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パソコン叩く手を止めて、耳をすませば

女声合唱による童謡と影絵とのコラボが、
よく晴れた日曜日のお昼に、
なんとも心地よかった。

タグラグビーボランティア仲間のアズサさんが「アートパフォーマー」として合唱グループ「アンサンブル・ルシエル」とコラボする、というので、
会場の市民ホール・TETTOに出かけていった。

14:00 ルシエルの合唱が始まった。
ホールのオープンなスペースでの開催だったので、
劇場的な座り方ではなく、
ベンチに座っている人たちもいて、
その中には友だちのイズケンちゃんもむすめさんといたりして、
「どうも」と挨拶をして、わたしは丸テーブルに着席した。

女性の合唱ではなく、女声合唱なのね、
とそんなことに初めて気が付いて呆れたりして、
いやでも「女声合唱」という字面には見覚えがあり、
だとしたらいままで「見てたけど見えてなかった」んだと、
さらに呆れたりしていた。

スマホがブルブルっと震えて通知があった。
見れば、仕事のメッセージだ。
ちょうどこのコンサートが終わったら仕事するつもりだったので、
持ってきていたPCを開けて、歌声を聴きながら、作業に取り掛かった。

これが実にすばらしく、きれいな合唱のBGMありの仕事。
歌っているみなさんには大変申し訳ないですけれども、
仕事のパフォーマンスは最高に上がった。

そんなこんなで、アズサさんの出番になった。
アズサさんにはなにかのマルシェだとかAEONでばったり会ったことはあるけど、
ホントはなにをやっているのか知らないボランティア仲間で、
「アートパフォーマー」だったのかと、そのとき初めて知った。

アズサさんの出し物は、童謡の合唱に影絵を合わせたものだった。
「夕日」「雨降りお月さん」「揺籃のうた」「シャボン玉」「かなりや」「みかんの花咲く丘」

影絵に見入ってしまった。
ちょっと色がついた背景に、モノトーンの影が動く。
ソプラノ、メゾソプラノ、アルトの歌声、生のピアノ。

「シャボン玉」は、生まれてきたおさな子が、
育たないうちに亡くなった悲しみの歌。
シャボン玉は生まれてすぐに、こわれて消えた。

「みかんの花咲く丘」は戦争で兵隊にいったお父さんだけではなく、
お母さんまで亡くなって、家族で遊びにきてたころを懐かしむ歌。
いまも一人で来てみると、やさしい母さんが。

貧困とか格差とかなくさないといかんなあ、と。
戦争はしちゃいかんなあ、と。
「戦争は一人でも始められるけど誰も止められない」という言葉もある。
そういえば、釜石は艦砲射撃を2回も受けた町でもある……。

いかにいます父母。
恙無きや友垣。

影絵を見ながら、心地よさを感じる一方で、
ノスタルジックにそんなことを考えていた。