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2020年6月の記事一覧
短編小説「イタリアンロール」
市場町から御幸町へ抜ける石畳の細道を歩いていると目の前に。
蟹、がいた。
往来を横切ろうとしている。
進んでは止まり、止まっては進む。
小さなハサミを突き上げて、横歩きしている。
その蟹と目が合った。
虹色の泡が。
くるくると回りながら風に吹かれて飛んだ。
振り向くと地蔵のような老婆が二人、ちょこんと路傍に座ってシャボン玉を吹いていた。
「こんにちは」
一人の老婆が朗らかに挨拶をした。
「
市場町から御幸町へ抜ける石畳の細道を歩いていると目の前に。
蟹、がいた。
往来を横切ろうとしている。
進んでは止まり、止まっては進む。
小さなハサミを突き上げて、横歩きしている。
その蟹と目が合った。
虹色の泡が。
くるくると回りながら風に吹かれて飛んだ。
振り向くと地蔵のような老婆が二人、ちょこんと路傍に座ってシャボン玉を吹いていた。
「こんにちは」
一人の老婆が朗らかに挨拶をした。
「