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アニメ「響け!ユーフォニアム」第3期第3話「みずいろプレリュード」レビュー「『1年生は身の程を弁えて黙れ!』って考えが部活動の風通しを悪くして,ある日突然空中分解を招くのだ。すっこっしっもっ「突然」じゃねえがな!」

サンライズフェスティバル(サンフェス)出場に向けて練習に熱の入る
北宇治吹奏楽部だが,1年の吹奏楽未経験者が
練習に付いて行けなくなり始める。

高坂(3年):今年の自由曲「一年の詩(ひととせのうた)」は…
表現力と技術力の両方が求められどちらが欠けても
貧相なものとなるかなり攻めてる(難易度の高い)曲…。
従って練習に付いて来られない子(1年)も出るだろう…。
そういう子達をフォローしてる時間はないと思う。

黄前(3年・部長):私は落伍者を出したくない。
全員揃ってこその「北宇治」でしょう?

塚本(3年・副部長):黄前の言ってる事は綺麗事だろ。
「辞めたい」って言われたら俺には止められん。

黄前:塚本テメエ…「無為無策」は「優しさ」とは言わねえんだよ!

黒江(3年):何を大袈裟に受け止めておる。
部活を辞めるって普通にある事でしょ。
辞めたい子は辞めて部活から解放されるし,
残った子は辞めた子を気にせず演奏に集中出来るようになる。
たかが部活でしょ。

黄前:黒江…このガキャア…「たかが」?
高校生活の大半を費やす事をオマエは「たかが」と言うのか…。
高校生活の大半を費やす以上,後悔の無いように生きるべきだろ!
ワタシが1年のときの3年にもいたよ…。
後悔の残る生き方を選択しようとした人が…。
ワタシは…。
一生懸命頑張って後悔を残さない生き方が「正しい」と信ずる…。

平沼(1年):部長…下手な癖に早く帰る人がいるんですが?
それっておかしいですよねえ?下手なら自主練すべきなんです!

釜屋(妹)(1年):このまま行くと1年は…部活ボイコット…集団退部して…。
北宇治吹奏楽部は空中分解しますよ…?
ホラ…高坂先輩って初心者にも
経験者と同じくらい厳しい事要求されますから…。
高坂先輩は…経験者には好かれて尊敬されてますが…そうでない子には…。
だから1年の中でも意見が割れてるんです…。

義井(1年):「厳しい練習」が必要なのは
コンクールメンバーだけじゃないんですか?
初心者にまで「厳しい練習」って必要なんでしょうか…?

北宇治吹奏楽部は…本当に風通しが良くなったと思う。
1年が「思ってる事」を部長の黄前に忌憚なく打ち明け…。
3年の幹部が指導方針を相談し合う…。
それは小笠原部長のときも吉川部長のときも「出来なかった事」で…。
部が空中分解してしまってからでは取り返しが付かず
辞めてしまった部員の慰留に3年がつとめたら
全国で金を獲るどころではなくなる。

黄前が1年のときなんか
前年の吹奏楽部の分裂問題に関して
1年全体が蚊帳の外で
「詳細を知る事罷りならん」
「ましてや意見するなどもっての外!」
って空気でしたもの。
だから未だに事件の全貌が分からないまま。

それが…今は1年の平沼が
「やる気のない1年」に対する不満をぶつけてくれるし
1年の釜屋(妹)が1年の不満分子が
吹奏楽部の分裂に発展する危険があるって
自由自在に意見出来てる。
部長の黄前に「直(ちょく)」にだよ!?

