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ラグビー分析#3|ラグビーを4つに分けて、相手を探れ!4局面分析!


ラグビー分析、第3弾

今回は、ラグビーの局面を大きく4つに分けて分析する、4局面分析を紹介します



3年ほど前に書いた記事で、ラグビーの4局面について触れました




4つの局面とは・・・


ラグビーは、アタック(攻撃)ディフェンス(守備)があります

そのアタックとディフェンス
それぞれ、さらに2つへ分けられます


まず1つは、自分たちのボールでプレーが始まる「セットピースアタック」と言われるもの

「セットピースディフェンス」はその逆で、相手のボールでプレーが始まります

さらに、ラグビーはプレー中に「攻守の切り替え」が発生するスポーツ

このことを、「トランジション」と言います

なので、アタックしててもボールを失えばディフェンスの状況になり、ディフェンスからいきなりアタックになることもある

よって、ラグビーは

・攻撃 - セットピースアタック
・守備 - セットピースディフェンス
・守→攻 - トランジションアタック
・攻→守 - トランジションディフェンス

の4つの局面に分けることができます


前回の記事では、ボールインプレーを4つの局面に分割し、それぞれの時間の比率について分析してみたものでした

今回は、ちょっと視点を変えて

4つの局面の「時間」ではなく、「回数」に着眼点を置いてみます


ここで言う「回数」とは、ポゼッションスタート(ボールを所持する始まりの状況)の回数のこと


ラグビーのポゼッションスタートは、大きく以下の7項目です


※リスタートはキックオフ、22mドロップアウト、
0mドロップアウトを含みます


これが、アタック(攻撃)とディフェンス(守備)どちらもありますので



試合全体で、ポゼッションスタートは14項目のシチュエーションに分けられます



これを、4局面に振り分けてみましょう




チームによって考え方が変わってくるかもしれませんが、僕はスクラム・ラインアウトにリスタートも含めた項目をセットピース、それ以外をトランジションと振り分けています


※リスタートはキックカウンターに似ていますが、セットアップした状態からポゼッションがスタートしますし、キックオフレシーブからのストラクチャーは基本的にどこのチームも持っていると思いますので、僕はセットピースに位置付けています



スタートポゼッションを、4つの局面に分けることができました

それでは、これを使って実際に対戦相手を分析していきましょう



まず、対戦相手が試合で起こしたポゼッションスタートの回数(14項目)をそれぞれ数えていきます

回数なので、ポゼッションの時間は関係ありません

例えば
・スクラムアタックからファーストレシーバーがノックオンしてポゼッションが終わっても、カウントは「1」
・20フェーズ続いてトライしても、同じくカウントは「1」
・キックカウンターで速攻蹴り返しても、カウントは「1」

です



今回は例として、相手の数試合を使って分析したとします

そして、1試合当たりのポゼッションスタートが平均100回あったとします

それをパーセントに置き換え、4局面それぞれのポゼッションスタートの回数の割合を見ていきます


今回は100回をそのまま割合に直すので、パーセントは同じ数字になります


割合的に、セットピースアタックが一番多く、トランジションアタックが一番少ないですね

ここでまず、なんとなくチームの雰囲気は感じることができます


ただ、これだけでは詳しく見えてきません


ここで、4局面それぞれのスタッツを使っていきます


今回使うのは、以下の3つ

1.トライ数
2.ポゼッション1回あたりの得点・失点数

  例)セットピースアタックからのスコア合計
         ÷
  セットピースアタック回数
         =
  セットピースアタック1回あたりの得点
3.ゲイン率


出してみると、4局面の割合にそれぞれこんな数字がくっついてきました



なるほど、気になるところを見ていきましょう



アタックに関しては、セットピースからのトライ数が22回で、ゲイン率も高い

トランジション、いわゆるアンストラクチャーアタックよりもセットピースからのアタックが強みに感じます


逆にディフェンスを見てみると、取られたトライ数は18TRYで同じですが、ポゼッション1回あたりの失点数やゲイン率(ゲインを切られた割合)は、トランジションの方が高い


アンストラクチャーからのディフェンスに弱点がありそうですね


ここで一回、相手のアタックの脅威ディフェンスの弱点(チャンス)が把握できます


・セットピースからのアタックが脅威
・アンストラクチャーディフェンスに攻め入るチャンスがある


さらにもう一歩、深掘りしていきましょう


分析相手が勝った試合と負けた試合では、4局面の比率はどうなっているのか


そう、Won/Lost分析です


※Won/Lost分析の記事はコチラ



実際に比較してみると




セットピースアタックの割合は、勝ち試合が負け試合よりも5%高い
トランジションディフェンスの割合は、勝ち試合が負け試合よりも3%低い




この分析相手のチームに勝つには、Lostの結果に近づけることが必要です

となるとWon/Lost分析から言えることも、相手のセットピースアタックの割合を削り、相手のトランジションディフェンスの割合を増やすことが大事になってきそうです




4局面の割合にスタッツを組み合わせ、さらにWon/Lost分析と照らし合わせることで、より強力な分析結果が生まれることがあります


その分析結果を使って、相手をどのように攻略していくかを考えること

そして、考えた内容を的確にコーチ陣へ提案していくこと

それがアナリストの役割であり、醍醐味でもあります


今回の結果から、相手の脅威であるセットピースアタックの割合を削り、トランジションディフェンスの割合を増やす必要があります


では、自分たちの戦術として提案できそうなことは・・

・Exitのキックは蹴り出すべきか、インに残すべきか
・カウンターアタックを仕掛ける基準となるラインは、何メートルに設定すべきか
・相手のターンオーバーは、どの状況で起こりやすいか
・クイックスローやクイックタップは使えそうか

etc...



なんか色々アイデアが出てそうですね!



もちろん、ここでもSWOT分析を活かしていけたら最高です

自分たちの強みとなる部分が提案する戦術に当てはまれば、いい結果が得られるのではないでしょうか







以上、今回は4局面分析の紹介でした


どの分析手法にも言えることですが、今回の例のように分析が毎回ハマることはありません


けど、分析手法の1つとして持っておくことで、自分の武器が1つ増えます


どんどん武器を増やして、たまには分析手法を組み合わせてみる

どうやったら相手に勝てるか、研究し続けることが大事ですね!




今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました

アナリストの仕事に興味を持っていただけたら嬉しいです



また書きます!



※SWOT分析の記事はコチラ


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