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「失われた20年」を科学する(1)

皆さん、こんにちは!けんたろと申します!
数学とファイナンスがとても得意で、良く講義などさせていただくのですが、
今回は、NEWSでも見かける機会が増えてきたMMT(現代貨幣理論)をテーマに、資料作成してみましたので、note投稿いたします!

今回(1)のパートでは現国家財政戦略に少しフォーカスを当ててカキカキしてみます。(2)以降のパートで本編へ入っていきますので、是非各パートお目通しいただけると嬉しいです^^


さて、本題に戻りますが、
バブル崩壊後の1990年代から、日本経済は成長できず、失われた20年(もしくは30年)として揶揄されております。
日銀の金融施策(マネタリーベースの増加策、金融緩和)も十分な結果が得られておらず、何か今我々が信じている経済のルールに見落としがあったのではないか、というほど、各施策が暖簾に腕押しな状況が続いているように見受けられます。

そして、そんな国家財政に対して一石を投じる新たな、金融理論として注目を集めているのが、MMTです。
今回はシリーズでMMTに関してまとめてみましたので、是非お付き合いいただけると幸いです^^

はじめに

スライド2

日本のGDPの過去60年程度の推移を見てみると、1990年代後半まで右肩上がりだったのに、急激に平らになっていることがわかります。
これが、今巷で言われている「失われた20年」という、経済停滞です。

この失われた20年について、
日本企業は、意思決定が悪い/生産性が低い/市場が老化し停滞しているとか、いろいろ語られるんですが、
もっとマクロな国家財政から見てみると、また違う見え方も出てくるんですよね。

MMTの細かな解説の前にまず現状の国家経済状況を振り返ってみます

スライド3

経済停滞でよくよく語られる論点について3つほどまとめてみました。

日本は、政府債務残高(=国の借金)がとても高く、対GDP比で見たときに、2010年に財政破綻をしたギリシャよりも高い数字になっています。
また、世界の時価総額ランキングでは、今から60年前、トップ20は半分以上も日本企業がランクインしていたのに、今では端にも棒にも触れずな状況です。
さらに、中国共産党のような、強引な政治体制でもなければ、十分な民主主義が行われているわけでもなく、政治の機能不全も課題視される声もでてきております。

そして、それら課題について多々施策は講じられるも一向に経済が上向いてこないのが現日本の現状かなと思います。

例えば、前提については端折りますが、現在日本ではプライマリーバランスの黒字化を目指す国家財政の健全化や、そもそも対外収支である計上収支は黒字、また政府と金融の一体となった戦略も安倍-黒田日銀総裁政権後加速している状況です。

このような状況にも関わらず、失われた20年は一向に取り戻せる兆しが見えておらず、
国家財務戦略そもそも疑ってみる必要性があるのではないかという状況です。

スライド4

ここで少し余談ですが、プライマリーバランスってなんだ?という方向けにこちらの資料張り付けておきます。
19年度末で、日本は国・地方公共団体で1122兆円の借金があるようです(データの算出元によって数字が若干異なるのですが、そこはご愛敬でw)。
その利子支払いや、行政サービスを提供するための政策的経費による歳出が、税金等から得られる歳入を上回り、毎年新たな借金を繰り返す財務状況であると、財務省のHPにも記載されております。
そして、それらを均等なバランス(もしくは歳入>歳出にする)にするというのがプライマリーバランスの黒字化という政策です。

財務省のHPを覗くと家計費に置き換えて丁寧に説明してくれる文言も並んでいるので、
是非そちら見ていただけると僕がここでたらたら書くよりもわかりやすいかもですかねw

スライド5

国の借金の金額が大変大きく、毎年借りなおししながら財政やりくりをしているという財務省説明について触れましたが、

一方、日本国の借金である国債のうち長期国債はだれが保有しているのか、
日銀HPからデータを見てみると、約9割は国内からの拠出になっており、海外からの保有割合は7.8%のみであることもわかります。
(ただし投資信託などにも国債は混ざって海外にも売られているので、実際はもう少し海外保有比率は上がる想定です)
さらに、これらすべての国債は「日本円」建てだというのもわかります。
この状況は後編でまた触れますが、もし借金が返せないような状況になっても国家は円を刷ればいくらでも返せる状況なんですよね。
借金が多くても卑下することない状況なのかなと思います。

前置き:現財務戦略は確からしい戦略か

スライド6

とここまで、日本の財政状況についておさらいしました。
冒頭で触れた、プライマリーバランス黒字化の戦略について、一見すると合理的に見えるのですが、本当に合理性のある戦略なんでしょうか。

資料のグラフを見ていただければと思うんですが、
こちら、OECD加盟国の経済成長と財務支出に関するグラフを調べたデータになります。
財政支出の伸び率(=政府支出)と経済成長率にR^2が0.9を超える大変強い相関があることがわかります。
そして、日本ははるか右下にポツンと置き去りになっている状況です。

ん?つまり??
「プライマリーバランスの黒字化=財政支出を引き下げ、財政収入を引き上げる」なんて言っている場合なのか?


「経済成長をしているから、財政支出を伸ばせる」という主張もありそうですが、
「財政支出を伸ばさなかった結果、経済成長が滞った」ともいえるデータでもあるので、これらの論点については、後半パートできちんと回収していきます。

ただ、このデータを見る限り、

財政支出を増やさねば!!!
と強く思わせられますよね...

スライド7

では、国家はどのように財政支出を増やせるのか

もちろん支出を増やすということは、プライマリーバランスの黒字化が遠のくことや、税の収入を増加させないといけないのではないかと感じるのが一般的なリアクションなのかなと思います。
そして、増税を掲げる政治は大きく国民支持を落とすことになるので、
ここまでの論法のみで財政戦略を考えると、政治家視点では打つ手なしの詰みの状況に感じるのではないかなと思います。

でも違うんです。
ここからがMMTの面白いお話になってきますので、続編パートまでお付き合いくださいませ!

スライド8


(パート2へ続く)



けんたろ

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