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目でみるコーチングマネジメント

コーチングを取り上げたきっかけ

 先日、他の保険医療機関の先輩から「コーチングの講師を紹介してほしい」と連絡を受けました。コーチングは組織のパフォーマンスを高める上でも注目されていますが、われわれリハ専門職にとっては、対象者の自律を支援する上で有効な手段であると私は考えています。つまり、対象者に対する「○○指導」という高圧的なものは論外ですが、「○○教育」よりもむしろ「コーチング」こそが対象者の自律支援に有効であると考えています。
 そこで今回は、はじめてコーチングという言葉を耳にする方にも視覚的にコーチングの外観をイメージしていただけたらと考え、noteを開きました。

コーチングとティーチングの違い

 コーチングとティーチングの違いについては、過去にnoteに整理しました。コーチングとティーチングのどちらが優れているかということではなく、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、適応を見極めて選択することが求められるというものでした。

コーチングマネジメントの外観

 コーチングマネジメントの外観を図に示すと、以下のようになります。

スライド6

 図の中央には、コーチとクライアント(コーチングを受ける方)が並んでおり、両者の間には双方向的なコミュニケーションがあります。コーチはクライアントに対して質の高い問い(複数の視点をもたらす問いや、広い視野を持ち込む問い等)を行い、これに対してクライアントは自身の認識を言語化する中で気づきを得ます。しかし、この両者の双方向的なコミュニケーションの土台には心理的安全性が担保されている必要があります。
 こうしたコーチとクライアントのコミュニケーションを介したコーチングは、何もない状態からアイデアを具体化する過程や、具体化したアイデアを行動に結びつける過程、そして目標達成までの過程において求められます。特に、具体化したアイデアを行動に結びつける過程では、何もない状態からアイデアを具体化する過程よりもコミュニケーションの量が必要となります。また、目標達成までの過程では、クライアントが行動を続けるためにリマインドすることが求められるのです。

コーチの役目

 コーチの役目は、コーチング・フローをつくることです。コーチング・フローとは、現状と望ましい状態を明確化し、それらのギャップの理由と背景を発見した上で、目標達成に繋げるための具体的な行動計画を立案して行動のフォローと振り返りを行うことを指します。

スライド7

コーチングの要諦

 コーチングの肝は、コーチングマネジメントの外観図で示したように、コーチとクライアントの双方向的なコミュニケーションであると私は理解しています。
 伊藤(2009)は、コーチングのイメージについて「コーチとクライアントが同じキャンバスに向かって座り、コーチは、クライアントが未来に向けてビジョンを描くのを手伝う、というのがコーチングのイメージ」と述べています。そのためのコミュニケーションスキルの一つとして、クリエイティブ・リスニングがあります。

クリエイティブ・リスニングの10のポイント

 最後に、クリエイティブ・リスニングの10のポイントを以下に箇条書きしてnoteを閉じます。
 ① 時間をとる。
 ② 相手を尊重する。
 ③ 話しやすい環境をつくる。
 ④ さえぎらずに最後まで聞く。
 ⑤ 判断しない。
 ⑥ 自分が理解しているかどうか、時々確認する。
 ⑦ 客観的になる。
 ⑧ 肯定的なノンバーバル・メッセージを出す。
 ⑨ 沈黙を大切にする。
 ⑩ コミットメントする。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(参考)伊藤守(2009)「コーチング・マネジメント」株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

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