言われている。

続いてゼメキス大瀑布。

「Despite the fact that, for centuries, seawater from the Strait of Autha has flowed into the plumbless crater without cease, it shows no sign of filling. (何世紀もの間、オーサ海峡からの海水が絶えることなくこのくぼみに流れ込んでいるにもかかわらず、一向に埋まる気配がない)

ゲーム内でも説明があった部分ではありますが、本当にあの水はどこに行ってしまってるんでしょうか。あの穴の底も、次元の狭間につながってしまって、海水は世界から次元の狭間へと流れ込んでいるのかもしれません。


12.ゼメキス大瀑布 -真相-

(日本語)
ダルメキア共和国の東部、風の大陸と灰の大陸の狭間に存在する瀑布。この場所には、かつてマザークリスタル・ゼメキスが存在していた。空の文明時代、神の力を欲した人々が侵攻したため、アルテマがマザークリスタルごと消滅させたという。今も残る空洞は惨劇の爪痕である。

(英語)
A vast, circular cavity carved from the Dhalmekian coast, it is here the Mothercrystal known as Dzemekys once stood. In the age of the Fallen, man, hoping to claim the power of the gods, laid siege to the crystal in an attempt to gain entry to its aether-rich heart. Rather than attempt to fend off the assault, he instead responded by destroying the Mothercrystal and its heart—the great crater left behind standing as a reminder of man’s hubris.

(翻訳)
ダルメキアの海岸から削り出された広大な円形の空洞、ここにかつてゼメキスとして知られるマザークリスタルが存在していた。空の文明の時代、神々の力を手に入れようとした人間は、エーテルが豊富なこのクリスタルの中心部に入り込もうと包囲網を築いた。彼はその攻撃をかわそうとするのではなく、マザークリスタルとそのコアを破壊すること、つまり人間の傲慢さを思い起こさせる大きなクレーターを残すことで対抗した

続いてもゼメキス大瀑布。

「laid siege to the crystal in an attempt to gain entry to its aether-rich heart. Rather than attempt to fend off the assault, he instead responded by destroying the Mothercrystal and its heart—the great crater left behind standing as a reminder of man’s hubris.(エーテルが豊富なこのクリスタルの中心部に入り込もうと包囲網を築いた。彼はその攻撃をかわそうとするのではなく、マザークリスタルとそのコアを破壊すること、つまり人間の傲慢さを思い起こさせる大きなクレーターを残すことで対抗した)

これも、英語ロアでは当時の状況がより具体的に書いてありますね。「世界と事象」のロアにあった「空の文明 -真相-」の英語訳の中にも

「アルテマの最も秘匿された秘密を追い求めた彼らは、艦隊をゼメキスに向かわせ、文明が滅亡する悲劇を招いた」

という文章が出てきたので、この艦隊を使ってゼメキスの中央部に入り込もうと包囲をした様子が想像出来ます。しかし、アルテマはそんな人間の思い上がりにマジギレしてしまって、マザークリスタルごと壊して見せたと。

お互い対話が成り立たない場合、より力を見せつけた方が有利になるというのが現実的で残酷ですよね。勿論、人間側から攻めに行ってるのでアルテマ側が悪だとも思えないですが、当時がどんな状況で、どんな流れの中でマザークリスタルを侵攻しようとしたのか、凄く気になります。


13.ウォールード王国 -ドレイクファングにて-

(日本語)
灰の大陸に存在する唯一の国家。王都はストーンヒル。領内にマザークリスタル・ドレイクスパイン擁し、召喚獣オーディンのドミナントであるバルナバス・ザルムが国を治める。灰の大陸に生息するオーク族を支配下に置き、国の戦力としてダルメキア共和国のドレイクファングにも送り込んでいた。

(英語)
The sole surviving nation in Ash. Waloed has its capital at Stonhyrr, home to the Mothercrystal of Drake’s Spine. It is ruled over by Barnabas Tharmr, - Dominant of Odin and Warden of Darkness, who has somehow managed to bring the hordes of marauding beastmen that once plagued his lands to heel, and persuaded them to direct their aggression at his enemies instead. These bloodthirsty forces have been deployed as far afield as Drake’s Fang, in the Dhalmekian Republic.

