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どうしてあの頃、あんなにクソで愛おしい上級生しか居なかったんだろう。

私が小学校に通っていた頃、上級生と言えば大きくて、なんか怖い存在だった。
もちろん、優しい人もいただろうけど、イメージに残ってるのは殆どクソみたいなヤツらだ。


1年生の頃…。
掃除をする時、私の学校は1年生から6年生を1人ずつ集めた班で行うことになっていた。
同じ班の6年生の女子がまさにクソである。
6年生といえば「班長」だ。
私が思い描いていた[班長]とは、だいぶかけ離れた種類の[班長]だった。

……あれは冬。
私のコンプレックスの1つ。
〖寒くなると鼻が赤くなる〗が発動した時だった。
おもむろに[ヤツ]は名曲「赤鼻のトナカイ」を歌い出したのだ。歌詞をこう変えて…。

«♬~まっかぁな お、は、なぁの~、○○○○ ○○ちゃぁ~ん»
私のフルネームが、ピッタリそこに収まるのである。
なぜか、2年生でもなく、4年生でもない1年生の私が[ヤツ]のターゲットになってしまった。
それだけでも私のHPはごっそり削られているのに、それにつけて、あろうことか[ヤツ]は持っていたT字型のホウキで私の頭を殴ってきたのだ。
しかも高笑いしながら…。

幸いなことに、柄の付いている硬い方ではなく毛の方だったのでクッションの役割を果たしてくれ、まぁまぁの痛さで済んだ。

今でも[ヤツ]の名前はフルネームで言えるし、もうすぐ30年が経つが、未だに思い出せる程に許せない出来事だった。

しかし、この班に私を救ってくれたヒーローが居た。
5年生の男子だ。彼は背が高くて、顔もなかなかのハンサムボーイだった。
私が[ヤツ]に頭を殴られ、半べそで雑巾がけをしているとサッと私の前に現れ、なんとまさかの【顎クイ】をしてきたのである。
「大丈夫?」と少女マンガのような展開を巻き起こしていたが、少女マンガと大きく違うことと言えば、彼の丸見えになった鼻の穴から大きめの鼻くそが「こんにちは」していた…という所であろう。
しかし、そんな鼻くそを通り越して私には彼が本物のヒーローに見えたのだ。
彼のおかげで、地獄だった掃除の時間がそれほど嫌じゃなくなった。

1年生という、大事な年の班割に[クソ班長]しか居なかったら、私は学校に行けなくなっていたかもしれない。
そんな中現れた[鼻くそヒーロー]のおかげで難を逃れることが出来た。
鼻くそヒーローが卒業してからも、彼の家の前を通る時は気になった。
もしかすると、それが私の初恋だったのかもしれない…。


end…☆*。




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