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農家の「栽培の自由」を守る戦い<りんご無農薬裁判>②〜日本農業の実態を知る契機となった事件


札幌弁護士会所属、村松法律事務所所長 弁護士の村松弘康です。

前回の続きです。

「農法選択の自由」を勝ち得た、日本農業の革命的事件<りんご無農薬裁判>①〜「奇跡のりんご」を育てた木村秋則さんとの出会い


「奇跡のりんご」の木村秋則さんとは、この事件の証人に立っていただいたことが縁で、今に至っています。

裁判では、農家がいかなる農法を選択するかは原則自由であるという「農法選択の自由」を主張しました。この裁判は農家の方々の「栽培の自由」を守る戦いでした。

裁判は、農法選択の自由を認めたうえで、原告の農地と被告の農地との間に緩衝地帯を設ける形で結着しました。

この裁判で、野菜果物の栽培の過程で農薬・化学肥料にとどまらず、多くの化学合成農薬たとえば合成添加物、保存料、防虫剤、殺菌剤等多種多様な化学薬品が含まれている事実を知ることになったのです。

そのほか、農薬は防除暦によって管理され、病害虫の発生を予防するために、使用量、使用時期までこと細かに定められていること、りんご栽培に10回以上の農薬散布が行われていることなど、この裁判まで知らなかったことが沢山ありました。

単体の農業の毒性についてはデータがあるものの、農薬とこれらの化学物質が複合して皮膚に付着したり、吸入したり、口に入ったりすると人体にどのような悪影響を及ぼすことになるかはデータも少なく、多くは不明のままでした。

北海道余市郡仁木町で行われているHokkaido木村秋則自然栽培農学校の講義で、
仁木りんご農園で講義をする木村秋則さん①
北海道余市郡仁木町で行われているHokkaido木村秋則自然栽培農学校の講義で、
仁木りんご農園で講義をする木村秋則さん②

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