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青井永奈は、僕が初めて『尊敬』という感情を抱いた人間だ。

青井永奈は、僕が初めて「尊敬」という感情を抱いた人間だ。

 青井永奈。あおいえいな。エイナチャン。
 アクタボン総代表。ボスにして黒幕。

 縦横無尽の表現者。変幻自在のアーティスト。

 青井永奈のすごいところは、その人並み外れた行動力だ。

 僕が青井永奈と出会ったのは、いまから約二年ほど前のことだった。演劇とか表現のことなどなにも知らず、右も左もわかっていなかった僕の目に飛び込んできたのは、青井永奈のそれこそ右も左もないような活動プロフィールであった。

 まずTwitterを見て、すごい人だと思った。

 劇団以外にも、系統の違う複数の表現団体に所属・リーダーを務め。コンセプトカフェの店長も務め。その他振り付けや作詞など、創作方面でも活躍。

 そして実際に会って喋ってみて、僕の「なんかすごい」は、確実な『尊敬』のそれへと変わっていった。

「わたしは、やりたいと思ったことをしてるだけ。なりたいと思ったものになっただけ」

 かっこいいな、と思った。

 いま、僕がアクタボンワールドを展開するために無軌道でガムシャラな動き方ができているのも、ひとえに彼女のそんな姿勢に憧れたが故だ。

 エイナチャンに出会えていなかったら僕はまだ、机の前に座って一人、悶々と小説や脚本を書くだけ書いて、発表することに臆病で、行動することに億劫な口先番長のままだっただろう。

 作家になりたいんだから口先だけよければそれでええねん──そんなアホみたいなことを本気で考えていたあの頃の、ままだっただろう。


アクタボン キャラクターピックアップ公演『未知標奇跡 編』 【手繰】絡糸繰糸 character act

「演技は、生物! 芝居は嘘じゃないから」

 アクタボンを旗揚げし、一緒に舞台を創るようになってから、僕が抱いていた"尊敬"の心はそれから!たしかな"信頼"として僕のなかで大きくなっていった。

 表現者としての"嗅覚"。

 僕のイメージするキャラクター像を汲み取り、己の表現として新しい形へと変換する。

 そのスピードと正確性がすこぶる高い。

 ほしいところに、ほしい音をくれる。

 青井永奈は、僕が作った虚像に形を与えてくれる。フィクションを虚構として終わらせず、現実世界の「感動」に作り替えてくれる。

 嘘を、ほんとうにしてくれる。

 演劇というのは、表現というのは、物語というのは。そういうことだと思う。

 受け手のなかに眠る可能性──その時点ではまだそこに"あるかもしれない"というだけの、無かもしれないもの──を刺激する。

 そこに"ない"ものを、"ある"ものにする。

桃井 刹那(ももい せつな)
アクタボン第三回本公演『三者六様の虚偽』登場キャラクター

 舞台は、刹那的なものだ。

 そこに行かなくては観に行けないし、そこにたしかに存在していたはずの世界も、70分後にはどこにあるのかわからなくなってしまう。

 まさに"生き様が表現"なエイナチャンが舞台で今度はどんな感動を与えてくれるのか、楽しみだ。

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