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サウナ初心者フィンランド旅行記 - 4日目 男女全裸で猫とサウナ

2019.11.5 (TUE)
ヘルシンキ(日本との時差 -7時間)
公衆サウナ⑤ 森の中のKaurilan Sauna(中央駅からトラムと徒歩で30分)

(いったい何ヶ月空いたんだ?というくらい空けてしまったけれど、11月の旅日記をいい加減終わらせたくて書いたよ。)

さて、いよいよフィンランド最終日!

海外のホームセンターはいいぞ

海外旅行ではスーパーが楽しい。それは旅行慣れしてる人にとって基本って感じで定着しているけれど、私はそこにホームセンターも加えたい。

以前、ベルギーで行ったホームセンター brico planit ブリコプラネットがはちゃめちゃに巨大で、そこには「こんなものまで欧州の人は自分たちでつくるのか!」なものばかり。天井まで飾られた数々のバスタブ、シャワールーム一式、さまざまな木目の床材、洗面台やトイレ……。まるでLIXILとかのショールームなのに、基本DIY向けに販売。そしてひとつひとつのデザインは、変な英字とか、安っぽい合板の変な色とかの、余計な金をかけたダサさがない。多少作りが雑でも、デザインはソリッド。

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映画『アメリ』でパパが壁紙を剥がすことがすき、と言っているのを観た高校当時「壁紙なんてどこに売ってるんだろ」と思っていたけれど、欧州ではフライパンを買い換えるくらいには当たり前に行われていると感じた。普通の雑貨屋でも売ってるくらいだしね。

実際、ベルギーの友人たちの家も、ダイニングの天窓は天井抜くところから自作。DIYスキルがもはや大工。

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天窓に野良猫が遊びにくるベルギーの友人宅


そんなわけで、ここヘルシンキでもホームセンターに来てみました。

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ちょっと郊外にあったK Rauta。ここで我々が見つけたものは……。

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はいっ、サウナストーブ! こんな風に売ってた。ただ、電圧の関係で、これを日本に持って帰って「はいすぐサウナ!」ってわけにはいかないみたいだけど、うわあん、ちょう欲しい。金額も小さいのは€176からなので、フィンランド人の感覚的にはガスストーブみたいなものなのかな。

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サウナストーンもアウトドア用品感覚でドドンと。それにしても安い。日本だと、どうしても重いものを運んでくることになるし工賃もかかるし需要も少ないので、高くなっちゃうよね。

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サウナグッズも雑にたくさん売られている。

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サウナクッションって、どうやって使うんだ。サウナが家庭に1つあるような国ならではのグッズだ。公衆サウナにこんなの持ちこんだら一発でヌシ化してしまう

ちなみに、サウナーには2種類ある。スモークサウナを体験したことがある者と、スモークサウナを知らない者だ……。

と、サウナとか意味わからんとつい4日前まで言ってたような自分が言うくらい、スモークサウナの香りは衝撃だった。

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で、rentoの、白樺の香りとスモークの香りの石鹸を買った。石鹸には直接紐がついていて、お風呂場で吊るせるようになってて便利。このスモーク石鹸、一度でもスモークサウナに入ったことがある人は、後者を嗅げば瞬時にスモークサウナに飛べる。入ったことない人には、まあ、ただの燻製臭。

今ではスモーク料理を食べるだけでフィンランドサウナに行けるようになりました

右の灰色のはサウナハット。下のはサウナマット。いかにもサウナハットって形じゃないので気に入っている。ノッポさんみたいな生成りのフェルト地のやつは、私みたいな初心者にはちょっとだけ気恥ずかしい。どちらも乾きやすい、リネンとコットンのミックス。

あと、このホームセンターの上にあった地方のディスカウントストアみたいな場所で、埃かぶったイッタラが投げ売りされていた。日本でも地元の適当な金物屋にもWECKとか野田琺瑯とかが雑に売られているのを見かけるしそんな感じかな……。興味ないから写真撮りそびれたけど、お好きな人はそういう場所でお土産を探してみては。

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トルコのお守りナザール・ボンジュウマーク、ヘルシンキ内でよく見かけて気になってたチェーンのケバブ屋。ホームセンター1階のフードコート。

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ジャンクな成型肉ケバブ飯は、巨大すぎて2人1皿で十分すぎる。下にはポテトトライスがモリモリ。これで€10ほど。NYCチキンオーバーライスの類の安うま飯。

精神病院跡地・石の教会・ハイテク図書館・デザインショップ

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精神病院跡地の周りは広大な公園で、ここまでLIME(左に写ってる電動キックボード)乗ってきた。パリで乗ってもう四六時中これで移動するくらいドはまりしたんだけど、ヘルシンキにもあって歓喜。これめっちゃ楽しいんだ。プイーーン。

夫は「お金がチャリンチャリン落ちていく音がする……」とか言って、走ってついてきた。金銭感覚が極端に異なる夫婦。

カフェとギャラリーになっているここにも、ほんとうはサウナがあるらしいんだけど、残念ながら曜日限定で入れず。いつか行ってみたい。ちょっとコーヒーを飲んでくつろぐ。

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湖畔で写真撮影してた若者たち。

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一応こういう観光も、道すがらしている。天然岩のテンペリアウキオ教会。

それから、中央駅の方に向かい、図書館に足を運んだ。

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気になる建物……

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ばちくそかっこいい。これが図書館だと……? 

