庵野秀明監督の映画「シン・エヴァンゲリオン」レビュー「窒息しそうな日々に耐え切れず…逃げ出して…グチャグチャな心境で観た『シン・エヴァ』は…キラキラ輝いていて…『映画館で映画を観る意味』を僕に教えてくれたのです…。」
本日ブルーレイが届き,視聴しましたのでレビューを書きたいと思います。
本商品には視覚障害者用の日本語音声ガイドが搭載されており
本編ディスクをセットして何もしなければ
音声ガイド+字幕ONモードで再生を開始します。
ナレーターは声優の岩崎了氏。
この音声ガイドが画面上で何が起こっているのか詳細に解説してて…
特にヴィレとネルフとの難解な戦闘が始まってから
視覚に障害があろうとなかろうと作品の理解の為に絶対に必須なのである。
例えばエンジェルブラッドを注入した結果,新弐号機に何が起こったのか,
又8号機が8+9号機,8+9+10号機,8+9+10+11号機,8+9+10+11+12号機に
次々に名称が変わって行く契機が
リアルタイムに理解出来る大変な代物なのだ。
要するに!「視覚障害者用の日本語音声ガイド」の本質は
「超詳細な音声解説」なのである。
必聴!
主な特典の概説
Rebuild of EVANGELLON:3.0+1.11(16:02)
本メイキング映像は製作過程で生まれる中間素材を厳選し,
映像処理を施して編集した作品である。
同じカットを何度もやり直し,加工や修正を加えて
完成映像に育って行く過程が画面分割等を駆使して構成されている。
Stage Greeting(17:29)
ブックレットには2021年4月11日新宿バトル9にて行われた
碇シンジ役の緒方恵美氏を司会進行役とした
庵野秀明,鶴巻和哉,前田真宏の3氏を交えた
「大ヒット御礼舞台挨拶」の模様,と記載されているが,
本特典映像には2021年3月21日にNHKで放送された
「プロフェッショナル仕事の流儀:庵野秀明スペシャル」
で本作の製作過程を取材した内容に
庵野氏が大変批判的な発言をした箇所がザックリ割愛され,
鶴巻氏が「(先般のNHKの死にそうな僕の)映像で心配されてますが
僕は元気です」と言う発言が辛うじて残っているのみだ。
NHKが,この時の庵野氏の批判に「この野郎…!」と猛発奮して
未使用の取材素材を大幅に増量して捲土重来を果たすべく
2021年4月29日に
「BS1スペシャルさようなら全てのエヴァンゲリオン」
を放送した経緯があるのである。
ですからやはり本商品の特典映像として
1.「NHKプロフェッショナル 庵野秀明スペシャル」
2. 「大ヒット御礼舞台挨拶」(完全版)
3 .「NHK BS1スペシャル さようなら全てのエヴァンゲリオン」
の順で収録した方が絶対に最高に
ドラマチックで盛り上がったに違いないのである。
EVANGELLION3.0(-46h)(10:41)
本商品の為に製作された新作映像。
これが楽しみの方も多いのでは?
主人公は「激マズです」「超ヤバです」でお馴染みの
ピンクの髪のヴィレのオペレーター北上ミドリ。
正直言ってヴィレのクルーってQでイキナリ
「葛城ミサト艦長の下で心を合わせて戦う気心の知れたメンバー」
として描かれてるケド…
トウジの妹以外イマイチ感情移入出来なかったのだが,
僕が「古い人間」なので例えが古くなって大変申し訳ないのだが,
彼女が「未来少年コナン」のモンスリーの様に
子供の頃,地獄を見た模様が描写されててね,
彼女の髪の色がピンクなのは
「アニメキャラだから仕方ない」としか思っていなかったのだが,
その認識を改めると同時に,初めて彼女に感情移入出来た次第。
彼女とアスカの出会いも描かれ,
彼女はミサトよりもアスカに憧れて
ヴィレに入ったのかも,と認識を更に改めました。
ブックレットに設定表が詳しく載ってます。
EVANGELLION3.0(-120min)(6:59)
本作が上映中に2021年6月12日から公式小冊子が
入場者プレゼントとして配られました。
その小冊子に掲載された漫画をモーションコミックにした特典映像です。
内容はQの冒頭で宇宙空間に封印された初号機を
奪取に向かう直前のアスカとマリの話。
「紙芝居」と言ってしまえば,それまでなのですが
プロの声優が吹き替えると,
その「紙芝居」に命が吹き込まれる事がよく分かりますね。
最後に「紙芝居」でなくなりQの冒頭へと繋がって行くオチもいいですね。
Message for ANN
2021年6月21日に放送された
「シン・エヴァンゲリオンのオールナイトニッポン」の
キャストメッセージ。(サウンドオンリー)
特筆すべきは清川元夢さんのメッセージですね。
清川さんは「シン・エヴァ」の公開後に亡くなられているのです。
庵野監督の思い出,「ナディア」の話…。
「『これからもお元気でお過ごし下さい』と
庵野さんに伝えて貰いたいです」
との締めの言葉・最後の言葉に涙,涙ですよ…。
庵野さんが偶然清川さんと出会って…
清川「庵野さん…早く『エヴァ』を終わらせないと…」
「オレ…いなくなっちゃうよ?」
「オレがいなくなる前に…間に合わなくなる前に…手遅れになる前に…」
「『エヴァ』を終わらせるんだよ…」
という会話をされ…「シン・エヴァ」のアフレコが終わって…
清川「間に合ったねえ…」
と庵野さんに声を掛け…庵野さんが清川さんに最敬礼する
庵野さんの話が思い出されます…。
もうね…「シン・エヴァ」の清川さんのお声が…
冬月が相当加齢してるコトを加味しても
本当に声優としてのギリギリの状況で収録されたと良く分かるのです…
庵野さんは「他の誰か」って考え方をされない方だから…
声優が加齢して往年の演技が困難になってもやらせる非情さがあり…
清川さんもそうした庵野さんの性格を踏まえたうえで
「時間がない」って「恫喝」されたんだろうと思う…。
最後に私事になりますが3年前に家人に介護が必要となって,
これ迄の様に好き勝手に生きられなくなって,
窒息しそうな日々が続いて,疲れ果てて,何の考えも無しに東京に逃げて,
池袋の映画館で観た「シン・エヴァンゲリオン」は
そうした諸々の鬱屈を吹き飛ばす程キラキラ輝いていて泣けたなあ。
ああ…「映画館で映画を観る意味」ってコレだって思ってね…。
この感動はさあ,配信のチッコイ画面では伝わらんのよ。
今日大型テレビでブルーレイ画質で本作を観直して,
やっぱりアニメは日々の生活に疲れ果てた人間に
希望を与えるもんだって再認識した次第です。
僕を筆頭にしてアニメファンは根暗で被害者意識の化身で
「恨みに思う気持ち」が強いのだけど,
面白いものを面白いと素直に言えない被害者意識は
いい加減投げ捨てるべきだと思いますよ。
ホント。
乱筆乱文失礼しました。
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