伝えたいことは、漢方のように。〜脚本家倉本聰さんから学んだこと〜
南伊豆新聞では、僕がたまに簡単な漫画を描いて南伊豆の暮らしを伝えている。
もともと僕は漫画家になりたかったけど、なれなかったという気持ちを抱えてこれまで生きてきた。不安定な未来を予想して、失敗するのが怖かったから。
でも、僕は南伊豆に来て、ゆるいタッチだけど漫画を描くようになった。
どんなクオリティであれ、0→1を作り出すことは、自分の中でとても大きな出来事だった。まさか自分が漫画を描く日がくるなんて、と。
でもこれは、求められる環境に身を置いたからだ。
東京の出版社にいた頃は、何も描くことが思いつかなかったし、届けたい人もいなかった。
だけど、今は南伊豆で暮らす中で感じたことをメモするようになった。
今は、どうやったら自分の言いたいことが他者に伝わるんだろう?
そんな気持ちが芽吹いている。
で、これは自分の備忘録なんだけど、田中邦衛主演の「北の国から」や高倉健主演の「駅 STAITION」の脚本家、倉本聰さんのインタビューの中ですごくいいなぁと思ったことを書く。著者川村元気のインタビュー集「仕事。」から抜粋する。
倉本:シナリオを書くというのは、本当に書きたいことをどうごまかして描いていくかというゲリラ活動なんです。<中略>見終わって1ヶ月以上経ってから薬がじわじわきいてくるくらいでもいいと思う。化学薬品の即効薬より、漢方が理想ですね。
はぁぁと思った。
これは倉本さんが戦争中にたくさんのメッセージ性の強いプロパガンダな文章に触れたからだと話している、ただそれでも年齢を重ねると伝えたいメッセージみたいのが出てきてしまうと。その時にこのことを考えるのだそう。
確かに僕も「こうしてください」「こうするべきだ」のSNSのタイムラインがどうも苦手だ。これはきっと、何か人を変えたいって気持ちが強すぎるのだと思う。
倉本聰を通して、「こうするべき」論の主張が死ぬほど嫌いだって自分が見えてきました。
なので、作品を作る時、
伝えたいことは、さりげなくしたいと思います。
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