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ローカルな地域の課題は、ビジネスのタネであるってことはわかっているんだけど、それをどう実行するか

昨日の大隈塾のゲスト講師は、小高ワーカーズベースの和田智行さんだった。
小高ワーカーズベースは福島県南相馬市小高区にあって、
2016年7月までは原発事故避難指示区域だった。

和田さんは、「課題=ビジネスのタネ」と考える。
だから、
地域の100の課題から、100のビジネスを創り出す
をスローガンにしている。

避難指示区域といっても小高は、住民全員避難の立入禁止から、
やがて住むのは禁止だけど、昼間の出入りは自由になった。
復興工事のために働く人たちが5000人もいたが、
あたたかい食事を提供する飲食店がなかった。
ので、2014年12月に「おだかのひるごはん」をオープンさせた。
家庭料理の店で、地元のおばちゃんたちが働いた。
おばちゃんたちは、飲食店で働いたことはなかったが、
料理をつくったり、おしゃべりすることは得意だった。

お店は案の定大盛況になったが、
あに図らんやもあって、
それは地元の人たちがたくさん来たことだった。
避難先からわざわざ、おだかのひるごはんでごはんを食べに来た。

地元の人たちが日中だけでも戻ってくるようになると、
コミュニティが再生するようになる。
まったくもとのコミュニティが復活するということではなく、
そこには新しい何かがプラスされたコミュニティになる。

そうすると、小高では仕事ができない、住むこともない、
と思っていた人たちが、帰ってくるようになり、
もともとのお店が復活、営業再開するようになる。

おだかのひるごはんは、ラーメン屋を居抜きで借りて営業していて、
そのラーメン屋が店を返せといってきた。
和田さんは、求めに応じた。
おだかのひるごはんは、惜しまれながら店を閉じた。

別の場所に移転すればいいじゃないか、といわれたが、
和田さんはそうしなかった。
「あたたかい料理を食べる場所がない」というのが課題であり、
その課題を解決するためにおだかのひるごはんを開いた。
そこにラーメン屋が復活するのであれば、
すでに課題は解決している。
つぎの課題に取り組むべきだと考えたのだった。

ほかにも、シェアオフィスをつくって働く場所をつくり、
仮設のスーパーをたてて、買い物をする場所をつくった。

ないものはつくる。
ないものをもらえるようにお願いする、ではなく、
ないものは自分たちでつくる。

食べる、働く、買い物をする、という生活するに最低限のことができるようになったら、
つぎは生きがいとか、もっと仕事を生み出せるようにするフェーズに入った。

東京のガラスメーカーと組んで、
ランプをつくる工房をつくった。
東京のメーカーは、職人が足らずに悩んでいた。
小高はちょっとした時間で働ける仕事が欲しかった。
しかも、どうせ働くならおしゃれなことをやりたい。

これも、お互いにいいところを出し合って、
地元の女性たちだけではなく、
この工房で働きたい、と目指してくる若者が来るようになった。

自分が満足する、人に誇れる仕事ができるフェーズ②が終わった。
いまは、事業を起こしている人たちのコミュニティをつくるフェーズ③にはいっている。

まるで、マズローの欲求段階説だ。
生理的欲求→安全の欲求→社会的欲求→承認の欲求→自己実現欲求

食べるもの必要なものをそろえるフェーズ①は生理的欲求、
安全に働ける仕事、暮らせる場所が手に入るフェーズ②は安全の欲求、
そのコミュニティをつくっていくフェーズ③は、社会的欲求。

東日本大震災の被災地のなかで、
福島は独自の悩みを抱えている。
激しい揺れと津波に寄る破壊とともに、
原発事故による被害がある。
風評被害も、大いにある。

小高区という避難指示区域で、なぜ和田さんは、
つぎつぎとビジネスを成功させているのだろうか。

(つづくwww)