(翻訳)
灰の大陸で唯一存続する国家。ウォール―ド王国はドレイクスパインのマザークリスタルがあるストーンヒルに首都を置く。オーディンのドミナントであり、闇の番人でもあるバルナバ・タルムが統治しており、彼は、かつて自国を苦しめていた略奪的な蛮族の大群をどうにか屈服させ、代わりに敵に攻撃を向けるよう説得した。これらの血に飢えた軍隊は、遠くダルメキア共和国のドレイクヘッドにまで配備されている。

続いてウォールード王国。

「who has somehow managed to bring the hordes of marauding beastmen that once plagued his lands to heel, and persuaded them to direct their aggression at his enemies instead.(彼は、かつて自国を苦しめていた略奪的な蛮族の大群をどうにか屈服させ、代わりに敵に攻撃を向けるよう説得した)

これ、凄く好きなロアです。バルナバスについてもどこかで書きたいことが沢山あるんですが、今回のこの「地理と情勢」編では、バルナバスの内情がわかるロアがいくつかありました。強者ながら、どこか寂しそうでどこか悲しいと感じるバルナバスですが、このロアには「どうにか屈服」や「説得」という言葉が出てきます。決してオーディンという強大な力で一方的に支配していたわけではなく、バルナバス自身も苦労しながら、民を幸せな方向に導こうとしていたようなニュアンスを感じます。

バルナバスは、やり方がクライヴたちと相いれなかっただけで、ヴァリスゼアを、国を、民を、幸せで苦しみのない世界へ導きたいという気持ちは嘘偽りない事実だったんですよね、きっと。

人はどうしても、辛いことよりも、楽で考えなくていい方に行きたいと思いがちで、それはきっと、苦しみや辛さを感じやすい人の方が、視界が広く様々な情報を理解出来てしまう人の方が、より一層そう感じるのかもしれないです。バルナバスもまた、人々の苦しみを誰よりも理解出来てしまったからこそ、神という選択肢を自分から外すことが出来なかった気がします。とても、悲しいキャラですよね…。


14.ウォールード王国 -ドレイクスパイン消滅-

(日本語)
灰の大陸に存在する唯一の国家。王都はストーンヒル。領内にマザークリスタル・ドレイクスパイン擁し、召喚獣オーディンのドミナントであるバルナバス・ザルムが国を治めていた。アルテマの傀儡となっていたバルナバスは討たれ、その後ドレイクスパインが消滅。隣接する王都ストーンヒルも瓦解した。

(英語)
The sole surviving nation in Ash. Shortly after the death of Barnabas Tharmr—scion of Dzemekys and catspaw of Ultima—Drake’s Head was shattered, leaving the capital of Stonhyrr without Mothercrystal and king.

(翻訳)
灰の大陸で唯一存続する国家。ゼメキスの民の末裔であり、アルテマのだしに使われたバルナバス・タルムの死後まもなく、ドレイクヘッド(ドレイクスパインの誤植?)は破壊され、ストーンヒルの首都はマザークリスタルと王を失った。

続いてもウォールード王国。

「Barnabas Tharmr—scion of Dzemekys and catspaw of Ultima(ゼメキスの民の末裔であり、アルテマのだしに使われたバルナバス・タルム)

先ほどのロアに続いてこれですよ。「catspaw(だしに使う、手先)」という単語が使われています。この「catspaw」の語源は、

【catspaw-語源】
猿が何も知らない猫を説得して、焼けた栗を取らせ、全部自分のものにしたという、ラ・フォンテーヌ(Jean de La Fontaine)の寓話「猿と猫」から。

