【ショートショート】行列
「ああ、あったあった」
駅前の商店街。
長蛇の列を見つけて僕は慌てて駆け寄ると最後尾に加わった。
テレビで紹介されていた『伝説のあんぱん』が数量限定で半額で買えるという。
甘いものに目がない僕は昼ごはんをかきこむと慌てて家を出たのだった。
列に並んで20分ほどが経った。
店はもう開いているはずだが列は一向に前には進まない。
なんとなく列全体がそわそわしているのを感じる。
「あの……この列ってどれくらい前から並んでるんですか?」
僕は意を決して一つ前の男に尋ねてみることにした。
「さぁ。私はもう3時間ほどになりますが」
「3時間!?」
3時間といえばお昼のテレビ番組が放送される前ではないか。
「こ、これって『伝説のあんぱん』の列じゃないんですか!?」
「いや、これは『伝説のクリームパン』の列のはずですが」
なってこった。
まさか列を列び間違えていたとは。
そして『伝説のクリームパン』なんてものが存在していたとは。
甘党の僕にとっては究極の選択突きつけられたのだった。
✒あとがき
読んでくださってありがとうございました!
早朝から駅前に行列が出来ていて思いつきました。
行列に列ぶのが嫌で年始の初売りなんかも参加したことないです。
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