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体脂肪を落としつつ筋肉量を維持する生活のすゝめ。

はじめに

女子ウケの良いボディーを作り上げるために全てを注いでいるマッスルラバー(@musclerubber0と申します。「減量しながら筋肉量および基礎代謝量を高めることは可能か?」という筑波大学名誉教授である田中喜代次氏と同大学準教授である中田由夫氏の論文を読み、私なりに本タイトルを実現できないかどうか真剣に考えて見ました。徐脂肪と筋肥大はトレードオフの関係ではありますが、完璧とはいかないまでも理論を実践する事によって理想の身体に近づける事は十分に可能だと考えました。今回は身体づくりの基本である栄養・休養・運動の3つの観点から考察しています。本記事の全てを真似するのではなく、自身の生活に必要に応じて取り入れて頂だけければ幸いです。

※本記事は今後も加筆修正を行う(その為未だおわりにを執筆していない)。現状の予定としては、風邪などの病気と筋肉・代謝の関係性、カルニチンやCLAなどサプリメントの有効性、ロカボダイエット本、栄養士の監修などを参照した上で考察していく。趣味の延長であるため、誤字脱字・形式の不備などある点ご了承頂きたい(個人的になどの表現)。もし誤った点があれば文献などを提示して頂ければ参照した上で訂正する。


【目次】
はじめに

1《栄養》
1.1《栄養素の概要》
1.1.1《タンパク質》
1.1.2《糖質》
1.1.3《脂質》
1.1.4《食物繊維》
1.1.5《ビタミン》
1.2《1日の食事》
1.2.1《朝食》
1.2.2《昼食》
1.2.3《夕食》
1.2.4《間食》
1.3《食べ方》
1.3.1《カーボラスト》
1.3.2《プロテインファースト》
1.3.3《食前セレモニー》
1.3.4《咀嚼》
2《休養》
2.1《睡眠の概要》
2.1.1《睡眠の質と量》
2.1.2《リズム》
2.1.3《睡眠と肥満》
2.2《睡眠の要素》
2.2.1《寝つき》
2.2.2.《睡眠の持続》
2.2.3《寝起き》
2.3《質を上げる》
2.3.1《入浴》
2.3.2《運動》
2.3.3《習慣》
2.4《睡眠前に避けるべきモノ》
2.4.1《スマートフォン》
2.4.2《カフェイン》
2.4.3《刺激物》
2.4.4《アルコール》
3《運動》
3.1《基礎代謝と活動代謝》
3.1.1《基礎代謝》
3.1.2《活動代謝》
3.2《有酸素運動と筋力トレーニング》
3.2.1《有酸素運動》
3.2.2《筋力トレーニング》
3.3《時間》
3.3.1《クロノタイプ》
3.3.2《朝》
3.3.3《夕方》
3.3.4《パフォーマンスの上がる時間》
4《参考文献》

1《栄養》

1.1《栄養素の概要》

1.1.1《タンパク質》

タンパク質の1日あたりの摂取量目安は筋肉の維持を目的とする場合には体重の1.5~2倍(体重60kg×2=120g程度)が目安となる。アミノスコア100である鶏肉で計算した場合には約500~600gも摂取しなくてはならない(鶏肉のタンパク質含有量は約20%)。現代人はタンパク質の摂取量が不足気味であるため、プロテインパウダーなどの摂取は必須と言える。勿論、リアルフードで摂取量を越える場合にはその限りではない。

タンパク質はエネルギーとして利用された場合1gあたり4kcalとなるが、過剰に摂取するとその分エネルギーとして蓄えることになる。その為タンパク質をたくさん食べても太らないという認識は間違っている事をここで確認したい。また過剰摂取は肝臓、骨や歯に悪影響を与える可能性が危惧されているため気を付けたい。

過剰摂取には気を付けたいが、炭水化物や脂質の過剰摂取に比べるとそこまで意識する必要性は低いと考えている。しかしながら1回あたりの食事によって摂取できるタンパク質量には上限がある事も研究によって明らかにされつつあるため、1回あたりの摂取量は20~40g程度とし、間食などを活用してこまめに摂取する事を心掛けたい。