だそうです。日本語では「傀儡」と書いてあるので、割と「アルテマに操られている」ような印象や雰囲気を受けましたが、英語版だとより残酷というか、より真実に近い表現で怒りが沸きますよね。バルナバスは、操られているという表現でも間違いではないですが「本人は正しいと思って、いい方向に行くと思ってそうしている」ような印象です。シンプルに言いなりになっている人形のような存在よりタチが悪いというか、悪意を感じます。

アルテマにとっては自分を信奉する都合良い下位の生物でしか無かったと思いますが、バルナバスにとっては自分は世界のためになることをしていると、そう捉えているわけで、どこまでも悲しいキャラです、バルナバス。

辛い。


15.ストーンヒル -概要-

(日本語)
灰の大陸北部に位置する、ウォールード王国の王都。マザークリスタル・ドレイクスパインを擁し、王城を含む都市部とは天空橋によってつながっている。

(英語)
Capital of the Kingdom of Waloed, located on the coast of Frigg’s Calm, Ash’s northernmost bay. Its Mothercrystal, Drake’s Spine, sits just off shore and is connected to the city proper via a massive span that legends say required a hundred years and an entire mountain’s worth of stone to construct.

(翻訳)
ウォール―ド王国の首都で、灰の大陸最北の湾、フリッグの凪の海岸に位置する。マザークリスタルであるドレイクスパインは沖合に位置し、建設に100年の歳月と山1つ分の石材を費やしたという伝説を持つ大規模な長さを介して街とつながっている。

続いてストーンヒル。

「located on the coast of Frigg’s Calm, Ash’s northernmost bay.(灰の大陸最北の湾、フリッグの凪の海岸に位置する)
「sits just off shore and is connected to the city proper via a massive span that legends say required a hundred years and an entire mountain’s worth of stone to construct.(建設に100年の歳月と山1つ分の石材を費やしたという伝説を持つ大規模な長さを介して街とつながっている)

日本語版では登場しませんでしたが、地図上でドレイクスパインが海に囲まれているあの場所、英語版では「Frigg’s Calm (フリッグの凪)」という名称だったようです。フリッグは北欧神話における、オーディンの妻の名前ですね。

また、ドレイクスパインまで続くあの長い長い天空橋ですが、山1つ分の石材と100年を費やしたとも書かれています。海の上の橋ですからね、建設は相当大変だったと想像出来ます。それでもマザークリスタルになんとか辿り着き、より生活を豊かにしようと、国として公共事業的に進めていたのかもしれません。


16.ドレイクスパイン -概要-

(日本語)
ウォールード王国が擁するマザークリスタル。岸壁を思わせるような荒々しい表層を持ち、王都ストーンヒルから続く大橋を通じてその内部に入ることができる。灰の大陸に唯一残るマザークリスタルだが、クリスタルの採掘量にも限りがあり、ウォールードは他国からの輸入に頼っている。

(英語)
A Mothercrystal situated in Stonhyrr, capital of the Kingdom of Waloed. Its sheer walls strikingly similar to the towering cliffs that line the coasts of Ash, the interior can only be gained by means of a solitary stone span that stretches from the heart of the city proper. Being the last remaining Mothercrystal on Ash, the crystals harvested from its surface are a vital lifeline for the Waloeder people, but even then their number is far from enough to sate the kingdom’s appetite, thus forcing her king to seek sources elsewhere.

