社会心理学講義まとめ

第1章科学の考え方
実験によって理論が確立されるわけではない。
むしろ実験は様々な環境要素が絡み、その時の状況によって結果が変化することもある。(真空状態とは空気抵抗があるとか)
理論は理論単体として存在することができ、しばしば実験結果に矛盾する理論もある。
その際、理論を実験に合わせて修正するのではなく、新しい現象の発見ができるという進化のために用いるべきであり、理論を捨て去るべきではない。
社会心理学は過度に実験を重視するようになり、理論を塾考されないまま現在に至ってしまっている。

第2章人格論の誤謬
確立された人格があり、個々の人格によって行動が決まるという普遍的に信じられていることは誤りだということがアイヒマン実験よりわかる。
人間は社会状況や環境によって容易に自らの行動を左右される。
責任感が薄れる環境にいると、思考を放棄して倫理的に「普通だったらしないだろう」という行動をとる。
※アイヒマン実験:被験者を2人にわけ、問題を出す側と答える側をつくる。問題を答える側が誤答した場合、問題を出す側が電流を流す。電圧をだんだんと強くしていき、答える側が「もうやめてくれ、死んでしまう」と頼んでも、スタッフに「責任はスタッフがとるので電流を流し続けろ」と言われた被験者の65%は最高電圧の450ボルトまで流し続ける結果となった。
これは、「電流を流すボタンを押す自分」だが、「電流を流すように意思決定するスタッフ」というように、責任の所在を自分以外にすることが生じる。

ナチスドイツのユダヤ人虐殺も同じ構図になっている。
細分化された虐殺フロー(収容所への電車の時刻表をつくっただけ、収容所で囚人の管理をしただけ、毒ガスのボタンを押しただけ…)によって、自らが虐殺の責任を負っているのではないと感じ、虐殺への躊躇・罪悪感が薄められ効率的に虐殺を可能にした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?