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見たいものしか見せない脳みその機能

早朝から田んぼを見にいった。
昨日草取りをした、たそがれ農育園の田んぼに。

草取りは上出来だった。
あんなに草茫々だったのに、きれいになっている。
田植えのとき、おのおの好きなように苗を植えたので、
ほかの田んぼは整然と苗が並んでいるのに、
われわれのはちっとも揃ってない不格好な田んぼだけど、
これはこれでなかなかめんこい田んぼヅラになってきた。

草取りには、釜石の地域おこし協力隊のみっしーと来て、
地元の秋田国際大学のカエデとごんちゃんが手伝ってくれた。

午後から2時間ちょっと、雨宿りの時間も入れて。
小さい田んぼなのでそのくらいで終わって、
カエデとごんちゃんは大学に戻っていった。

そのあと、もう一回田んぼに入ったら、
けっこう草が残っていた。
カエデとごんちゃんとみっしーが担当した部分だけではなく、
わたし自身がやったところでも、残っていた。

1回目の草取りしているときには見えてなかった草が、
もう一度そばに寄ってみると、見えてくる。
苗にぴたっと寄り添って生えている草が、見えてくる。

これはもしかして、見たいものだけしか見えてこない、
脳みそのラスという機能なのではないか。
腰をかがめた作業が延々と続く草取りは苦行で、
「草を取った!」「(早く終わりたい!)」という思いが強く、
だから、ホントは残っている草が見えてこない、
都合のいいところだけが目に入る、記憶に残る、
脳みそのラス機能。

きっとそれにちがいない。

みっしーと二人で田んぼに戻り、2周目の草取りをした。
だから今朝見てみると、けっこう上出来な仕上がりになっていた。

たそがれ農育園の園主こーせー(菊地晃生)さんちは、
かつて土間だったところをリノベーションして、
ゲストルームにつくりかえている。
それがとってもステキで、
昨日の夜は、ゲストルームにこーせーさん一家も揃い、
パートナーのみちるさんと次女のつきがつくったおかずで、
にぎやかに晩ごはんを食べた。

こーせーさんちは6人家族。
ご夫婦と中学生をカシラに娘3人、未就学の男の子1人。
食事が始まると、子どもたちがいろんな話をする。
話題があっちこっちに飛び、
話の途中でその話を別の子が引き取ってしゃべりだす。

三女のはっかは、煮たつぶ貝の身を取るのが上手い。
くるくるくるっと器用に、ちゃんとしっぽまでつけて身を取り出す。
わたしははっかが剥いてくれたつぶ貝をばくばく食べた。

昨夜のことなのに、昨夜はあんなに楽しかったのに、
こーせーさん一家と食べた夕食の風景は、
白熱色の照明が照らす、薄ぼんやりとしたものしか記憶の中から浮かび上がってこない。
ただ、にぎやかだったなあ、という思いだけ。
家族での食事っていいなあ、という。

それだけで十分だという脳みその機能なんだろうか。