(翻訳)
ウォール―ド王国の首都ストーンヒルにあるマザークリスタル。その切り立った壁は、灰の大陸の海岸線にそびえ立つ断崖によく似ており、内部へは、街の中心から伸びる一本の石造りの橋を伝って行くしかない。灰の大陸に残る最後のマザークリスタルであるため、その表面から採取されるクリスタルはウォール―ド人にとって重要な生命線であるが、それでもその数は王国の食欲を満たすにはほど遠く、王はその供給源を他に求めざるを得なかった。

続いてドレイクスパイン。

「but even then their number is far from enough to sate the kingdom’s appetite, thus forcing her king to seek sources elsewhere.(それでもその数は王国の食欲を満たすにはほど遠く、王はその供給源を他に求めざるを得なかった)

こちらもバルナバスの苦悩を見ることが出来るロアです。日本語では「他国からの供給に頼っている」と書いており、示す事実は同じですが、英語版では、より「そうするほかに選択肢がなかった」感が見えます。

本当は自分たちの手で、自分たちの国だけでなんとかやっていきたかったし、そう出来るよう努力もしてきた、でも難しかった、という苦悩を感じます。バルナバス自身は王として国をなんとかしようと努力していったけど、それでもヴァリスゼアという世界がそれを許してくれず、民を鎮めたり落ち着かせるひとつの方法として、「マリアス教の信仰」という形が取られていったような気がします。

シドは、ノルヴァーン砦でベネディクタに「奴が高々と掲げる "得体の知れない理想" にだけは踊らされたくない」と言っていました。また、ベネディクタに対しても「俺は奴の奴隷にはならない、お前のようにはな」とも言っています。

シドはきっと、自分で考えることを辞めて何かに縋る(何かの奴隷になる)ことが、一番良くないことだという思いや信念があったように感じますよね。どこまでも自分で考えて、自分で答えを探し、もがいていかなきゃいけないような考えが見えます。

しかし、バルナバスにとっては、その「考え続けること」が苦しみや苦痛であるとも理解出来ていて、だからこそ、痛みを和らげるために必要なこととして「得体の知れない理想」を掲げてしまったのかもしれません。こういうのも、実際にも現実で沢山見かけるような光景なので、このすれ違いが凄く悲しいというか、シドとバルナバスだけでなく、それぞれのドミナントがみな自分の生きる世界がより良くなるよう必死に生きていたと思うし、だからこそFF16という作品がとても好きです。

ドミナントたちが言い合いながらも手を取って導くヴァリスゼアも見たい気持ちもあったりしますが、そうはならない、そうはなれないからこそ、最高なんですよねこのゲームは。


17.ガルニック

(日本語)
ウォールード王国領の北部、王都ストーンヒルにほど近い集落。今は住人の姿はなく廃村となっている。村の最奥には、ハルポクラテスの知人が暮らしていた家が、彼の生前と変わらないまま残されていた。

(英語)
An idyllic mountain village in the Kingdom of Waloed—or at least, what remains of it. Here, an old acquaintance of Harpocrates’s made his home, quietly amassing a vast collection of rare tomes before Ultima and Barnabas’s machinations rendered the realm Akashic and stripped him of his very will.

(翻訳)
ウォール―ド王国ののどかな山村、少なくともその名残。ここにはハルポクラテスの古い知人が住んでいたが、彼は、アルテマとバルナバスの策略によって大陸のアカシア化が進み、自分の意志が奪われる前に、膨大な数の貴重な書物のコレクションをひっそりと集めていた。

続いてガルニック。

「quietly amassing a vast collection of rare tomes before Ultima and Barnabas’s machinations rendered the realm Akashic and stripped him of his very will.(彼は、アルテマとバルナバスの策略によって大陸のアカシア化が進み、自分の意志が奪われる前に、膨大な数の貴重な書物のコレクションをひっそりと集めていた)

禁書を持っていたハルポクラテスの知人が住んでいたガルニック。執行者と出会うことにもなった場所ですが、ハルポクラテスの知人は、自分のアカシア化を悟り、その前に書物を集めていたようです。

そう考えると、"外間の書契" 自体もずっと前から知人が持っていたわけではなく、どうせアカシア化して死ぬなら、と思い立ち、どこからかひっそり取り寄せたり、集めてきたものなのかもしれません。

初めてこの場所を訪れた時には、「密偵部隊に関する記録」や、飛竜草の毒に対して書いてある「毒薬大全」なんかも読めて、軍の記録に関してはクライヴが「これは軍の記録…どうしてここに…」というセリフを言います。

