「切迫早産」という病気に実体はあるのか?

「早産」という現象は、これはまちがいなく存在しています。するとひとはこれを因果論的に推定して、なんらかな原因があると考えがちです。それが切迫早産です。次にひとは、単なる仮定であった切迫早産を実在するものとして考えてしまいます。しかしそれはほんとうでしゃうか?

妊婦さんに腹緊があると不快な気分になりますが、不快な気分は知覚閾値を低下させ,ますます子宮収縮を増強させます。子宮収縮の増強はさらに気分不快をおこし、ますます子宮収縮の自覚が強くなります。しかしそんなことがあっても分娩が進行することはありません、

このような悪循環にはまると、妊婦さんも医者もいったいなにが原因かもわからなくなるのです。一般にわたしたちは、病気にはなんらかの原因があっておこり、その原因をとりのぞけば治ると信じていますが、このような切迫早産の病態には単一の原因はありません。だから原因をさがして治そうとしても混乱するばかりです。

こういった考えかたはシステム論的とよくいわれます。原因不明で慢性的に続くような病態は、単一の原因では説明できないようなものがあります。切迫早産にリトドリンを投与しても症状がよくならないのはこのためです。切迫早産に対応するときはこういったシステム論的な考えかたが有用かもしれません。

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