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2階には3Dプリンターや最新のゲーム機などがあり、学生たちは自由にそこで研究をしていいっぽかった。(2階は撮影禁止)

足を運びたくなる図書館は、学生たちの学力を必然的に向上させるのではないかな、と思ったり。デザインの力が強い。うーん、いい国。


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それから一旦ホテルの方に戻って、めっちゃかわいいライフスタイルショップGAUHARにも立ち寄り。

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めちゃくちゃいい匂いの香り袋と、リモンチェッロみたいな香りのハンドソープを買ったよ。匂い袋はクローゼットに掛けてる。海外に来ると香りものって絶対買っちゃうのよね。日本では見つからない香りがたくさんある気がして。


Kaurilan Sauna カウリラン・サウナ

さてさて。散々焦らした末、いよいよヘルシンキのラストサウナへ。事前情報によると、ここは女性専用の時間と、男女混浴すっぱだかの時間のどちらかしかなく、予約制。毎日ホテルの部屋サウナに入っていたから、水着に着替えるのめんどくさ、と思いはじめていたころだったので、まあ全裸でも大丈夫だろ、と思いながら向かう。むしろ夫の方が気恥ずかしそうにしてる。

カウリランサウナはちょっと郊外。トラムで中央駅から30分ほど行き、そこから歩いて10分。本当にこんなところにサウナがあるの?と、避暑地の別荘地にも似た静かすぎる白樺だらけの風景になってきたころに、ぽつんと赤い一軒家が見えた。

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えっ、ここ? なんだか普通のかわいい家みたいだけど。

スタッフ誰もいないよー、と困っていたら、どこからともなく猫が現れ、我々を案内してくれた。

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(iphoneSEで撮ったので暗さが激しい)

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(画像は公式サイトより)この一軒家の中にはダイニングテーブルとベッド、そしてキャンドル。かわいい一軒家って感じだけど、一体どこにサウナが?

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猫は2匹いて、ウロウロしている。フィンランド語で猫は"キッサ"だって。

お客は、地元の常連ぽい若い兄ちゃん1人とおじさん1人、それから老年夫婦1組、観光客っぽいドイツ語の中年夫婦1組、そして我々。

女性スタッフからアメニティの説明を受ける。

ここから脱衣所へ移動するのかと思いきや、なんとここがもう脱衣所だった。何も気にせずぽいぽい脱ぎ出すフィンランド人たち。おお……事前に調べてきたから知ってたけど、私もいよいよフルネイキッドサウナデビューか……。

トップスにグッと手をかけた瞬間、1人遅れて入ってきた。

それがまさかの、日本人中年男性

……わかりますか、この時の自分の躊躇い。本来ならば、郷に入れば郷に従う、それが私の流儀だ。しかしこの明らかにフィンランド在住者ではなさそうな日本人男性は、郷の中で出会ってしまった郷の外の人間だ。かなり薄暗いとはいえ、初対面の日本人男性の前で三十路半ばのおっぱいを晒すってーのはどうなんだろう。

ひよって女性スタッフに確認する。

「あの……水着を着て入っても?」

「ええ、それはあなたの自由よ」

真っ裸になれる夫を羨ましく思いつつ、ビキニに着替え、隣にあるサウナ室に入る。暗がりの中、全裸のフィンランド人男女と並ぶも。


みっ、水着を着ているほうが恥ずかしい……ッ!!!


逆・裸の王様とでもいおうか。恥ずかしがってる方が恥ずかしい。この汗はサウナの暑さで出てる汗ではない。焦りの汗だ。羞恥心の汗だ。ウワァァァァ! いたたまれなくなってサウナを飛び出し、すぐ脱いで戻ってきた。

解 放 ……  ッ 

うん、やっぱおっぱい丸出ししてこそサウナだよね。

何事もなかったような顔でくつろぎだす私。はじめからこうすりゃよかった。

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灯りは薪ストーブと小さなランタンだけ。影や光がチラチラと赤く揺れ、人は皆、顔も体も輪郭がはっきりとしない。気づいたらスタッフの女性も肌を露わにして、ふつうにサウナに入っている。この写真左側の上段に座ったまま、ラドルで水をぶん投げるように豪快にロウリュしていた。

だんだんみんな打ち解けてきて、おしゃべりを始める。サウナのために日本からきた、というとみんな笑っていた。日本人男性Kさんは、某旅行関連会社の人で、東京からヘルシンキに短期出張中とのこと。ここのサウナがすばらしいからと同僚に勧められて、今日たまたまはじめて来たとか。すごい偶然。

