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だから「いただきます」

田んぼの草取りをした。

秋田に小さな田んぼを借りて、
毎年大隈塾の学生たちとコメをつくっている。

今年は新コロで動けない。
なので、地元の友人に頼んで田植えをしてもらい(5月)、
最初の草取りもしてもらって(6月)、
ようやく昨日、やってきた。
田んぼのオーナーのやり方は、
無農薬、どころか、耕しもしない。
だから、ちゃんとマメに田んぼに通って手入れをすれば、稲はすくすくと育ってくれるが、
大概にやってると、稲より生命力のある草が、
どんどこどんどこ根を張って、
田んぼの栄養を吸い上げて稲に渡さず、
あはれ稲はか細く小さくなってしまう。

膝まである長靴で田んぼに入り、
腰をかがめ頭を下げ、
両方の手を突っ込んで草を抜き、
稲と稲の間をかきまわし、
稲の周りをかきむしってやる。

こうして、ほかの生命体を取り除いてあげて、
土からの養分を稲が独り占めできるようになって、
梅雨が明けて日差しと暑さを全身で受けて、
身をつけ首をたれて、
美味しいコメとなっていく。

ステイホームしてきたが、
オンラインで仕事をしてきたが、
食べるものは誰かがこうして稲を育て、
野菜を育て、牛を豚を鳥を育て、
危険を冒して魚を獲って来てくれて、
わたしはステイホームしてオンラインで生きていけるんだなぁ、と、しみじみと、改めて思う。

魚も肉も野菜もコメも、
どこかの工場でつくっているんじゃない。
加工されてスーパーの棚に並んでいるすべてのものは、
元をたどれば、生きた魚と生きた牛豚鳥、
土から生えてる野菜とコメ。

食べるときに「いただきます」という習慣は、
ああそうそうこんなことだったねと、
ちゃんと振り返って、
明日からのオンライン生活に戻っていく。