タンパク質は特異動的作用(食事誘発性熱生産)という食べることでエネルギー代謝を亢進させる効果が脂質や炭水化物に比べて高い。タンパク質だけを摂取した場合には摂取量の約30%、炭水化物では約6%、脂質では約4%となっておりその差は明らかである。特異動的作用はエネルギー消費量の約10%を占めており、無視できない存在である。

1.1.2《糖質》

糖質の摂取量は明確に決める必要はないと考えるが、本記事では徐脂肪を目的としているため約60gを目安とする。昨今、糖質制限ダイエット本が大ヒットしている事などから糖質=太るという認識は世間では結構常識となっているかと思われる。しかしながらその認識は正しくない事をここで断言しておく。

糖質を抜いても筋肉量は減少しないという事を耳にしたことがある人も多いかと思う。しかしそれはベッドから出ない場合(ほぼ動かない場合)に限る。確かにエネルギーの消費に関しては、グリコーゲン→脂肪→筋肉の順に消費されていくため筋肉が落ちることは一見なさそうであるが、歩く座るといった日常動作レベルの運動を行うだけでも過度のエネルギー不足からカタボリック(筋肉の衰え)が生じる。つまりは普通に生活している人であれば筋肉は落ちてしまうため、一定量は摂取しなくてはならない

糖質はグリコーゲンとして肝臓で約100g、筋肉で約250g、過剰に摂取した分がトリグリセリド(中性脂肪)として貯蔵される。つまりは合計約350g以下であれば摂取した所で脂肪として蓄積される可能性は低いと言える。

糖質制限によってテストステロン(男性ホルモン)の分泌量が低下し、筋肉が増えづらくなったり、性欲・モチベーションの低下などボディメイクに関するデメリットを被ることになる。人間の生存本能として糖質は吸収されやすい性質があるため、脂質とタンパク質の吸収をサポートするサプリ的位置づけで摂取すると良いだろう。

1.1.3《脂質》

脂質はタンパク質や糖質などと比べて最も質にこだわるべき栄養素だと考えている。飽和脂肪酸(動物性の脂肪に多く常温で固体)と不飽和脂肪酸(植物性や魚油に多く常温で液体)の2つに大きく分けられるが、良質なのは不飽和脂肪酸である。必要のない油の代表例としてフライパンにしくような加工油が挙げられるが、それをオリーブオイルなど植物性由来のモノに代えるだけでも改善が見込める。

脂質は1gあたり9kcalと糖質やタンパク質と比べて約2倍の数値であるが、これは軽くても多くのエネルギーを持っている事を意味しており健康の為には適度な体脂肪は必要である。

脂質は特に意識しなくてもチーズや魚などを食べることによって摂取している事がほとんどであるため、1日あたりの摂取量は脂質も特に設定しなくても良いと考えている。念のために脂質を摂取しない事によるデメリットを挙げると、脂肪燃焼の妨げになったり、糖質と同様にテストステロンなどのホルモンの分泌を妨げる事になる。脂質は量よりも質を意識すべき栄養素である。

1.1.4《食物繊維》

良質な炭水化物といえば、食物繊維を多く含んだモノの事を言える。一般的には白いモノより、ライ麦パンや玄米などの茶色いモノがよいとされている。大腸がんの予防、便秘の解消、腸内細菌による発行などの効果があるが、本記事では食事性血糖値上昇抑制に焦点を当てたい。

食事性血糖値上昇抑制をはじめとして、食物繊維は栄養素の摂取に大きく関与している。後述するが食物繊維はカーボラストやプロテインファーストを勧める理由となる。水溶性と不溶性に分けられるが特に気にする必要はなく、人の消化酵素では消化されずエネルギー源にならないモノとして認識しておく。

1.1.5《ビタミン》

ビタミンは微量で生命維持を支配する不可欠な有機物である。これらは体内でほとんど合成されない、合成されても必要量に満たないため外界から摂取する必要がある。

ビタミン欠乏や過剰摂取が起きると様々な病気を患う可能性がある。現状全てのビタミンの詳細が明らかになっている訳ではないが、欠乏症と過剰症の可能性があるビタミンを知っておいても損はないだろう。本記事では説明を省略するため、コチラ【ビタミン栄養NAVI】のサイトを一読する事をお勧めする。

