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【うらがみむらかみ往復書簡】7通目 | むらかみ

うらがみさんへ

往復書簡を続けてくださって、ありがとうございます。
郵便で送る手紙はまったくと言っていいほど書かなくなり、LINEでも、こんなふうに長い文章を書くことってなかなかないので、この往復書簡はわたしにとって特別なものになっています。

最近、森博嗣さんの「諦めの価値」という新書を読みました。
森博嗣さんは数えきれないほどの著書があり、小説もとても好きなのですが、エッセイや新書を通して感じる森博嗣さんらしさにも虜になっています。
その本の中に、夢の本質の話がありました。
例えば、「豪邸に住みたい」「あのカバンがほしい」という夢の本質はなんなのか。
誰かにすごいと言われたいから、うらやましがられたいから、だとしたら、他のことでも代替できるよね、という話で。
自分の夢の本質ってなんなのだろうなぁ、と考えました。
わたしは自分の興味がある世界を体験してみたい気持ちが強いかもしれません。
なんでもかんでも体験したいのではなく、たとえば、絵を展示するのってどんな気持ちになるのだろう、と思ったからこそ、ギャラリーの企画展に参加するなど。
びびっときたらすぐ行動する性格なので、こうしてうらがみさんの往復書簡しませんか?のnoteにもすぐコメントをしたわけなのですが、これも往復書簡をしたときにどんな気持ちになるんだろう、という好奇心がわたしを動かしたように思います。

<ラプソディ・イン・ブルー>と、うらがみさんのエピソードから、過去のうらがみさんが知れて、嬉しいです。
バーンスタインさんのあの熱演の過程には、やはりぶつかりあいがあったのですね。
わたしは当時のうらがみさんがいろんな本や映像を見て、心を動かしていたそのことを想像して、まぶしい気持ちがしました。
社会人になると、仕事にもよるかもしれませんが、特にわたしのしている仕事は短い時間でひとつひとつを完成させることが求められていて。
じっくり調べたり、思考したりすることがなかなかできず、もっとこうなればいいのにと思いながらも、仕事が終われば別なことに気を取られてします。
当時のうらがみさんは大変な思いもされたことと想像しますが、大きなテーマに向かって試行錯誤を繰り返し、学生として忙しい日々の中で調べたことを練り上げて完成させたのだと思うと、そこにも憧れのような気持ちを抱きました。

『やわらかなレタス』読んでくださって、ありがとうございます!
少しでもうらがみさんの中にあたらしい世界をお届けできたのかもと思うと、ほっこりします。そして、すてきな文章を書いてくださった江國香織さんに感謝です。
エッセイって日常を切り取るので、小説より遥かに著者さんの人柄が浮き彫りになっておもしろいですよね。
うらがみさんが感じた江國さんの表現、まさにそうだと思います。
そんなところに目を向けるんだ、という視点と、それを他者が読んで想像を広げられるような文章と。江國香織さんの初期のエッセイでもやっぱり、受け取る空気感はおなじで、それが江國香織さんらしさであり、私が惹かれるところです。

わたしが家族以外で日常でもっとも会話をするのは会社の同僚や部下ですが、仕事での会話はもちろん主に仕事をどうしていくかということですし、ランチに行ったり飲みに行ったりしても、表面上の会話が多い気はします。
わたしが知らない、そしてこの先と知ることのないかもしれない面が、この人にもたくさんあるんだろうなぁ、と思うと苦手なタイプの人のことも少し受け入れられる気がします。
(かといって、すぐに好きにはなれないですが)
そして、そんな日々近くにいる同僚には話すことがないだろうことを、うらがみさんにはたくさん話せていて、冒頭で書いた好奇心からお声がけしたこの往復書簡が大切なものに変わっていく様子に、踏み出せてよかったという気持ちとご縁を感じています。
だれかと会話をするのは、細かなキャッチボールになるので、すぐに相づち、意見を発するのとが必要になる。
それはそれで楽しかったり、学びがあったりしますが、文章だとどんなことを伝えよう、どう返そうと自分の中でじっくり考えられるところがいいなと思います。
新たな気づきがあったときもゆっくりとそれを言語化できる。
スピード感を持って、友達とテンポよく話すのも好きですが、それとは違う特別さがこの往復書簡にはあります。

ふと思った質問を投げかけてみます。
うらがみさんはnoteでこんなことを書きたい、と思うのはどんなときですか?どんな時間にnoteを書きますか?

今日は大阪は雨です。
息子はもうすぐ夏休み。持ち帰った朝顔が毎日咲いています。

むらかみより

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