1年のリーダーの義井は心労からか風邪をひくまでため込んでたけど
部長の黄前の求めに応じて
高坂の指導の厳しさが招いた問題に悩んでいる事を打ち明けてくれるし…。

コレは小笠原部長にも吉川部長にも「出来なかった事」なんだ。
これって凄い進歩なんだよ。

吹奏楽部の本質は「体育会系」と言われていて
1年が3年の指導方針に物申す事は非常に難しい。

黄前が2年のとき滝から「黄前相談室」を拝命し
当時の1年の悩みを聞いて回り
現在では剣崎梨々花がその任を継いで
剣崎は黄前に「1年の悩み」を意見具申している。
「(特に1年が)自由にものの言える空気」
の醸成が滝の指導方針の
ファインプレイであった事が今証明されたのだ。

正直な話ね…第2話まで釜屋(妹)…釜屋すずめの事を
「うるせえなあ」
「1年生の身の程を弁えて黙れ」
と思ってたんだけど
もし釜屋(妹)を黙らせていたら
北宇治吹奏楽部の空中分解の危機を察知するのが大きく遅れていた。
気付いたときは手遅れだったかも知れない。
「生意気な1年を黙らせる」
僕の考え方こそ部活動の風通しを悪くしていたんだよ…。
釜屋(妹)は…1年は…不満を腹に貯め込ませて「黙らせちゃダメ」なんだ。
「それ」をやったらイキナリ「黙って」辞められて
しかも原因が全然分からないって自体を招いてた。

「忌憚の無い意見」ってのは
好き勝手なお喋りの中からしか生まれねえんだよ…。

「自由にものの言える空気」

が「また」北宇治吹奏楽部が空中分解するのを未然に回避して

「次の曲が始まるのです」

黒江の「たかが部活」って考えは
「たかが部活」に命を賭けられない点で至極真っ当ではあるが
「命を賭けないで大業を成し遂げられるのか?」
って問題がある。
全国で金を目指さないラクーな部活なら命を賭ける必要など無いが
最初に金を目指すと全員で決めた以上,
「たかが」って考えは逃げ口上でしかない。
黒江が「たかが」って言うのは全員で全国金を目指すって決めた場に
未だ吹奏楽部に入ってなかった黒江がいなかったから。

黒江は徹底的に「異分子」なんだよね。

実際…「命賭けてない奴」に負ける気がしないよ。
負けたときに
「たかが部活」「たかが勉強」「たかが仕事」
って逃げ口上言う奴にさ。

負けたら死ぬほど悔しがる奴が僕は「怖い」。
「次」は負けない様に対策を立てて来るに決まってるから。
「たかが」って言う奴は一生対策を立てないから怖くない。

高坂も黄前も久石も
「死ぬほど悔しい」思いをしてるから
「次」は微塵も悔しくない全国金を目指してるんだ。

2024/5/2追記
あのさ。

第3話で1年の武川を厳しく指導して泣かせた高坂が
第4話で「急に」武川をフォローしたのを
ずっと「変」だと思っていたのだけれど…。
コレ…部長の黄前が高坂に
「1年の武川をフォローしろ」
と指図してると考えると腑に落ちるんだよ。

黄前は釜屋(妹)の「直訴」を重く見て
高坂に直訴内容をフィードバックしてるんだよ。

だって高坂が武川をフォローした直後に黄前が出現して
「「高坂先輩マジエンジェル」って言われるかもね」
って高坂をからかってるじゃん。

高坂は後輩から自分の事を
「エンジェル」と呼ばれようとは微塵も思っておらず
「厳しく指導するのが本人の為・吹奏楽部の為・全国金を獲る為」
「従って厳しい指導に付いて来られない1年が出て来ても仕方がない」
と思ってて部長の黄前から言われて仕方なく
1年の武川をフォローした証明になっている。

黄前は高坂を
中世古香織(カリスマ)&田中あすか(孤高の実力者)の
ハイブリッドに育成する気なんだよ。

そんで自分はと言えば
「ワタシは皆に助けられてまあす」
って小笠原晴香の地位にちゃっかり収まろうとしている。

でもさ…そういう黄前の「性格の悪い」ところは
流石の田中あすかの直弟子なんだよね…。

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