マガジンのカバー画像

Twitter詩

18
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

Twitter詩「ゆうのゆうれい」

Twitter詩「ゆうのゆうれい」

 
わたしの髪はゆうれいの手
さらさらと水が流れる
なにかの原石を煮詰めている
わたしは夕方に悲しくなる
電車も人も走り去ってしまう
ゆうれいだって夜がこわいから
煮詰めた原石を川でひやしている
ぱきんと割れてなにかうまれる
なにか、なにか、なにが輝く?
つかれてしまって猫の背すべる
電車も人も走り去ってしまう
もうほとんど近くなる雨の音
わたしの影がうごめいている
街は天使にせっぷんされる

Twitter詩「北国のはる」

Twitter詩「北国のはる」

 

かじかむ手先をいたわって
コンビニでコーヒーを買った
まだしろい吐息の粒や
カップのくろい水底に
ふと 花が浮かぶまぼろしをみて
じぶんのせっかちに苦笑う
 
太陽が3月にするあくびのせいで
北国はまぼろしに包まれている
 
お山はまだねむそうだし
道端で雪はがんこにふんばる
小鳥とにんげんたちだけが
せっかちに巣をみつくろい
カラスは退屈そうに
ひろすぎる空を泳いでいる
めぶいた花は
この

もっとみる
Twitter詩「遊魚」

Twitter詩「遊魚」

障子に透ける花焔

尾引く遊魚は濃紺の色

座敷流るる青竹の香に

童女の声染み入らむ夜

刹那震わす琴の音は

我が衣手の綾とならんや

障子に透ける花焔

帳は夜霧

世は帳

身のはかなさを抱えつつ

遊魚尾を引き空昇る

紅くれないの

唐紅

障子に透ける花焔

我が衣手には曼珠沙華

咲いてひらいた魚の鰓

【読み】
・香(か)
・童女(わらしめ)
・鰓(えら)