PdM講座11-3 クリティカルシンキング総括
はじめに
初めまして!
現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。
noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。
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今回はPdM講座第11回「考えるスキル⑥」の「打ち手を考える」についてです!
第11回は3編構成で書いていきます。
今回はいよいよその3編目で、テーマは「クリティカルシンキングの総括 」についてです。
前回の記事では「21歳の大学生がエベレストに登頂するには?」という演習を用いて、打ち手を考える時の2つのポイントと5つのステップを学んできました。
今回は『考えるスキル』の総括として、お伝えしたいことをまとめて記事にしていきたいと思います。
クリティカルシンキングのまとめ
・クリティカルシンキングは『ウルトラC』ではない
『クリティカルシンキング』というのは、あくまで考え方の一手段であって、「この手段に乗っ取って進めれば、必ず答えが出せます!」というものではありません。
お伝えしてきた『ズームイン』や『ズームアウト』といった考え方には、それぞれメリット・デメリットがあり、注意して使用しないと失敗してしまう可能性ももちろんあります。
そのため「クリティカルシンキングは『ウルトラC』ではない!」ということを、常に頭の片隅に置いておくようにしましょう。
ただし、方法論として『ズームイン』『ズームアウト』の考え方を使用することは、遠回りをせず短いルートで答えに辿り着けることに寄与するため、良いツールであることには違いありません。
だからこそ、考えるお題に合わせて『ズームイン』や『ズームアウト』などの考え方を使い分けていきましょう。
・とにかくひたす考え続けるしかない
結局のところ、いい答えを出すには考え続けるしかありません。
自分が納得するまで深掘り、考えることを諦めてはいけません。
そうして考えていく中では、手を動かして可視化しながら考えたり、人に話してアウトプットしたりするのも良い方法の一つです。
この時、壁打ち相手はできるだけ自分とは違う考えを持った人と行うのがより効果的です。
『クリティカルシンキング』は、一人で行うとスタックしがちです。
自分だけで進めていくと煮詰まってしまうこともあるので、行き詰まった際には異なる手段を試してみたり、周りを頼ったりして、考えたことを存分に「アウトプット」していきましょう。
そして、最後の決断は自分自身で行いましょう。
段階を踏んで、沢山頭を抱えながらも解決策を見出した頃には、きっとその課題に対して愛着が湧いているはずです。
最後の決断は自分自身で行うことで、「解決策を見出した’’親’’」である自分もきっと納得できるでしょう。
・現地現物・百聞は一見に如かず(事実にあたれ!)
ビジネスの世界では「事実」を重要視しなくてはいけません。
しかし、人は「事実」と「解釈」を混合してしまう生き物です。
特に『ズームアウト』の考え方では、最初に思い切って「仮説」を立てるため、「この仮説が正しい!」という思い込みに走りがちです。
その結果、あらかじめ決められた「仮説 = 結論」に都合の良い情報ばかりに目が向いてしまい、検討が不十分になり、成功するビジネスを作れなかったというのは非常に良くあることです。
ここで、「事実」と「解釈」を切り離し、机上の空論で終わらせないためには、「妄想のこじつけになっていないか?」「バイアスを自分で作ってしまっていないか?」と、常に注意してアンテナを張っておくことが大切です。
そして、「本質的な課題は何か?」「それに対して自分が貢献できそうなところはどこか?」を現地に行って見物し、体験することで「事実」にあたりましょう。
そして、紛れもない「事実」に触れることができたら、そこから自分が感じたことを言語化し、掘り込んでいきます。
「なぜ自分はそう思うのか?感じるのか?」この理由を堀り込んでいくことこそが『クリティカルシンキング』です。
人の考えというものは、育ったバックグラウンドや経験、そして好きなものや嫌いなものなど、様々な要素が反映されており、これらの影響を受けて導き出される各人の結論は、もちろん異なるものとして出てきます。
そのため、私が導き出す結論と、皆さんの導き出す結論はもちろん違っていて、どちらも間違いではありません。
その違い=自分らしさを大切にしていきましょう。
面白い発想というのは、自分らしさから生まれてきます。
そして、自分が一番「これが本質的だ」と自信を持って思えるような解決策を見出すことこそが『クリティカルシンキング』です。
解く方法は一個しかないわけではありません!
