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私花集「ダンス」眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー

noteユーザー様の新旧作品を一つのテーマで綴るアンソロジー。題して眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー。早くも第4巻となりました。今月のテーマは「ダンス」。
全16編の珠玉の逸品が集まりました。
倦怠と浪漫、ノスタルジックとメランコリック、恐怖と官能が織りなす蠱惑のダンス。お楽しみ下さい。

目次
01 漫画「街」ステシマ
02 音楽「存在してみよう」ヤマダマキオ
03 詩「月の上でダンス」fuyuno coat
04 絵画「踊りに行く父と娘」白樺ムク
05 小説「夏の夜空の楽しきこと」クマキヒロシ
06 音楽「blow2010091901」dechi
07 小説「縄文のダンス」民話ブログ
08 小説「レディ・ジェーン・グレイのダンス」くにん
09 漫画「2006年9月の夜」PPN
10 音楽「blass band」イロジロメガネ
11 評論「ストリップ、その光の写真展」たなかときみ
12 漫画「かおもじくん ダンス」拙
13 小説「卍ルが溢れる夜に卍て」ヒロシ
14 小説「重ねる。重ねて。」ウネリテンパ
15 漫画「ダンス」宮野8印
16 音楽「夜にマチルダと酒場の前で」わたむし

舞踏【dance】眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー|murasaki_kairo|note(ノート)https://note.mu/murasaki_kairo/m/m0f99bb690417

【作品紹介】

01 漫画「街」ステシマ
街で踊る若者。
それを横目で見るおじさん。
全く異なる存在でありながら実はこの二人は「男性の人生に於ける一区間」という点で同軸に結ばれています。おじさんは嘗ての自分を青年に見たかも知れません。そして現在の自分も見つめ直したかも知れません。過去と現在が同時的に存在する一瞬の邂逅。メランコリックな叙景が淡々と切り取られました。

02 音楽「存在してみよう」ヤマダマキオ
明るくほのぼのした曲調のロックですが、歌詞は「存在してみよう」。存在することは罪悪でしょうか。悩みは尽きません。しかし試しに、軽い気持ちで「存在してみよう」。良い歌詞です。
そして脳内に残ります。このサビは暫く私の頭の中にもエンドレスでリピートされました。

03 詩「月の上でダンス」fuyuno coat
人気ユーザーの冬野小音さん。ジム・ジャームッシュのpermanent vacationをモチーフにした小説、或いは詩。
冬野さんの言葉遣いは大変優しい。
その世界も優しい。小鳥に説教を説いたという聖フランチェスコが引用されますが、冬野さんの言葉もまるで動物たちに聞かせるかのようです。

04 絵画「踊りに行く父と娘」白樺ムク
抽象画を描く白樺ムクさんの作品。背景色が茶渋色と申しましょうか、渋い色味です。私にはこの色が黄金色に見える。
いつまでも消えぬ美しい思い出の色。
父と娘が相和する時期は大変短い、ものの気がします。(個人的な意見です)その思い出を絵の具に溶かすとこのような色味になるのではないでしょうか。
美しい絵です。

05 小説「夏の夜空の楽しきこと」クマキヒロシ
フランス、オルレアンを舞台にした小説です。ダダンルと名乗る東洋人。最後まで彼の言葉は不明瞭です。しかし通じるものがある。人情に言葉は無用です。人物描写、葛藤が生き生きと描かれます。爽やかな読後です。

06 音楽「blow2010091901」dechi
クマキヒロシさんから民話ブログさんの小説の幕間に、dechiさんのダンサブルな音楽を一曲。和風テイスト尚且ダンサブル。とてもクールです。

07 小説「縄文のダンス」民話ブログ
縄文の邑を舞台にした民俗浪漫。邑を束ねる呪術。生者と死者の交錯。現代とは全く異なる理の中に縄文人は生きています。ある意味、作中の古代社会は幻想現象学的に現代よりも高度な文明を誇っています。そういったファンタジーを卦体を感じさせずに一気に読ませる筆力。面白かったです。

08 小説「レディ・ジェーン・グレイのダンス」くにん
舞台は再びヨーロッパに戻ります。今度は中世のイングランド、その首都であるロンドンです。ジェーン・グレイは女王として即位後、在位九日間で叛逆罪に問われ倫敦塔に幽閉されました。そして斬首の刑に処された、と史実にあります。本小説は倫敦塔に幽閉されたジェーン・グレイの物語。史実的結末が見えているだけに小説を読み解く程、緊迫を帯びます。

09 漫画「2006年9月の夜」PPN
ジャンルが分からないので漫画枠に当てはめましたが、挿絵小説、絵本と呼ぶべきものかも知れません。
コンビニへ行こうとして夜の住宅街を歩く少女。彼女の目に写っているものは虚無です。
その虚無が形を帯びて何かを生み出すようでいて、やはり形に成らない。不思議な話です。

10 音楽「blass band」イロジロメガネ
サンプラーを使ってダブステップを作っているイロジロメガネさん。その音楽は前衛的で洒脱に満ちています。本作は他作品と異なり、ストレートに格好良いギターサウンドです。

11 評論「ストリップ、その光の写真展」たなかときみ
たなかさんの記事はストリップへの愛に溢れています。
ストリップって踊りながら服脱ぐだけでしょ。と単なる言葉で片付けるなかれ。「服を脱ぐ」という行為はもの凄いことです。その行為だけで世界は一瞬で常識の理から外れるのです。常識から離れたその世界はファンタジーの世界です。つまるところ、これは現実への叛逆です。

12 漫画「かおもじくん ダンス」拙
拙作です。お見逃し下さい。

13 小説「卍ルが溢れる夜に卍て」ヒロシ
「卍」について、ここまで言語化された表現を見たことがありません。タイトル、そしてこの内容の奇抜さたるや、これは奇書のレベルです。この物凄さは読んで頂くより他ありません。私如きの寸評力で、この作品は語ることができません。

14 小説「重ねる。重ねて。」ウネリテンパ
ミスター軽妙洒脱のウネリテンパさんの作品。機知なのか、駄洒落なのか。その中庸を行く氏の魅力が今回も軽快に炸裂しております。
本アンソロジーのための書き下ろしですが、「ダンス=踊り場」という謎の天啓を得たとのこと。天啓の導くままに物語は美しい曲線を描きラストに繋がります。

15 漫画「ダンス」宮野8印
アンソロジーの最後を飾る本作は間違いなく名作です。タイトルは「ダンス」。この作品のタイトルはこれ以外にあり得ません。是非、沢山の方にご覧頂きたいと思います。

16 音楽「夜にマチルダと酒場の前で」わたむし
今夏に彗星のように現れて彗星のように消えた「わたむし」さん。美しいストリングスとウィスパーボイスに多くの方が魅了されました。わたむしさん、最後の作品は本アンソロジーの為に残してくれた新作です。
修辞の言葉は無用です。美しい曲です。

以上「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー、ダンス編」全16編。お楽しみ下さい。

舞踏【dance】眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー|murasaki_kairo|note(ノート)https://note.mu/murasaki_kairo/m/m0f99bb690417

【告知というか】
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締切は10月末日。この記事のコメント欄、若しくは他記事からでも参加の旨、お知らせ下さい。
ところで次月のテーマは何に致しましょう?
11月号になりますので紅葉、そこから転じて「色彩」、とか。霜月なので「氷、凍る」とか。
その他候補がございましたら自由にお寄せ下さい。
集まった候補の中から決定します。
お気楽にどうぞ。

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