1.2《1日の食事》

1.2.1《朝食》

朝食の摂取は疲労回復に欠かせないビタミンとタンパク質の摂取をメインに考える。また1日のエネルギーを摂取できるのは朝食だけであり、朝食で摂取したエネルギーはその日の内に消費されるため炭水化物も多めに摂ってよい。

ビタミンの摂取は果物から摂取すると良いだろう。果糖(フルクトース)はブドウ糖(グルコース)よりも後にエネルギーとして使われるため、脂肪として蓄積されやすい。果物は多くのビタミンを含んでいるため摂取したいが、脂肪として蓄積されやすい側面も併せ持つため、朝食に摂取するのが良いと考える。また朝の身体は脱水状態にあり、筋肉から糖質を奪うコルチゾールが分泌されている。果物に含まれる糖質がインシュリンの分泌を促し、コルチゾールの分泌を止める事も大きなメリットである。

朝食は昼食や夕食と比較しても重要度が高く、絶対に抜いてはいけない。仮に抜くとすれば、二日酔いや前日の食べ過ぎからのリカバリー目的のためであり、基本はマストで食べる様にする。抜いてしまうと昼食時の血糖値スパイクや、体温が上がりにくい状態が続きパフォーマンスが低下するなどデメリットは数えきれない。

朝食は時間を固定するとなお良い。朝は予定が入る事もすくなく、時間を固定しやすい。朝食の時間を固定すると必然的に起床時間も固定され、交感神経と副交感神経の働きを安定させることができる。

1.2.2《昼食》

昼食は野菜メインにすると良いが、もちろん筋肉量の維持が目的であるためタンパク質の摂取も必要である。タンパク質を多く含む野菜としてはホウレンソウやブロッコリーなどが挙げられるが、茹でてしまうと栄養素が抜け出てしまうため生で食べるのがベストである。栄養管理をしっかりされているプロスポーツ選手の多くは生野菜を摂取することが多く、オリンピックでの金メダル獲得数も多いスタンフォード大学でも生野菜の摂取は意識されている。

1.2.3《夕食》

夕食はタンパク質メインにする。夜の摂取カロリーが少ないと睡眠中に筋肉が削られてしまうため、腹八分程度は摂取しても問題はない。ただし睡眠の2時間前には夕食を終える様にする。睡眠中には脂肪の代謝も行われるため、筋肉量を維持しつつ徐脂肪を目指すのであれば、腹八分程度は摂取するが睡眠の2時間前には食事を終えるというのは鉄則である。また休養の項目で述べるが、胃の中に食べ物がある状態では内臓が休めず、睡眠の質が下がって疲労に繋がる。

夜はアルコールを嗜む方がいると思うが、アルコールは筋肉を分解したり、後述するが睡眠の質を下げることが分かっているため基本的には避けた方がよい。しかしながら適度な摂取は男女ともにテストステロンの分泌を増加させるというメリットもある。純アルコール量20g/日、150g/週を目安に、毎日ではなく週に1~2回程度嗜む分には問題ないと考える。

1.2.4《間食》

間食は朝食と昼食の間、昼食と夕食の間の計2回取れれば良いだろう。摂取すべきモノに特に指定はないが、基本的には3回の食事で足りないモノを補えれば良い。間食はあくまで補助的な位置づけとし、昼食を食べ過ぎてしまった際にはその後の間食は取る必要はない。間食として人気なのは果物やナッツ類であるため、1回目の間食は果物、2回目の間食にはナッツ類を摂取すると良いだろう。

1.3《食べ方》

1.3.1《カーボラスト》

炭水化物を最後に摂取する食事法であり、これは太りたい人以外のすべての人に勧めたい。野菜などに含まれる食物繊維を糖質の前に摂取しておくことで、糖質の吸収を抑える効果が見込める。カーボラストを前提とした上で次のプロテインファーストを見てほしい。

1.3.2《プロテインファースト》

プロテインファーストはタンパク質を最初に摂取する食事法である。野菜を最初に食べるベジファーストが一般的かもしれないが、ベジファーストではタンパク質の吸収も抑えてしまい、筋肉量を維持したいのであれば勿体ない。タンパク質を最初に摂取する事で吸収効率を高め、食物繊維の後に糖質を摂取する事で吸収を抑えると本記事の目的に適った食事法となる。

