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テストステロンを高める?トンカットアリの筋トレへの効果とは

トンカットアリは主に東南アジアで自生する植物です。

「アリ」と名前が付いていますが、昆虫ではありません。古代イスラムの戦士「Ali」が由来です。

東南アジアではトンカットアリは屈強な戦士の名前をつけられるほど高貴な植物であったと考えられます。

実際に東南アジアでは古くから、トンカットアリの根は滋養強壮や疾病の治療に使用されてきました。例えば肥満の解消、食欲増進、疲労回復、マラリア、糖尿病、骨粗しょう症、癌の治療などに効果があると信じられています。

現代の科学ではトンカットアリの万能性のメカニズムが徐々に明らかにされてきています。

有力な候補として考えられているのが「テストステロンの増加」です。

テストステロンは男性ホルモンの1種。性欲向上や体毛の成長、強いモチベーションの維持など男らしい心身の形成に深く関わるホルモンです。

筋たんぱく合成のスイッチを入れる作用ももつため、テストステロンがなければ筋肉はつかないと言っても過言ではありません。

ボディビルダーの中には注射や経口摂取薬を使用してテストステロンを直接体内に取り入れる人もいるくらいです。(世界トップクラスの化け物染みた筋肉を持つ人たちはほとんどがテストステロンを体内に取り入れていると言われています。)

18歳~85歳の男性252名のホルモン値と体組成を調査した研究においても、テストステロン量が上位25%の男性は下位25%の男性よりも筋肉量が豊富なことが報告されています(1)

トンカットアリは間接的に体内のテストステロンレベルを上げる作用があります。そのため、ドーピングに引っかからず筋肉量を最大化する手段としてスポーツ科学において注目を集めています。

そこで今回はトンカットアリの摂取がテストステロン、筋トレのパフォーマンスに与える効果について最新の知見から推論していきます。


トンカットアリがテストステロンを増やすメカニズム

直接ホルモンを体内に取りいれることなく、テストステロン値を向上させるトンカットアリ。ではどのようなメカニズムで身体に作用するのでしょうか?

小難しい話になり退屈かもしれませんが、実践で応用するためにメカニズムの理解は重要です。

できるかぎり噛み砕いて説明しますので、是非読み飛ばさずお付き合いください。

①テストステロンの合成を増やす

そもそもテストステロンは体内でどのようなプロセスで分泌されるのかご存じでしょうか?

まず運動や性行為などにより脳が活性化されると、黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンといった性腺刺激ホルモンが分泌されます。

そして性腺刺激ホルモンが精巣にテストステロンを作る指令を出します。すると精巣でコレステロールを材料にテストステロンが産生されます

このように精巣で作られたテストステロンが95%を占めると言われています。(残りの5%は副腎や筋肉で作られます。)

トンカットアリに含まれるユーリコマノンという物質は黄体形成ホルモンの分泌量を増やします

また、コレステロールからテストステロンへの変換を手助けする酵素のはたらきを活性化する作用ももちます。

つまりトンカットアリはテストステロン合成の指令を増やし、代謝を促進することでテストステロンの分泌量を増やします。

②遊離テストステロンを増やす

一口にテストステロンと言えど、種類は大きく分けて2つあります。

それが総テストステロン遊離テストステロンです。

実は精巣で合成されたテストステロンの内、50%がSHBGというたんぱく質と、40%~50%がアルブミンというたんぱく質と結合して不活性化してしまいます。

残りの1%のみが身体の各器官で効果を発揮することができるのです。

精巣で作られた全てのテストステロンを総テストステロン、SHBGやアルブミンと結合せず効果を発揮できるテストステロンを遊離テストステロンと言います。

つまり、筋肉を増やすためには遊離テストステロンをいかに増やすことができるかが重要です。

SHBGの量は加齢とともに増加するため、年齢を重ねるごとに筋肉がつきにくくなります。

トンカットアリはSHBGを減らす作用があるため、いつまでも若々しい心身を保つことに繋がるかもしれません。

③テストステロンの減少を防ぐ

さらに総テストステロンのうちのたった1%の遊離テストステロンもいくつかのプロセスで減少する恐れがあります。

代表的なのが女性ホルモンへの変換です。実は体脂肪には遊離テストステロンを女性ホルモンへ変換してしまうアロマターゼという酵素が存在します。

バルクアップ期にある程度まで脂肪をのせると筋肉がつきにくくなるのはアロマターゼのはたらきが影響しています。

また精神的なストレスもテストステロンの減少要因です。動物実験では慢性的にストレスを抱えていると、精巣のライディッヒ細胞のミトコンドリアが損傷することが報告されています。

ミトコンドリアはエネルギーを生成する器官。つまり、精巣でテストステロンを合成するために必要なエネルギーが供給されなくなってしまうのです。

トンカットアリの摂取はアロマターゼのはたらきを阻害したり、ストレスを軽減したりする可能性がいくつかの研究で示唆されています。

2013年にTalbottらは64人の男女を対象に、トンカットアリ200mgもしくはプラセボを摂取してもらいました(2)

その結果、トンカットアリを摂取したグループでは、緊張や怒り、混乱の感情が大幅に軽減し、ストレスホルモンのコルチゾールは16%減少したことが報告されています。

トンカットアリはテストステロンの減少を防ぐことで相対的にテストステロンの増加に寄与する可能性があります。

以上、想定されるメカニズムについて解説しましたが、上記は主に動物実験から得られた知見でありヒトの実験では再現されていないものもあります。(卵胞刺激ホルモンの増加が起こらない、SHBGが減少していないなど)

そのため、あくまで参考程度に考えていただくことをおすすめします。


トンカットアリとテストステロンの最新エビデンス

ここからはヒトの実験を基にトンカットアリの摂取とテストステロンの関係について紐解いていきます。

実際に効果があるのか?誰に効果的か?など解説していきます。サプリメントを購入する前にご一読いただくことをおすすめします。

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