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農業を行う村人A

〜コンセプト〜

僕たちは〈せかいのひみつ〉に向けて取材を行っています。
世界には、まだ見つかっていないモノがある。誰もまだ伝えていない、〈せかいのひみつ〉=unofficialなコトがある。これをこっそり伝える村人Aが、どこかにいる。なんとなく話しかければ、偶然の出会いが、〈ぼうけん〉=日常生活をちょっと豊かにする。僕たちは「村人Aのいる世界」を作りたい。そんな願いで、情報を発信するメディアです。
第1回の〈せかいのひみつ〉=unofficialなコトは、「地域がつながるシステム」について。鎌倉で農業をしている徳永さんからお話を伺ってきました。

〜プロフィール〜

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徳永亮介さん 高校、大学とアメフトに打ち込む。その後、一般企業に就職するも数カ月で退社。農業への思いから、ワーホリ(日本ワーキング・ホリデー協会)を利用し、海外のオーガニックファームで農業の勉強を行う。日本に帰国後知人が立ち上げた会社(株式会社グローバルフィールド)に就職。湘南を舞台にゲストハウス、結婚相談所を立ち上げる。現在は新規事業として農業に挑戦中。

ゲストハウスホームページ→http://www.glofie.com/tokiwa/
徳永さんのInstagram→https://www.instagram.com/ryosuke_tokunaga/

Q 湘南の一番好きな場所はどこですか?
徳永さん 自分の宿が一番好きですね。知り合いや友達にも自信を持ってまず紹介します。湘南といったら海みたいなイメージがありますが、地元の人にもこんなおばぁちゃんの家みたいなところあるんだっていうのも知ってもらいたいです。僕自身、ここにくると癒されます。
ーーどのようなところにおばぁちゃんの家感を演出したんですか?
徳永さん ドラマとか漫画に出てくるおばぁちゃんの家をイメージして作りました。
例えば、縁側に蚊取り線香置いたり、庭を日本庭園風にしたりしておばぁちゃんの家のような空気感をめざしました。

Q 何故結婚相談所についてやろうと思ったのですか?
徳永さん ここの宿をまだゲストハウスとして運営していたころに岐阜から来た40代の方がいらしたのですが、その方が岐阜で婚活パーティーを主催している人だったんです。その方と話をするうちに、私も人と話をするのが好きなので、人と人が仲良くなる場を作りたいと思うようになり、まずは婚活パーティーを五回ほどやってみたのがはじまりです。また婚活パーティーだとその後の進展がどうなったかとかの報告が来なかったりして、結果がどうなったかまで知りたかったので結婚相談所を立ち上げました。他には結婚相談所は「グイグイ行きなさいよあんた」というようなことを言ってくるおせっかいおばさんみたいな人が多いので、その代わりにロン毛の若いにぃちゃんがやってるという点で他の結婚相談所との違いを作りました。

Q 何故農業を始めようと思ったのですか?
徳永さん 「将来何がなくならないか」を考えた時にやっぱり食べ物を作ることは無くならないと思ったからです。将来3Dプリンターとかで食べ物を作れる時代が来るかもしれませんが、それは人の手が加わってないからただの食べるだけのものになりかねないですよね。でも土から作ったものには人の温もりというか愛情が加わっていてそれが将来きっと必要になると思ったんですよね。


Q 農業を初めて思う、予めやっておいたほうが良かったことなど教えてください

徳永さん 学生時代に化学をやっておいた方が良かったと思いました。今土作りをしているのですが、酸性とアルカリ性を示すphについても勉強しなおしています。

Q農業に参入するときの大変さを教えてください
基本的に農地探し・就農というのは、研修地で農業のいろはを教えてくれた人がその地域の土地を斡旋するというのが一般的です。僕は横須賀で研修してそのノウハウを活かして藤沢で就農したのですが、横須賀の師匠は、藤沢に農地のコネなどがなかったので、藤沢市の農水科や農業委員会にアプローチしました。そこでは畑がリストアップされていて、めぼしい場所があれば農業委員会を通して地権者に聞いてもらうことが出来ます。ただ、空きの農地はたくさんあっても、問い合わせをしてもらうと「すいません。貸せません」と20件近くも断られました。詳しい理由は教えていただけませんでしたが、多分、よそ者の新規参入者に貸したくかったというのが本音だったのだと思います。それでも諦めずに探していると、半年ぐらいが過ぎたころに、ゲストハウスで知り合った方を通じて、農家の方と実際にお話しする機会を得ました。残念ながらその方から農地を借りることは出来ませんでしたが、農業委員会を攻略するコツみたいなのを教えて頂きました。そのコツを実践してみると、数日後に農業委員会さんから「いい土地見つかりましたよ」という報告が来て、契約に至ることが出来ました。やっぱり土地を探して手にいれるのがなんだかんだ大変でしたね。

