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小石

アスファルトに
ピカピカに磨かれた様な小石が五つ
綺麗に並んで輝いてた 

真夏の陽射しに揺らぐ陽炎
公園を渡る熱風に煽られて
真っ白な日傘が
クルクルと回りながら近付いて来る 

薄汚れた靴に真っ直ぐ落ちて行く
顎から零れた俺の汗に
小石達がどよめいた 

汗だくの俺とは対照的に
灼熱の陽射しを浴びながらも
涼しげな表情をしてる君は
「待たせちゃったかな?」
悪びれる事なく
30分遅刻の言い訳もしないで
無邪気な笑顔を俺に向けていた 

どちゃクソ可愛くて
心が折れそうになる 

今日こそは
胸につかえている蟠りを
ちゃんと言葉にして
伝えるんだと意気込んで
待ち合わせの30分前に
ここに来た



太陽が頭上にある昼下がり
今日の最高気温は体温より高い 

俺をすっかりとヘタレに凹ませて
生ぬるいペットボトルの
甘いコーヒーでは
喉の渇きを潤してはくれない


どうせ俺には似つかわしくない
余りにも可憐で美しく
可愛い過ぎる俺の彼女 

我が儘なのは仕方ない
気紛れなのもしょうがない
きっとずっと
ちやほやとされて
育って来たんだよね 

だって
君が天使に見える時があるくらいに
俺はイカれちまったんだ 

今だって
目の前に君が現れただけなのに
こんなにも
胸が張り裂けそうに
嬉しいんだ 

俺の彼女が
待ち合わせに現れた 

当たり前の様な
当たり前じゃないんだ 

君は美し過ぎて
こんな俺には
似つかわしくないんだ


だから
小石一つ一つに吐き出す様に
俺の言霊を落としたんだ

















キラキラと眩しい小石達
キョトンとした彼女の足元に
しっかりと届いた
最後のメッセージ

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