Kさん「女性の方がやっぱ度胸あるんですかね、こういうときは……」

夫「そうかもしれないですね、僕の方がちょっと恥ずかしいくらいで……

私「いやもう、さっさと脱げばよかったと思いましたね笑」

サウナ室内の桶に水を汲んで、慣れた常連の兄ちゃんはザバッと頭からかぶる。私はビビリなので(※まだ水風呂に入れない)、ちゃぱちゃぱするだけ。それでもつめたァァい。部屋に出て、とても肌触りのいいリネンのタオルをさらっと巻いて、息も白くなるほどの外へ。

ああー……気持ちいい。静かな白樺の森の中で、バスタオル一枚の人たちと、ランタンの火が薄暗く光るベランダでの休憩。肌を刺すくらい冷たい空気が、ほてった身体に心地いい。

ダイニングにはミントティーとお水が置かれていて、この温かいミントティーがまた格別で、たくさん飲んだ。

なんかすごいな、ここのサウナ。多分私、ここヘルシンキで行った全サウナの中で一番好きだ。おだやかで、人が人としてごく自然に共存してる感じがして。誰かの家に招かれたような居心地の良さ。猫もいるし。

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溶けるとレースみたいになるキャンドルも素敵すぎ

何回かサウナと休憩を繰り返し、みんながダイニングに集まってきたころ、自家製のパンをスタッフが用意してくれた。

このパンが、人生で食べたどのパンよりもはるかにおいしい。

茶色い系の、でも酸っぱいわけではない、ナッツの入ったまだ温かいパン。中がしっとりしてて、小麦の香りがして、噛むほど甘みが出てくる。添えてあるバターもやさしくて実にミルキー。欧州は小麦と乳製品が本当にうまいと思うが、ちょっとこれは別格。今でも鮮明に思い出せる。

旅行中のご夫婦も目を丸くして、ええ、これすごい美味しいね、あなたが作ったの?と聞きながら夢中で食べてる。欧州の人が絶賛するパンなんて、そんなのほんとに世界で一番美味しいじゃん。

(あとから、「のちほどサウナ」でここのサウナの回観たけど、彼らのパンへの感動が弱く思えて、食レポもっとがんばれってなった。世界で一番美味しいパンだよ!!!

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手作りのシアバターをお土産に買おうとしたら、「クレジットカードしか使えないけどいい? お釣り用意してないから現金は無理で……」と言われて、ほんとキャッシュレス進んでるなあって思った。結局この国で現金ほとんど使わなかったな。

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Kさんとはすっかり仲良くなったので、トラムで途中まで一緒に帰ることに。明るいところではじめてちゃんと見た彼に対し「あっ、こんな顔だったんですね!」と、まるでオフ会のようなことを口走る。オススメのお店を聞いて、連絡先を交換し、彼が下車したその直後。

Kさん、手袋かたっぽ落としてるじゃん。この寒いのに。

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これ系の手袋は、ないとつらい季節

しかし私たちはもう先に進んでしまっていた。交換したばかりのFacebookから連絡すると、じゃあさっき勧めたお店で、一緒にご飯食べましょうとなって。

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Kさんオススメのクラフトビールのお店、BRYGGERI

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ほろほろスモークポークのビールバーベキューソース、甘いマスタードのハンバーガー。甘さが癖になる。ビールも大変うまい。

Kさんとはいろんな話をした。普段は東京に住んでるとか、サウナー界隈の盛り上がりがすごいとか、ヘルシンキはみんなトランジットで素通りしちゃうからもっといろんな人にヘルシンキ来て欲しいとか。

いい夜でした。

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そんなこんなで長らく溜め込んだフィンランド編はこれで終わり。この翌日からはアイスランドに行くんだけど、正直フィンランドから離れたくなかった。

でも、アイスランドにもサウナはあったんだ。

それについては、またそのうち。


Kaurilan Sauna Helsinki
[営業時間]  予約必須 チケットはここから購入
月 18:00 - 20:00 混浴 
  20:00 - 22:00 女性のみ
火18:00 - 20:00 混浴 
  20:00 - 22:00 混浴 
水 18:00 - 20:00 女性のみ 
  20:00 - 22:00 女性のみ

 [サウナ]
大人16€(リネンのバスタオル込)
男女混浴フルネイキッド(水着を着てもいい)/女性専用ネイキッド
ロッカーなし

薪ストーブサウナ/セルフロウリュ
温度:85℃くらい

水風呂:なし。外気浴のみ。

 [アメニティ]
ハンドメイド石鹸、固形シャンプー、デオクリーム、シアバター、ココナッツオイルなど 

[その他]
ミントティー、お水飲み放題、世界一おいしい自家製パンのサービスあり

 ★TIPS
その場でお土産アメニティを買う場合は、クレジットカードのみ









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