1.3.3《食前セレモニー》

食前セレモニーを簡単に説明すると、①食べる前に気持ちを落ち着ける②自分の空腹度合いを10段階の数字で表す③食事に感謝する④食事をするというモノである。これを行うことで食べ過ぎや早食いを防げる。食べ過ぎや早食いは血糖値スパイクの可能性とも繋がり、肥満だけでなくその他病気にも繋がる可能性があるため避けたい。

1.3.4《咀嚼》

消化吸収の過程を考えて見ると、咀嚼はその1番最初の工程である。消化酵素のパワーを最大化、食べ過ぎの抑制、食事誘発性熱生産など多くの効果が見込める。栄養素は食べ過ぎると過剰摂取となり問題があるが、咀嚼に関しては過剰はないため、できる限りよく噛んで食べることを意識したい。咀嚼をしっかり行うことで覚醒レベルが上がり、夜の睡眠の質を向上させるという研究結果もある。

2休養

2.1《睡眠の概要》

2.1.1《睡眠の質と量》

睡眠の質を割り出す計算式は[実際の睡眠時間÷横になっていた時間×100]で表すことができ、85%以上が合格ラインである。睡眠の量は人それぞれに適した時間があるが、概ね7~8時間がよいとされている。

質と量のどちらか一方が十分でないと、様々なデメリットを被る為にどちらも意識した睡眠を心掛けたい。ボディメイクは運動と栄養ばかりに焦点が当てられがちだが、休養がしっかりとれていないと元も子もないので本記事を読んで必ず認識を改める様にしてほしい。間接的影響ではあるが睡眠不足によりパフォーマンスが3分の1低下するため、筋力トレーニングと有酸素運動の効率低下にも繋がる。

22時~26時はゴールデンタイムと呼ばれ成長ホルモンの分泌が促されるという話を聴いたことがあるかもしれないが、これは正しくないと証明された。成長ホルモンの分泌が促されるのは眠りに落ちて最初に訪れる90分間であり、時間は関係ない。ただしこれは深い眠りができないと成長ホルモンが分泌されないという事の裏返しでもあるため認識に関しては注意が必要。

2.1.2《リズム》

サーカディアンリズム(概日リズム)という約1日の生体リズムが人体には備わっているが、これが前にズレても特に問題はないが、後ろにズレると危険だと言われている。高齢者の多くはサーカディアンリズムは前にズレていることが多く早寝早起きであり、若者や社会人は後ろにズレていることが多い。週末の寝だめはサーカディアンリズムを崩してしまうため逆効果であり、ブルーマンデーの原因にもなる。一般的に人間は起きてから16時間後に眠くなる。

体内時計は24時間より少し長く、約25時間程度と言われているためリズムが後ろにズレやすくなっている。体内時計は脳の視床下部にある視交叉上核にて制御されており、マスタークロックという親時計が太陽の光によって調整され、その他末梢時計が調整されるというメカニズムがある。栄養の際に既に述べているが①毎日同じ時間に起きる②カーテンを開けて陽の光を浴びる③朝食を必ず食べるとリズムが一定に保たれやすい。

2.1.3《睡眠と肥満》

睡眠の質と量が確保できていないと疲労の蓄積、ホルモンバランスの乱れ、免疫力の低下などが引き起こされる。特にボディメイク関連の問題をあげると、インスリンの分泌や反応の低下による血糖値の上昇から糖尿病のリスク増加・食べ過ぎを抑制するレプチンが出ずに食欲を増進するグレリンの分泌が増加するなどが挙げられる。深夜眠れない時に何か無性に食べたくなるのはコレが原因であり、見せかけの空腹感によって食事を誘発させられていることが分かる。

ウィスコンシン睡眠コホートという研究においては、肥満リスクが最も低下するのは睡眠7~8時間ということが証明された。また不眠症の人は糖尿病のリスクは1.5~2倍となり、短時間睡眠の女性はBMIの値が高いなどの研究結果も実際に出ており、ボディメイクを行うにあたって睡眠は切っても切り離せない関係である。

2.2《睡眠の要素》

2.2.1《寝つき》

睡眠の要素は大きく寝つき持続性寝起きの3つに分けられる。寝つき、つまりは入眠時間は実は筋肉との関連性が高い。消化器がん患者の睡眠と筋肉量に着目した研究があるが、入眠時間が長いと筋肉量が低下しているという関連性が見つかった。観察対象ががん患者ではあるが、健康人であっても同様の事が言える可能性が高いため入眠時間は可能な限り縮められると良い。