Q 会社を辞めて事業を始めることに周囲からの反対などありませんでしたか?
徳永さん 意外と僕の両親は「あなたは止めてもやるでしょ」って感じで諦めというか理解があったのでそこまで大変じゃなかったんだけどやっぱり残念がってたといか悲しみはしましたね。

A 徳永さんの〈せかいのひみつ〉=unofficial

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徳永さんが事業を行う際に最も大切にされていることは、人と人とを繋ぐ心の「コミュニケーション」です。多くの場合、ビジネスでは利益を求めることを信条にするため、肝心な中身が見失われがちです。例えば、農業では、同一規格の野菜をブランドとして売ることによって形がいびつな野菜は破棄され、結婚相談所では、結婚することだけがゴールとなり人を学歴などのレテッルでしか判断されなくなります。
今回の取材を通し、徳永さんはここで失われてしまう本当に大切な中身の部分を「コミュニケーション」によって取り戻していきたい方なのだと思いました。
徳永さんのすべてのビジネスには「コミュニケーション」が共通点として込められています。年齢や性別様々な人が訪れるゲストハウス。ロン毛の若いにぃちゃんがきさくに、そして丁寧に話を聞く結婚相談所。多くの人が関わり合うことによってできる有機野菜。
これらの事業では、常に人と人との触れ合い、「コミュニケーション」が信条として存在します。
事業を行う上でナンバー1になる必要はない、既にあるサービスの真似でも良いからコミュニケーションの場を作ることが大切なのだというメッセージを、僕たちはインタビューを通して徳永さんから何度もいただきました。
場に地元の人が集まり、そこからまた多くの人が繋がり、新たな関係性が生まれる。この関係性にこそ、本当の価値観、人が生きてく上で大切にすべき、中身の部分があるのでしょう。
徳永さんは日々、全てのサービスに携わられています。誰かに完全に任せてしまうのではなく、自分自身もまたそのコミュニケーションの一部として役割を果たしていきたい、そんな思いが行動に現れています。
これを読む読者の皆さんも是非一度、徳永さんのこの繋がりに参加し、新たな価値創造を感じていただければと思います。

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〇村人たちの対話

生徒A
近頃、江ノ島の海などのスポットは、「青春」感満載なおしゃれスポットとして有名です。今回取材をお受け頂いた徳永さんのゲストハウスは、単なる湘南の宿泊施設に留まらず、出会いの場としの機能も備えています。とても面白い発想だと僕は感じました。利益だけを求める企業であれば、江ノ島の映えスポット近くに安く物件を借り、そこで流行りのものやサービスを提供するだけで終わるはずです。しかし徳永さんはゲストハウスという既存のビジネスを行うだけでなく、出会いの要素や湘南の魅力をうまく融合させた新しいサービスを生み出すことで、レッドオーシャン化した場を逸らしています。新しいビジネスの生み出し方を徳永さんから学ぶことが出来ました。

生徒B
今回、農業への新規参入者のハードルの高さの原因が分かり、国の政策が抱える問題点を理解することできました。例えば、国が新規就農者向けの助成金を出しているものの機材や農地を整備するには十分な額ではないことや、地主が新規就農者に土地を貸すことへの抵抗感を払拭するための制度が機能していないことがわかりました。
また、初めての「取材」だったので、所々緊張してしまったり、咄嗟の対処に詰まったりしてしまいました。今後は、対話を前提とした台本や、テーマに対する自分なりの考えを作ってから取材に臨みたいと思いました。


生徒C
徳永さんが行う農業、ゲストハウス、結婚相談所といった事業が根底で全て繋がっていることが分かりました。これらのビジネスでは、人との結びつき、地域の結びつき、信頼といったものを徳永さんは大切にしています。徳永さんの話を伺い、自分がやりたいことを実現していく際に、根幹になる「思い」を見つけ出す必要があることを知りました。今後、自身の個人研究を進めていくうえでも、また人生を歩んでいくうえでも、今回学んだことを肝に銘じたいと思います。


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