想像でしかないですが、聡明そうなハルポクラテスの知人は、万が一全大陸の人間がアカシア化され歴史が消えてしまう可能性も考慮し、アカシアが蔓延しそうな場所 (人が多数いる場所) から、人があまりいない自分の村に重要な書類や書物を集めるいたのかもしれないですね。この世界がどうにもならなくなったとしても、自分の死後いつか誰かがヴァリスゼアに起こったことを知ろうとした際に、情報が集まっている比較的安全なこの村に辿り着くことを願ってアカシア化していったのかもしれません。

アカシア化の兆候に気付いていながらも逃げずにとどまり、自分が出来ることをし続けたこの知人に、信念を感じました。


18.クレイク・ロイスト

(日本語)
ヴァリスゼア西部に位置する、鉄王国の王都。ボイリング海にある鉄王国の本島、アイアンホームに築かれた街で、王都の住人をはじめ、鉄王国の民は自らをイアラウンと呼称する。

(英語)
The capital city of Haearann, or the Iron Kingdom, located on the Boiling Sea island of Ironholm, several hundred leagues off the western coast of Rosaria. Its name means “charred rock” in the Haearanni tongue.

(翻訳)
ロザリア西岸から数百リーグ離れたボイリング海のアイアンホーム島に位置するハイアラン(鉄王国)の首都。その名はハイアラン語で "焦げた岩 "を意味する。

続いてクレイク・ロイスト。

「Its name means “charred rock” in the Haearanni tongue.(その名はハイアラン語で "焦げた岩 "を意味する)

英語ロアに登場するこの「Haearanni (ハイアラン)」の読み方が正しいかわかりませんが、日本語ロアでいう「イアラウン」に該当する言葉のようです。鉄王国は独自の言語体系があるので、基本言葉は理解出来ないのですが(ハイアラン語とかが作中に出てきたら翻訳したかった)鉄王国の首都、クレイク・ロイストは、ハイアラン語で「焦げた岩」を表している、という新情報ですね。


19.魔導大戦

(日本語)
空の文明時代の末期に起きた戦争。魔導技術の発展で、莫大なエーテルを有するマザークリスタルをめぐって争いが起き、多くの魔導兵器が投入される大戦となった。その結果、大地からは多くのエーテルが失われ、ヴァリスゼアに黒の一帯が発生。後に魔導技術は衰退し空の文明は滅亡した。

(英語)
One of many great conflicts waged near the end of the age of the Fallen in which mankind—fielding fantastical clockwork armies fueled by powerful magicks—fought for control of the Mothercrystals. This, however, worked to hasten the drain of the aether from the land, and thereby give rise to the Blight. By the time the fighting had ceased and peace was restored, the wounds suffered by both humanity and the land had grown too deep to heal, and civilization began its slow, yet inevitable march into darkness. It was only a matter of winters before the thousand years of knowledge used to build the great "magitek" faded, and was eventually lost to history.

(翻訳)
空の文明時代の終わり近くに行われた多くの大きな争いの1つで、人類は強力な魔法を燃料とする幻想的な時計仕掛けの軍隊を従え、マザークリスタルの支配権をめぐって争った。しかし、これは土地からエーテルの流出を早めることになり、その結果《黒》が発生することとなる。戦いが終わり平和が回復するまでに、人類と大地の傷は癒しがたいほど深くなっており、文明はゆっくりと、しかし避けられない暗闇への歩みを始めた。偉大なる "魔導" を構築するために費やされた千年にわたる知識が色褪せ、やがて歴史の彼方に消え去ってしまうのは、ほんのひと冬の問題だった。

続いて魔導大戦。

「before the thousand years of knowledge used to build the great "magitek" faded,(偉大なる "魔導" を構築するために費やされた千年にわたる知識が色褪せ)