2.2.2《睡眠の持続》

睡眠の持続は特に質と関係性がある。睡眠の質の約半分は最初に訪れる約90~120分のレム睡眠(黄金の90分)に依存しているが、裏を返せば残りの半分は睡眠の持続によって保たれている。途中で目が覚めてしまうとそれ以降の睡眠の質が下がり、結果として睡眠全体の質は下がってしまう。部屋の明かりは完全に決して置き、用を足すために目が覚めてしまう場合には懐中電灯を手元に用意しておくともし起きてしまった場合にも覚醒レベルを高めないという対策が取れる。

2.2.1《寝起き》

睡眠と覚醒は表裏一体の関係であるが、光ほど覚醒に瞬時に効果を発揮するモノはない。後述するがスマホのブルーライトが睡眠を妨げる反面、寝起きに太陽の光などをしっかり浴びることによって覚醒レベルを高めてリズムを整える効果もある。日中に太陽光を浴びると睡眠を促すメラトニンの前駆物質であるセロトニンが体内で合成され、夜を迎える頃には眠くなるというリズムを作ることができる。

アラームをセットする場合には20分間隔で2つの時刻にセットするのが良い(7:00に起きる場合には6:40と7:00)。そうするとどちらかのアラームがノンレム睡眠に当たる可能性が高くなり比較的スムーズに起きられる。また1回目のアラームは音が小さく短いモノにしておく事がポイントである。眠りが浅い時には小さく短いアラームでも起きることができ、そうでない場合には眠りを妨げないという効果が期待できる。

2.3《質を上げる》

2.3.1《入浴》

人間には日中に高く夜間に低い「深部体温」と日中に低く夜間に高い「皮膚温度」の2つの温度がある。関係性は深部体温>皮膚温度であるが、この2つの温度差が小さくなると人は眠くなる。入浴すると一時的に両方の温度は上昇するが、深部体温は上昇した分以上に低下するという性質を持っている。そして深部体温が元に戻るまでに約90分掛かるため、入浴前より下がり始めるこのタイミングが眠りに落ちやすい。もし入浴後にすぐ寝たいという場合には深部体温が上がり過ぎないようにぬるめの入浴、もしくはシャワーで済ませるなどの対策が必要。

2.3.2《運動》

適度な運動は睡眠の質を向上させるが、行う時間を意識したい。睡眠前に運動を行うと交感神経が優位になり、寝つきが悪くなってしまうためである。一般的には朝にジョギングなどの軽度な有酸素運動を行うのがよいとされているが、寝る3時間前には終わらせておけば特に問題はない。また週に1~2回にドカンと運動するよりも、毎日少しずつ行う方がよい。

2.3.3《習慣》

入眠前に行う習慣を作っておくとよいとされている。例えばパジャマに着替える、アロマキャンドルを焚くなどが挙げられる。習慣化されるとその行為を行った際に脳が睡眠に入る準備ができるため、入眠時間を減少させ質を高めてくれる。また睡眠に使うモノは睡眠だけに使うとよい。ベットは眠るためだけの場所だと捉え、ベットの上で漫画を読むなどの行為を避けるようにすると、ベットの上に行くだけで眠くなるように脳が切り替わる。

2.4《睡眠前に避けるべきモノ》

2.4.1《スマートフォン》

睡眠前のスマホなどの使用は厳禁である。スマホなどから発せられるブルーライトはメラトニンの合成と分泌を抑えることが分かっているが、この効果は瞬時に発生する。特にこのスマホから発せられる光は避けたいが、そのほか部屋の照明や外の光も睡眠の質を妨げるため、基本は完全消灯とカーテンも必ず閉めるとよい。

2.4.2《カフェイン》

カフェインは覚醒の為によく摂取されるためご存知かと思うが、コーヒーだけでなくお茶などにも含まれていることに気を付けたい。カフェインの体内濃度が半分になって効果が薄れるまでに約4時間掛かるとされているため、夕方以降の摂取は極力避けたい。しかしながらコーヒーには2型糖尿病や肝臓ガン、子宮内膜がんのリスクを減らすなどの研究結果も報告されている。ポストランチディップという午後2~4時頃の眠気の強くなる時間に仮眠をとる際、仮眠前に摂取すると目覚めもよくなるためカフェインはうまく使いたい。加えてタバコに含まれるニコチンにも覚醒作用があるため睡眠前には避けたい。

