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Twitter詩

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#現代詩

【Twitter詩】2023/08/21

【Twitter詩】2023/08/21

名前を愛していること。形づくることの麓に、わたしたちは暮らしていて、意識を保つための硬度、それは口に含むと冷たいね。冴えざえとした、はっきりとしたものを自らの光として、血流を回している。わたしは風になる。背景としたものが、その他すべてにとっての拠り所だとしても構わない。構わないからなり得た、この体を、今静かに折り畳む。

Twitter詩「閉口世界」

今更口にすることなんて何一つない。

心も体もすべては水晶体でできており、

無意識にでも人は光を撚り集める。

 

蒐集を繰り返していく。

すべてが透りすぎていく。

それを簡易的に人生と呼ぶのだから、

やはり口にすべきことはない。

 

泳いでいるもの、光っているもの。

枯れていくもの、褪せていくもの。

百年も前に通り過ぎて、それでも止まらなかった列車は、

空へと昇っていくことが

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Twitter詩「2021/9/3」

車窓のアイスコーヒーに朝日が灯る。名残惜しい夜を抱くトンネルを尻目に、山肌をこちょばす二両編成のいたずらっ子。
ここでは環状的にならずにどこまでも行けるし、コンビニのアップルパイだってきどったふるまいができる。
アナウンスは感情的にならないし、きれいな川が流れ続けていたって、変わらないものを信じて揺るり続ける穂の海。

行き着く先のすべてがふるさとで、名前を知らないでいてくれる人がたくさんいて、そ

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Twitter詩「ぶどう味」

 

ぶどうのアイスキャンディ

くちびるにぬって

おめかしごっこした なつやすみ

 

きみのくちびる

ゆうひをこえて

あかくて あまくて

ぼくはなきたくなった

 

またね といっしょに

くちびるとけて

とけたアイスをポチがなめて

 

ゆうひのあじも

ゆうひのいろも

なみだのうみに しずんでいく しずんでいく

Twitter詩「よる」

Twitter詩「よる」

 

ぼろアパートの深い夜は

あま黒い紺の霧に包まれ、

鏡に映る子うさぎも

月に恋することなく夢の中。

 

独り毛布に抱かれるわたしは

ぎゅっとくまに抱きつく、

寂しさはそうやって連鎖の中で灰になる。

 

ああ、下階のお兄さんの話し声が暖かい。

花瓶のふちが空気と淡くなっている。

カーテンからこぼれる月明かりは

スカートをめくられた子のはにかみに似ている。

 

孤独の対

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