見出し画像

樋口真嗣監督の「樋口真嗣特撮野帳 ー 特撮プラン・スケッチ ー」レビュー「全640頁のハードカバーで厚さは4cmあり,読み応えは満点です!」

前書に「野帳のすすめ」と題された樋口監督の一文があります。
曰く「私達の仕事の殆どは,
この世に無い物をさもあるかの様に喧伝する事であり,
眼に見えないものを,
どうやって形にするかと言えば頭の中に思い浮かべる事」だと。
「その頭の中で思い浮かべた事を自画自賛に溺れる事無く客観視する為に,
その頭に浮かんだ事の姿形を描き記しておく必要があるのだ」と。
「着想は何時何処で訪れるのか分からないから
常に帳面を携行して何時でも何処でも描き記すのだ」と。
監督がそうした帳面…野帳を2002年から描き始めてから20年。
膨大な野帳を「シン・ウルトラマン(2022)」「シン・ゴジラ(2016)」
「巨神兵東京に現る(2012)」「進撃の巨人(前後編)(2015)」「西遊記(2009)」の5つの単元に絞って今回出版して下さる事となりました。

ある時は絵コンテ,ある時は一枚絵,ある時は漫画…。
そうした諸々を監督は「中間生産物」と呼ばれ,
創作の秘密の一端を我々ファンに公開して下さるという大盤振る舞い。
中間生産物には付箋が貼られ
監督の「ちょっとした走り書き」が記載されてます。
ファンはその「ちょっとした走り書き」にこそ最大の意味を見出すもの。
絵の殆どは非常に動的で読んでいて実に楽しいし刺激になります。
バトルシーン中心だしね!
恐らく今年公開された
「シン・ウルトラマン」の野帳に最大の関心が集まるのでしょうが,
そうした読者の要望に応えて筆頭に配置され,
全640頁中,実に290頁を占める圧巻の「シン・ゴジラ」の野帳が続く構成。

5つの単元の野帳が終わると
監督のロングインタビューが英訳と共に掲載されてます。
全640頁のハードカバー故に厚さが4cm近くあり読み応えは満点。
年末年始は先に購入した「池谷仙克アートワークス」と本書で
読書の愉しみを心行くまで堪能しようと目論んでいるのです。

この記事が参加している募集

#読書感想文

191,569件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?