2.4.3《刺激物》

辛い食べ物といった食事だけでなく、ホラー映画などの刺激の強い映像や事モノも極力避けたい。クイズ番組や仕事など頭を使うモノもコレに含まれるため、睡眠前にはなるべく頭を使わなくても済むモノ(自然の映像など)を見る様にする。仕事や読書などはなるべく午前中に片付け、午後は単純作業を行うようにするのがベストとされている。

2.4.4《アルコール》

アルコールは入眠時間を短くしてくれる上に、黄金の90分を深くしてくれるため睡眠の質を上げるという認識を持った人がいるが誤っている。アルコールを摂取すると確かに上記のような効果があるが、2回目以降のノンレム睡眠が浅くなり、結果として睡眠全体の質を下げる事に繋がる。メカニズムとしてはアルコールを分解して生じたアセドアルデヒドは交感神経を優位にするため、最初のノンレム睡眠を終えたあとは浅い眠り(レム睡眠)が長く続き、睡眠全体を見ると質が下がるというモノだ。また利尿作用もあるため途中で睡眠の持続を断つ可能性も高くなるため、睡眠のためにお酒を嗜むことは避けたい

またアルコールによる誘眠作用は3~7日もすると効きが悪くなるためどんどん寝つきが悪くなり、次第に飲む量が増えてしまい、結果としてアルコール依存症のリスクが上がる危険性がある。過覚醒と呼ばれる心身の緊張状態に陥り、些細な事でイライラしたり鬱状態になる可能性も出てくるため、寝酒を習慣にするのは避けた方がよい。

3《運動》

3.1《基礎代謝と活動代謝》

3.1.1《基礎代謝》

基礎代謝量とは生理機能や熱生産、排せつを営むために必要な最小限のエネルギー量を意味する。①約半日以上の絶食②安静仰臥位での筋肉の緊張を最小限にした状態③快適な室温で心身共にストレスのない覚醒状態で測定するが基礎代謝量を正確に測定する事は非常に難しく、消費エネルギーの50~80%を占めると考えてよい(本記事では約70%程度とする)。加えて特異動的作用が10%、残りの20%が生活活動代謝である。

3.1.2《活動代謝》

活動代謝は文字通り活動する事によって発生する代謝の事であるが、運動性のモノと非運動性のモノに分けて考えたい。運動性は筋力トレーニングや有酸素運動など意識的に行う代謝である。非運動性はNEATとも呼ばれ家事や通勤など日常動作による無意識的な代謝である。

消費量としてはNEATの方が大きく、消費関係は基礎代謝>NEAT>運動性熱生産であるため実は筋力トレーニングなどによって消費される熱量は微々たるものであることを認識したい。

筋肉量を増やすと代謝が上がるという話を聞いたことがあると思うが、あれも実は怪しい所である。筋肉1kgの基礎代謝は13kcalであるが、脂肪組織の基礎代謝は1kgあたり4.5kcalである。つまりは筋肉を1kgつけたとしても、脂肪を3kg落とせば基礎代謝はほとんど変わっていない。これらの事を意識した上で以降を読んでいただきたい。

3.2《有酸素運動と筋力トレーニング》

3.2.1《有酸素運動》

脂肪を燃やすには有酸素運動というイメージがあるかもしれないが、実は有酸素運動はほとんど効果がなく、むしろデメリットの方が大きいのではと言われている。有酸素運動の代表的な例であるランニングで説明する。

ランニングはそもそもカロリー消費が少なく、コルチゾールの分泌を促す。コルチゾールには食欲増進効果があり、消費した以上にカロリーを摂取してしまう恐れがある。反面筋力トレーニングや短距離走などの高強度の運動ではコルチゾールはほとんど分泌されず、むしろ食欲抑制の効果がある。

