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ラグビー#14|割合ってどれくらい?ラグビーの4つの局面とは!?

ラグビーを大きく2つに分けると

『アタック』と『ディフェンス』

いわゆる攻撃と守備があります。


ラグビーにはこれに加え

『トランジション』という現象が発生します。

トランジションとは、いわゆる攻守の切り替え。

アタックで相手にボールを奪われたり、キックをして相手にボールを渡したらディフェンスへ

その逆で、ディフェンスで相手からボールを奪い返したり、相手が蹴ってきたボールに対してカウンターを仕掛けたりするとアタックへ


よって、ラグビーには4つの局面が生じます。

・攻撃 - セットピース(スクラムやラインアウトなどからの)アタック
・守備 - セットピースディフェンス
・守→攻 - トランジションアタック
・攻→守 - トランジションディフェンス


ラグビーの試合80分間で、ボールが動いている時間(ボールインプレー)は平均すると約32分。

32分のうち、この4局面がどのような比率で起こっているのか。
またこの4局面を分析するにあたり、どのようなことに活かせるのか。

僕なりにデータを取ってみて、それについて考えてみました。


直近の世界のラグビーからデータを取ってみた


今回、データとして使用したのは下記の試合。

・B&I ライオンズ vs 南アフリカ 3試合
・ニュージーランド vs フィジー 2試合
・ニュージーランド vs オーストラリア(ブレディスローカップ)


世界が注目したそれぞれの試合。

4局面の割合はどのような感じになったのでしょうか。


その前に、4局面をどのように振り分けたか。
今回は僕なりの考えでデータを取ってみました。
(少しオリジナル入っているかもです!)

【攻撃】
・スクラムからのアタック
・ラインアウトからのアタック
・キックオフレシーブ
・ペナルティからのクイックタップ

【守備】
・スクラムからのディフェンス
・ラインアウトからのディフェンス
・キックオフアタック
・ペナルティからのクイックタップに対するディフェンス

【攻撃→守備】
・キック後のカウンターアタックに対するディフェンス
・ターンオーバーされた後のディフェンス
・クイックスローに対するディフェンス

【守備→攻撃】
・相手キックに対するカウンターアタック
・ターンオーバーした後のアタック
・クイックスローからのアタック


本来クイックスローはラインアウトとしてカウントされますが、状況がほぼキックカウンターと同じなので、トランジションの枠に入れてみました。



この基準で取ってみたデータを紹介します。

まずはB&I ライオンズ vs 南アフリカの3連戦。
3試合の平均データです。

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なるほど、平均インプレー時間は33分。
やはりこれくらいになるんですね。


B&I ライオンズ目線で見ると、南アフリカのセットピースアタックが『守備』、南アフリカのトランジションアタックが『攻→守』の状態です。


時間で見てみると

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こんな感じになりました。

B&I ライオンズのセットピースアタックが少し多いですが、割合的に似ていますね。

62%セットピースからの攻防、残りの38%攻守が入れ替わるトランジションの攻防という結果になりました。


続いて、ニュージーランド vs フィジーの2連戦のデータ。

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ボールインプレーが2試合平均31分30秒。

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ニュージーランドがポゼッションを支配しておりますが、上回っているのはセットピースアタックの時間。

トランジションの時間は変わらずとの結果でした。


この2つの事例は、どちらも試合の平均として出しています。
1つひとつの試合では波が生じますが、平均で出してみるとこんな感じになるんだなと。

こうやってみると、なかなか興味深い。



さらに、先週土曜に行われたブレディスローカップ。
ニュージーランド vs オーストラリアはこのような感じでした。

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ニュージーランドのミスなどでボールが切れたシーンも多かったので、オーストラリアのセットピースアタックの時間がとても多かったです。

試合の状況によっては、このようなことも起こります。


この結果から思ったこと、活かせること

ニュージーランドはトランジションアタックが得意とよく言われますが、実際の時間としてはセットピースからアタックしている方が長いという結果でした。



けど1つ思ったことが。

ニュージーランドのトランジションアタックの時間が多かったら??

得点など、また違う結果になっていたのかもしれませんね。



アナリストの立場からすると・・これはスカウティングや自チームの戦術に紐付けることができるなと。


『相手が得意とする時間を減らす』


立派な戦術ですよね。

相手のトランジションアタックの時間を減らすための戦い方
を考えることができます。

フィジーやオーストラリアが、どのようなスカウティング・戦術を取っていたかが気になるところです。



逆に言うと・・


『自分たちの得意・強みを活かせる局面は何なのか』

を追求することもできます。


インプレー約32分のうち、自分たちの得意な形の時間帯を増やすことができれば、試合を優位に進めることができる可能性は大きくなると思います。



そう考えると、この4局面の割合からいろんなことが生み出せるなと。


スカウティングでよく行う、相手の勝った試合と負けた試合を比較してみる

『Won/Lost分析』

相手が勝っている試合の4局面はどのような状況なのか、逆に負けている試合はどのようになっているのか。

得点・失点なんかと紐付けて調べてみると、相手の強み・弱みが見えてくるかもしれませんね。


自分たちのチームにも当てはめることができると思います。

勝っている試合はセットピースからのアタックが多いのか、トランジションアタックからのスコアが多いのか。
はたまたディフェンスの時間が長いのか。

自分たちの強みを理解することができれば、それを練習へと繋げることもできます。


エディーさんの本にも書いていましたが

トレーニングは、非常に激しい32分の中で最大限、力を発揮できる方法を考案しなければならない。

EDDIE JONES -My Life and Rugby-より

まさに、試合のための練習ですよね。

となると、その32分間の強度の高い練習法も、チームカラーによってそれぞれ違ってくるのだろうなと思います。

セットピースをとことん追求するチーム、トランジションの練習を多く取り入れるチーム・・ディフェンスを強みにするためディフェンスの時間に多く費やすチーム。


こう考えると、自分たちの強みを理解するためにまずは自分たちを知ることが大事だということ。

試合のために自分たちの強みを活かす練習をしなければならないこと。


そういうことが見えてきますね!



話が色々と大きくなりましたが笑、ちょっと気になって取ってみたデータから、いろんなことが膨らんでよかったなと思っております笑



実際このデータの取り方は、とても簡単。

映像とストップウォッチが4つあれば取れるので、自分たちの試合や相手チームの試合のデータを出してみるのも面白いかもしれません。



僕自身、ここからはアナリストとして面白いところ。

このデータを実際どのように使っていこうかを、ちょっと考えていきたいと思っております。



今回は、ラグビーの試合で起こる4局面について。
そのデータから思ったことや活かせることを書いてみました!


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

『俺はこう思う!私だったらこういうアプローチをする!』

なんて意見がありましたら、ぜひ教えてください!


みんなでラグビーを勉強していきましょう!!

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