ここには具体的な数字が登場しています。魔法を燃料とする力「魔導」は1000年にわたって作られてきた知識のようです。「AMBITION」のトレーラーでは「人が神に戦いを挑んで1500年…」と言っているので、戦いを挑む1000年前、つまり現在から2500年前から魔導というものへの第一歩が始まったようです。本来のファイナルファンタジーは割とこの魔導時代全盛期を描いたりすることが多かったですよね。歴史を感じる…。


20.クリスタル正教

(日本語)
鉄王国の国教で、マザークリスタルを信奉する宗教。マザークリスタルそのものを神聖な存在と考えており、エーテルを用いる魔法を禁じている。その信仰の名のもとに、教徒を従える司祭と大司祭を中心として、魔法が使えるベアラーやドミナントを非人道的に排斥してきた。

(英語)
A religion dedicated to the worship of the Mothercrystals. Its priesthood enjoy great power, with the the Patriarch—leader and chief shepherd of the faithful—the most powerful of all. While best known as the state religion of the insular Iron Kingdom, it was once practiced throughout Valisthea. To its believers, the Mothercrystals are literal gods, and the wasteful expenditure of aether through the use of magic is strictly forbidden. As such, those who do use magic— Dominants and Bearers both—are seen as sub-human abominations.

(翻訳)
マザークリスタルを崇拝する宗教。その神官たちは強大な権力を持ち、中でも大司祭は信者の指導者であり羊飼いの長である。島国である鉄王国の国教として最もよく知られているが、かつてはヴァリスゼア全土で信仰されていた。信者にとってマザークリスタルは文字通りの神であり、魔法の使用によるエーテルの浪費は固く禁じられている。そのため、魔法を使う者(ドミナントもベアラーも)は人間以下の忌まわしい存在とみなされる。

最後はクリスタル正教です。

「it was once practiced throughout Valisthea. To its believers, the Mothercrystals are literal gods, and the wasteful expenditure of aether through the use of magic is strictly forbidden.(かつてはヴァリスゼア全土で信仰されていた。信者にとってマザークリスタルは文字通りの神であり、魔法の使用によるエーテルの浪費は固く禁じられている)

個人的に日本語ロアの「エーテルを用いる魔法を禁じている」という表現よりも、英語ロアの「魔法の使用によるエーテルの浪費は固く禁じられている」という表現の方が、より「魔法をむやみに浪費してクリスタルを消費することは許さない」という信仰の根幹がわかりやすかったです。

ヴァリスゼア全土で最初は神として崇められていたマザークリスタルも、人間が自我を持ったことで戦争の道具や、人間がより豊かに生きられる為の都合いい消費物と使われてきたわけで、こういうのを考えると、本当に誰が正義で誰が悪か、なんてのはわからないんですよね。大地そのものの所有権は難しいですが、マザークリスタル置いたのはアルテマだから、やっぱり勝手に利用されるのは嫌だったよな、とも思ってしまう。登場人物全員がそれぞれの理想や夢、豊かさを思い描いて、そこに向かって必死に生きようとしている。それでも衝突してしまう。

どこまでも現実的なゲーム。凄いですよね。




という事で英語翻訳ロア「地理と情勢」編はこれで終わりにします。247ロア中20ロアをピックアップしました。他にも読んでいて面白いロアはあるので、この記事の最初に貼ったPDFを暇な時にでも読んでみて下さい。

4回に分けた690ロアの翻訳もこれで終わりです。このnoteでは日本語の特筆事項はピックアップしていませんが、まとめのPDFでも日本語にしかない表現は赤字にしており、英語と日本語、違いはあれど、それぞれの国に向けた説明の仕方や、特徴が出ていると感じました。

自分としても新しい発見や、新しい気付き、色々な考察の素材になりそうで、翻訳していてとても楽しかったです!!!!

また書きたいものがあれば書きます。次回のnoteも良かったら読んでてください!

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
FF16と読んでくれた方に愛を込めて!!!

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