ランニングも筋力トレーニングも消費カロリー自体は微々たるものだが、どうせなら筋力トレーニングをしてNEATを高めた方が合理的という結論に至る。もしランニングをするのであれば、カルボーネン法を活用した心拍数の範囲内で行うと脂肪燃焼が良くなる。カルボーネン法は[目標心拍数=(220-年齢-安静時心拍数)×(0.6~0.8)+安静時脈拍数]によって計算できる。

3.2.2《筋力トレーニング》

有酸素運動を行うよりは筋力トレーニングを行う方が効果的だと考えられる。特に本記事の目的においては、筋肥大系のトレーニング自重負荷を使った筋持久力系平行して行うのが良い。体を引き締めるためにはある程度の筋量も必要であり、脂肪などの無駄な部分を持久力系のトレーニングで落としていくイメージである。

私が個人的にお勧めするのが等尺性収縮(アイソメトリック)というボディービルダーが行うポージングのような静止状態で行うトレーニング。自身の最大負荷でトレーニングを行うことができ、自分の力以上の負荷はないため怪我などの心配は特にないため安全である。家庭でも壁を押すといったトレーニングができ音もたてずに鍛えることができる。

自重トレーニングを勧めはしたが、自重トレーニングは実は中級者以上向けのトレーニングである。ダンベルなどを使えば軽いモノから挑戦できるが、自重トレーニングはその調整が困難なため初心者は負荷に耐えられず挫折する可能性が高い。ジム通いなどをしてある程度筋力をつけた後で取り組み始めると良いだろう。

3.3《時間》

3.3.1《クロノタイプ》

人の運動能力の約26%は時間に左右される事が分かっている。クロノタイプと呼ばれるいわゆる朝型人間、夜型人間という自分に適した時間がそれぞれにある為、コチラ【睡眠診断テスト】のサイトで自身のタイプを調べると良いだろう。

3.3.2《朝》

朝の時間は代謝を上げることが分かっており、朝食前の空腹状態はさらに代謝を上げてくれる。しかしながら朝はコルチゾールの分泌と関係性が非常に強いく、本記事の目的としては朝食を食べた後にジョギングなどの軽度の有酸素運動を勧める。

5~6時にかけての早朝は、深部体温が十分に温まっておらず筋肉や関節の動きも制限されていることから最も怪我の多い時間でもある。そのため運動する場合には筋力トレーニングなどの高強度のモノは避け、ジョギング程度の軽度の運動をした方が良い。上述しているが、朝の軽い運動は睡眠の質を高める効果もある。

3.3.3《夕方》

夕方は筋力トレーニングや短距離走などの高強度の運動を行うとよい。深部体温も高く、テストステロンの分泌量は増加し、コルチゾールの分泌は低下しているなど筋肉にとって好条件である。

そのほか夕方に筋力トレーニングを行うとエンドルフィンの分泌により食欲抑制効果、数時間後には眠気を誘発するという効果も見込める。

3.3.4《パフォーマンスの上がる時間》

上述したクロノタイプによる最もパフォーマンスの上がる時間帯に筋力トレーニングを行うことをお勧めする。例えば15時頃がベストのタイミングであれば、その時間に筋力トレーニングを行うとマックス値の更新や、普段以上の回数をこなせるなど質と量を高める事ができる。

4《参考文献》

・筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方(著:Testosterone)
・栄養で筋肉を仕上げる!無敵の筋トレ食(著:岡田隆)
・医者が教える食事術(著:牧田善二)
・スタンフォード式疲れない体(著:山田知生)
・スポーツ栄養学(著:鈴木志保子)
・無理なく痩せる脳科学ダイエット(著:久賀谷亮)
・一流の身体のつくり方(著:宮田和幸)
・最強のリカバリー術(著:竹下雄真)
・酒好き医師が教える最高の飲み方(著:浅部伸一)
・元気が出る睡眠(著:カミムラ晋作・鍛冶恵)
・スタンフォード式最高の睡眠(著:西野精治)
・筋トレのための人体解剖図(著:石田治方・肥田岳彦)
・減量しながら筋肉量および基礎代謝量を高めることは可能か?(筆:田中喜代次・中田由夫)
・術前の消化器がん患者における睡眠障害と筋肉量低下の関連(筆:奥村・福田・斎藤ほか)
・競技パフォーマンスに及ぼす糖質制限の影響(筆:塩瀬圭佑)


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