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10年前のあの日、あの頃

2014年の11月に神戸で結婚式を挙げた。
夫と結婚して、もう10年になるのだなと改めて思う。
両親はそれこそ結婚してほぼ40年(!)になるわけだし、義両親にいたっては50年(!)もの年月を共に過ごしてきたわけで。
恐らくこの先、40年、50年と一緒にいるのか…そっか…と、リビングのソファででろーんと溶けている日焼けした夫に視線を向ける。
自分も夫もそれまで元気に生きていたいな、なんて思いながら。

10年史みたいに過去を1年ごとにまとめてみたい気もしているけれど、10年前ということばから思い出す光景を書いてみる。

まず、10年前の6月末に結婚式場を決めた。決断をした当時のシーン。
どうしたらこんな香りが?と不思議になるほどにいい匂いのする打ち合わせスペースで、どう頑張ってもこんなににこやかには微笑めないな、と圧倒されるほどに笑みを浮かべたプランナーさんから、夢のような華やかな説明を聞き、気づいたら契約していた。
いくつか式場を見学に行こうと計画していたのに、日取り的にも値引き率的にもこのチャンスを逃すと他はないのでは…ここよりいい式場なんてないだろう…こうして夫と私はブライダルドリームに魅せられたのだった。
実際、本当にいい式場だったので何も文句はありません。

そこまではよかったのだけれど、結婚式には当然、準備があって、それも山ほどあって、6月末に契約をしたので当日まで4ヶ月半しかないという現実にすぐ直面することとなった。
毎週のようにドレス選びや打ち合わせに土日を費やし、決めることも多くて、お互い働いている中での短期間での準備はそれはそれは慌ただしいものだった。
さらに今となってはそこにお金をかけてもよかったのでは?と思うが、招待状の宛名をすべて手書きした。
他のオプションは「一生に一度やし…」で追加するのになぜそこだけ惜しんだのだろう。
字がきれいなわけでもないのに。
1年以上前から準備するカップルもいるので、今思うと本当にめまぐるしかった。10年も経てば、当時の苦労なんてかすんでしまっているけれど。

10年前の今頃を振り返ると、そんなドタバタとした毎日と、神戸・元町に住んでいたので、仕事帰りにすぐ飲みに行けるパラダイスのような日々とが混ざり合って、なんだかきらきらしている。

結婚式自体は、いまだに恥ずかしくなる苦い場面もあったものの、さすがに10年も経てばそれすらも薄らいでいる。
前日に招待状刷り直し事件、お色直し中に喧嘩、気まずい余興など。他にもいろいろ。
ただ、両親がいい結婚式だったと今も言ってくれるので、それでいいかと思っているし、全体を通してみれば、一生に一度の大切な時間だったことは間違いない。
あのときの苦さもひっくるめて、いつまでも大事にしたい思い出。

自分たちのためにたくさんの人が集まってくれて、祝福してくれる。
そのことに改めて感謝の気持ちがあふれる。
時間を割いてくれたことに対しての感謝もそうだし、自分とこうして関わってくれていることへの感謝もそう。
10年も経てば人それぞれ別な道を選ぶこともあって、招待客の中には、ほとんど連絡を取らなくなった友人や、今どこで何をしているのかもわからない同僚だっている。
それでも、10年前のあの頃には親しくしてくれていたり、会社で助け合いながら働いていたりした人たち。
そして、家族。
父方の祖母や大叔母、夫の祖母はもうこの世にはいなくて、写真でその微笑む姿に会えるだけ。

10年前をふんわり思い出していたら、思いがけず人と人とのつながりや縁を思い返す結果になって、いろんな事情で離れてしまった人へはどこかで元気にしてくれていたらいいなという思い、今でも親しくしてくれている人には、いつもありがとうの気持ちが湧いた。

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