新卒採用の役割と成功条件の考え方
新卒採用担当者、あるいは新卒採用実施を検討している方はこのような悩みを抱えたことはないでしょうか。
私は新卒で採用配属されたうちの1人であり、このような悩みを抱えて業務をしていた時期もありました。
「新卒は文化を体現する人材だ」「新卒だからこそ経営を担えるポテンシャルを持っている」
このように最もらしい話を聞くことも多かったですが、果たして本当にそうなのか?とずっと腹落ちしていませんでした。
なぜこのようなことが起きるかという問いに対しては色々な視点があると思いますが、下記のことが代表的に要因として考えられると思います。
しかし、果たして、新卒採用では短期的な成功を定義することはできないのでしょうか?中途採用の成功は短期的な事業貢献のみなのでしょうか?
答えはnoだと思います。まずは新卒採用における成功の定義を考える上で、会社の経営者になったつもりで、事業成長における役割考えてみたいと思います。
事業成長における新卒採用の役割
①未来の競争優位性を低コストで築くことができる
会社がマーケットで競争力を保つためには、優秀な人材の調達と、最大限力を引き出す環境を整備する、辞めない環境を作ることが重要です。
となるとその入口である人材調達に各企業は予算、人的コストなどあらゆるものを投入します。数年前から日本の雇用の流動性は市場構造の変化やダイレクトリクルーティングの台頭によって、徐々にその傾向は推進されてきました。
新卒採用の場合、ある程度同じ時期に大多数の候補者が就職活動を始める大きな流れがあるため、そういった人材に接触し採用できる可能性が相対的に上がります。
経験やスキルを持ち合わせており、高年収を提示しないと採用できない人材を、タイミングが新卒というだけで採用することができるのです。
それは、中長期の視点で考えたときに、中途採用では実現できない企業の未来の競争優位性を実現できるだけでなく、コストの観点でも割安に採用ができるのです。
②育成機会を通じて採用対象拡大やマネジメント層の発掘を実現できる
人材調達の次は、彼らが活躍できる環境を構築することが重要だとお伝えしました。そこで、新卒採用をすることがどのように事業成長に寄与するのかについて考えてみたいと思います。
経験やスキルがない(経験はないがスキルはある)方を受け入れると、スキル開発や挑戦機会を提供する必要があります。それらを通じて個のスキルを伸ばし、自律的にチームに貢献する人材を育てていきます。
このスキル開発や挑戦機会の提供モデルを考えること、モニタリングすること、改善し続けることのサイクルを回すことが事業成長と結びつくと考え値ます。
中途採用だと考えることがなかった(背景:スキルと経験をベースに採用するため期待値が異なる)育成や機会提供のモデルを構築することで、1つの受け入れ〜即戦力化の型を作ることができます。
その型によって経験の浅い第二新卒を受け入れが実施できる可能性が広がります。あるいは育成機会をメンバーに任せることで、擬似的なマネジメント経験を積むことができます。
③現場を採用に巻き込むことで帰属意識を醸成し離職率を下げる
採用は採用担当だけで完結するのではなく、常に現場のメンバーを巻き込む必要があります。採用活動にあらゆる人を巻き込むことに事業上のメリットがあります。
採用はフロント、つまり企業の顔になる部分なので、会社の中の誰でも協力を依頼して良いというわけにはいきません。
特に学生の候補者は職務経験がない方が多く、彼らの背景に想像力を膨らませながらロールモデルになり得る人材をアサイメントする必要があります。
◯新卒採用の価値まとめ
事業成長や組織運営の観点から、新卒採用がもたらす価値についての事例を3つあげました。
これはあくまで個人的な意見、かつ少ない切り口や時間軸から考えた回答ですが、それだけでも採用活動を通じて短期的にも長期的にも経営に大きなインパクトを与えていると実感することができるのではないでしょうか?
採用担当としてヘッドカウントを揃えることは重要ですが、その観点だけで新卒採用の価値を定義する必要はなく、より広いスコープで新卒採用を捉えることが重要だと思います。
新卒採用で外せないリスクの側面
成功や価値を考える上で、良い面もあればリスクの面も必ず存在します。今回はそこについても少し触れたいと思います。
投資回収コストに時間を要する
業界規模にもよるが一般的な企業だと3年前後、商社などの企業だと10年程度時間を要する可能性が高いことが考えられます。
こちらのツイートが非常に参考になり、P/Lで自身のコストがどう支払われ、どう回収されるかを考える視点をもつのは重要です。
また、個人ではなく新卒入社年度の全体として投資回収コストを考える方法もあります。成功や価値を定義するうえでは、このコスト回収にどれだけ、どのように耐えれば◯なのかをチームとして定義しておく必要があります。
一方で下記のように、業界の特性やトッププレイヤーの出現など、投資回収期間が短いケースもあります。
このような場合では、比較的中途採用に似たケースかつ特殊解ではありますが、そういった新卒採用が事業上理に適っており◯だ、と定義すれば、そのように捉えることもできます。
新卒採用の成功をどのように決めるか
新卒採用の成功を考える具体例
新卒採用は短期のヘッドカウント充足、あるいは長期の活躍タイミングなどいろんな捉え方ができます。
短期と長期の時間軸、定量的な目標設定+OKRなど状態を定義するような定性的な目標を設定するのも選択肢としてありだと思います。
また場合によっては、関係するステークホルダーや影響範囲をどこまで広げるか?という視点で考えるのも良いと思います。
管理できる影響範囲に成功条件は留める
育成やマネージャー昇進率などは一見良さそうに見えて、採用後には採用チームがコントロールできない変数も数多くあります。そのため事業責任者や経営メンバーが設定する目標としては良いと思いますが、採用チーム視点だと難しいでしょう。
本当にそれは採用チームが関与したから達成されたのか?という問いに答えづらいと思います。
そのため、あくまで自身のチームの行動がどの成果にどれくらい結びつくのか影響範囲を定義しておき、そこに合わせた目標設定とアクションプランを設計するのが良いでしょう。