伝えたいこと
ここからは、長きにわたって連載してきた『考えるスキル編』で、私が皆様にお伝えしたかった4つのことについてお話できればと思います。
①「新しさ」に対する心構え
ここは、我々contentoのバリューにもなっているトピックです。
「新しい」というのは、正解を誰も知らないことです。
つまり、誰もが賛同する正解を見つけ出そうとしても、絶対に見つかりません。
そのため、新しいことを始めるにあたって「これって合っていますかね?」「間違っていませんか?」などと誰かに尋ねても、誰も正解を知らない以上「分かりません」という答えが返ってくるでしょう。
新しいことに正解も間違いもない以上、失敗や間違えることに対して過度に心配する必要はありません。
恐怖や不安で足がすくんでしまうくらいなら、恐れる前に「仮説」を立てて検証してみましょう!
②正解は必ずある
学校で習うことというのは、100点満点の世界の中で「正解」か「不正解」かの二択で判断されます。
しかし、ビジネスや社会においては「正解」など星の数ほどあり、決して1つではありません。
そうである以上「正解」かどうかを判断する方法も1つではなく、「正解」を見つけるための方法論が必ず存在するはずです。
この際に確からしさを担保しながら、「正解」らしきものに近づく思考法こそが『クリティカルシンキング』や『フレームワーク』といったものなのです。
色々な考え方や方法論を試し「正解」が見つかるまで考え続けましょう!
ただし、方法論はどこまで行っても「方法論」にすぎません。
所詮は1つのテクニックにすぎないので、時にはその方法論だけでは解決できない課題に直面することもあります。
そのような場合に備えて、自分で考える力を失わないためにも、方法論の頼りすぎには気を付けてください。
③誰も賛同していなくても貫く覚悟ができるまで考え抜け!
結局のところ『クリティカルシンキング』では、最後はぐりぐりと考えを捻り続けて、「これだ!」という段階にまで辿り着かなければなりません。
また、新しい事に取り組む段階では、それぞれによって答えが違うため、基本的に誰にも賛同してもらえないことが多いです。
そんな時に他人から「これ違くない?」と言われると、「やっぱりやめておこうかな。」と不安になってしまいます。
このような事態に陥るのを防ぐためにも「こんなに深掘って考えてきたし、きっと間違いない!」と自信を持って言えて、賛同して貰えるまでとことん貫き続けましょう。
そして、考えるだけ考えたら、最後は自分で「正解」定義しましょう。
というのも、正しい方法論でどんなに考えても、結局のところいつまで経っても仮説に過ぎず、「正解」には辿り着けません。
とことん考えたら、最後までやり切る決意のもと、最終的には自分一人で「正解」を決める勇気を持ちましょう。
(ここまで至ると、第三者から応援して貰えるようになりますよ!)
④本当に正解だったかどうかは、第三者に評価してもらうまで分からない
「正解」は自分で定義するものではありますが、その「正解」が本当に正しかったかどうかは、自分自身では判断できないものです。
「正解」というのは結局、第三者であるクライアントやユーザー、上長などからの評価が全てであり、結果が出て初めてそれが「正解」だったかどうかが分かります。
「人から評価される」というのは、非常に怖いことだと思います。
自分では良いと思っていたことが、他人から評価されないことなど、ビジネスの世界では日常茶飯事ですからね。
しかし、今「成功者」と呼ばれている人たちも、一度も間違いを犯さず、最初から評価されていた人など一人もいないのです。
何度も失敗と挑戦をした結果、ようやく最後に第三者から評価をしてもらえたからこそ「成功者」になっているのです。
だからこそ、失敗が当たり前であり、まだ成功していない我々こそ、恐れることなくチャレンジしなければならないのです。
このことを、成功者たちの経験から得られる教訓として、胸に刻んでおきましょう!
最後に
今回は『考えるスキル』の総集編として、『クリティカルシンキング』について総括してきましたが、いかがでしたでしょうか?
「クリティカル」という言葉は、日本語で「批判的」という意味を持っていますね。
このことからも、『クリティカルシンキング』には、健全に疑念を持って、「もっとこうしたらいい」と考え抜いて、自分の答えを見つけ、チャレンジしていく、この姿勢を持つことの重要性が示唆されていると思います。
新しいことを始める際、最初から賛同を得られることはほとんどありません。
しかし、沢山考え抜いてその正しさを証明できた瞬間に、世の中はアップデートされていきます。
定義した「正解」が間違いかどうかなど考えず、恐れることなくチャレンジしていきましょう!
次回からは、ここまで学習してきた『クリティカルシンキング』を踏まえた上で、ビジネスの世界で応用していくための『顧客開発モデル』の考え方について解説していきたいと思います。
ぜひご覧ください!